ヴェンゲルの『パス&ムーブ』の志向は変わってしまったのか【前編】
プレミアリーグでワトフォード、チェルシーに連敗し、CLでバイエルンに惨敗。
またしても勝負の2月で失速したアーセナル。
結果が出ないのはもう何年も続いていることではあるが、
それ以上に、昨シーズンあたりから、魅力的な試合が全くできていないのが気になる。
長年アーセナルを見ていて愛着があるから毎試合見ているが、
アーセナルを知らない人にオススメできるかというと、今のサッカーじゃオススメできない。
アーセナルといえば、「パス&ムーブ」で人もボールも流動的に動くサッカーが代名詞であった。
かつては、アンリ、ベルカンプ、ピレス、リュングベリ、ヴィエラらによる流れるように速いサッカーや、
セスク、ロシツキー、フレブ、アデバヨール、ナスリなど、ドリブルを効果的に使いながらも流動的に絡むサッカーなど、
多くのサッカーファンを魅了するプレーを見せてきた。
それこそが、アーセナルを愛するファンが多い要因であり、
何年も結果が出なくても、アーセナルを信じ続けるファンがいる要因であったはずである。
2013年にエジル、2014年にサンチェス、と立て続けにワールドクラスを獲得。
2人とも、もちろんのことながら、個人で打開することもできるし、周りを使うこともできる。
ただ、特にここ最近、この2人は周りの選手を完全には信頼していないのではないだろうか。
サンチェスはボールを持ちすぎで、自分で突破して強引にシュートを打つ場面が目立つし、
エジルもゴールにつながるピンポイントのアシストを狙う傾向にあるように思える。
それ自体が悪いわけではないし、そういうプレーが必要な場面もあるだろうが、
やはりアーセナルがチームとしてワンランクアップしタイトルを獲れるチームになるには、
全員が絡んで人もボールも流動的に動くサッカーの成熟が必須であると思う。
そういう意味では、カソルラの存在はやはり非常に重要である。
両利きであり、絶妙なボールタッチ、ドリブルにパス、とすべてを高いレベルでこなせるこの選手を
サンチェスとエジルも認めており、カソルラがいる試合では、選手間の距離が適切で、
ダイレクトプレーも多く、パス&ムーブがチーム全体として意識できるように思える。
そのカソルラの今シーズン中の復帰が難しくなった今、アーセナルはどうすればよいのか。
現状のメンバーを踏まえた考察については、【後編】にて書いていきたいと思います。
ちなみに今、私はこの本を読んでいます。読み終わったら、感想を共有したいと思います。