ナポリが後半に修正して猛攻!ナポリ 対 PSG レビュー【2018/19 CL GS第4節】
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試合結果とフォーメーション
2018/11/06 CL グループステージ 第4節
ナポリ 1-1 PSG
47分 ベルナト
62分 インシーニェ(PK)
前半
PSGはカバーニがベンチスタート。前線にはムバッペ、ネイマール、ディ・マリアを並べる。ナポリはほぼお馴染みのメンバーを並べる。
前半、ナポリはなかなかボールを繋げられず、苦し紛れのロングボールなどが増える。一方のPSGは、後方でゆったりとボールを回しつつ、ネイマールやディ・マリアが下りてきてビルドアップに絡んだところで前進する狙いがあった。
両チームともに大きなチャンスは無い中、PSGはネイマールの強引なドリブル突破を起点に3回ほどシュートまで結びつけた。
スコアレスで迎えた前半ロスタイム、ムバッペがPA左に進入すると、中には誰もいないものの、後方から斜めに走り込んだベルナトにタイミングを合わせてピンポイントのパス。これをベルナトがDFに囲まれながらも押し込み、PSGが先制。
PSGが1点リードで前半を折り返す。
ナポリのビルドアップ(前半)
ナポリのビルドアップでは、CBは少し開き気味で、PSGの3トップに対して2ボランチ含めて4対3の状況を作る。両SBはサイドいっぱいに開いて少し高めの位置を取っていた。
4対3という数的優位な状況ながら、PSGの3トップの間に位置する2ボランチにはなかなかいい形でボールを通せず、サイドに開いたSBも距離が離れてしまい、なかなかパスを出しにくい状況に。結果的にGKに戻さざるを得ない状況が多かった。SBにパスを出したとしても、ボールが渡るまでの時間でPSGのWBに詰められて、いい形でそこから前進することができない。
PSGのビルドアップ
PSGのビルドアップでは、後方で3バック+2ボランチで5人の状況を作り、ナポリの前線のプレス2枚に対して5対2の圧倒的な数的優位を作っていた。ボールを失う危険は無いものの、ここからうまく前進できない。
ボランチは、ドラクスラーがメルテンスの右側、ヴェラッティが2トップの間、を試合を通じて常にポジショニングしていた。これは意図的なものだろう。
そして、ボールを前進させる起点はナポリのプレス2枚の両脇となる。ドラクスラーがボールを持った時は、カジェホンが前目にプレッシャーをかけてくるためベルナトにはなかなか通せず、ネイマールにもアランがきつくマークについており渡せない。一方、逆サイドでは、インシーニェの左脇にディ・マリアが下りてきてボールを受け、そこからムニエに展開してディ・マリアも前を向いた状態で絡むパターンを披露していた。
また、ドラクスラーのサイドの方も、ネイマールがアランにマークにつかれながらも、ドラクスラーよりも低い位置まで下りてくることでアランのマークを振り切り、そこから前を向いてドリブルを仕掛けたり、右サイドに展開するなどして起点を作ろうとしていた。実際、ネイマールが2,3人強引に突破することで前半は3回ほどゴールまで進入した。
前半のスタッツ
前半のスタッツ(左:ナポリ、右:PSG)
引用:SofaScore.com
前半、ナポリはシュート数では上回ったものの、枠内シュートは0本で、ビッグチャンスも0回。PSGもチャンスはほとんど無かったものの、前半終了間際のベルナトのゴールでリードして前半を折り返した。
後半開始~75分
両チームともに、ハーフタイムでの選手交代やフォーメーション変更は無し。1点ビハインドのナポリが不甲斐ない前半の内容を受けてどのようなプレーを見せるか。
すると、後半早々にナポリの怒涛の攻撃が始まり、50分~60分にかけて3,4回ゴール前で決定的なチャンスを作ると、61分、チアゴ・シウバのコントロールミスでPA内にこぼれたボールにカジェホンが詰めると、ブッフォンとチアゴ・シウバに挟まれて倒されPKを獲得。これをインシーニェが決めて同点に追いつく。
ナポリのビルドアップ(後半)
前半苦戦したナポリは後半になると、両CBがサイドに開かずに中に絞り、SBのスタート位置も下げることで、PSGの3トップのプレスに対して6対3の状況を作り、何の苦労もなくまずはSBにボールを預けやすい状況を作った。
SBの位置が低いため、PSGのWBは始めからきつくマークすることができず、SBはボールをもらうと前進する余裕があり、そこからボランチが前を向いた状態でボールを受けて展開できるようになった。
PSGの3トップは越えてしまえば低い位置までは追いかけてこない(追いかけてくるのはディ・マリアくらい)ため、そこからは前進したSBや2列目の選手を絡めて攻撃を展開することができるようになった。
76分~
勝ち越しを狙うPSGはディ・マリアに代えてカバーニを投入。カバーニをトップにし、ムバッペを右シャドーに移す。ディ・マリアがいなくなったため、ビルドアップではネイマールが後方まで下がって起点になり前進しようとするも、いずれも強引なドリブル突破が多くなる。
83分、ナポリはメルテンスが負傷のために交代を余儀なくされ、代わりにウナスを投入する。
ロスタイムの92分、PSGはケーラーに代えてチュポ・モティングを投入し、より攻撃的な布陣に。
しかし、そのまま試合は終了し、1-1の引き分けに終わる。
後半のスタッツ(左:ナポリ、右:PSG)
引用:SofaScore.com
後半はナポリが盛り返し、シュート数、枠内シュート数、ビッグチャンス数のいずれもPSGを上回った。また、ナポリは前半よりも前からのプレスの強度を強めたことで、インターセプト数が前半よりも大きく増加している。
【PickUpData】シュート数で大きく上回ったのはナポリ
マッチスタッツ(左:ナポリ、右:PSG)
引用:SofaScore.com
終わってみれば、スタッツではパスとドリブル以外はほぼ全てナポリが上回る形となった。
ポゼッション率やパス数はPSGが大きく上回ったものの、パスを繋いで崩したシーンはほとんど印象に残っておらず、後方でパスを繋いて探っていた時間が多かったことが表れていると言えるだろう。
平均ポジション(左:ナポリ、右:PSG)
引用:whoscored.com
平均ポジションを見ると、ナポリはフォーメーション通りのバランスの良いポジショニングとなっている。一方のPSGは、左半分に偏っており、ビルドアップの解説で述べたとおり、ヴェラッティが中央、ドラクスラーが左ハーフスペースあたりのポジショニングとなっている。
攻撃サイド(左:ナポリ、右:PSG)
引用:whoscored.comヒートマップ(左:ナポリ、右:PSG)
引用:whoscored.com
攻撃サイドやヒートマップを見ても、左右にバランスが良く偏りの無いナポリに対して、PSGは左サイドに偏ることを如実に表していた。PSGについては、試合内容を見ると、ムニエとディ・マリアが右サイドから攻撃する場面が特に前半は印象に残っているものの、右サイド深くまでは使えておらず、崩しきれなかったと言えるだろう。
【PickUpData】攻撃を引っ張ったメルテンスと守備で光ったアラン
ナポリの攻撃スタッツ
引用:whoscored.com
ナポリの攻撃スタッツを見ると、メルテンスがシュート6本、キーパス4本と、圧倒的な数字を残している。負傷交代がなく、あと10分プレーできていれば、よりゴールに近づくことができたかもしれない。
また、ファビアン・ルイスも、中盤でプレーしながらもゴール前に顔を出し、積極的にシュート5本を放っている。
ナポリの守備スタッツ
引用:whoscored.com
守備では、ネイマールとマッチアップしたアランがタックル成功数で8回を記録。ネイマールを厳しくマークしていたことが現れているだろう。
アランのプレーマップ(重要なプレーのみ)
引用:twelve.football
アランのプレーマップを見てみても、守備のプレー(赤丸)で効果的なプレーを何度もしており、ピッチ中央においてPSGに自由にプレーさせなかったことがデータに表れている。
【PickUpData】ドリブル突破を何度も試みたネイマールと奮闘したT・シウバ
PSGの攻撃スタッツ
引用:whoscored.com
PSGの攻撃スタッツを見ると、ネイマールがキーパス数4本、ドリブル成功数7回、被ファール数6回を記録。個の力でナポリの守備陣に脅威を与えたと言えるだろう。
PSGの守備スタッツ
引用:whoscored.com
PKを献上したチアゴ・シウバであるが、クリア数7回、シュートブロック4回を記録し、ナポリの攻撃を最後の局面で防ぐことに貢献していたことが表れている。
【PickUpData】ゴール期待値でもナポリが上回る
The way Napoli started the second half was truly spectacular, as they constantly barraged PSG’s penalty area. It comes off nice in this xG-plot as well. pic.twitter.com/V7gAccjUrk
— Between The Posts (@BetweenThePosts) 2018年11月7日
PSGが試合を通してゴール期待値は0.8点にとどまったのに対して、ナポリは1.94点。ゴールを奪ったPK以外でも、後半序盤の猛攻でかなり得点に近づいていたことを表している。
PSGは試合を通じて継続してナポリを攻略することはできず、逆に数少ないチャンスを決めてドローにしたとも言える。
ムバッペの突破を最小限を抑えたクリバリ
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残念、そこはクリバリ🛡🛡🛡
/🌟スピードスターのムバッペをもってしても簡単にはこじ開けられない👏
🏆UCLグループステージ第4節
🆚ナポリ×PSG
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— DAZN ダゾーン (@DAZN_JPN) 2018年11月6日
PSGのゴールシーンでは起点になるプレーを見せたムバッペであるものの、試合全体を見ると持ち味を発揮できなかったと言えるだろう。最前列でプレーしながらもシュート3本、ドリブル成功数3回のみにとどまっており、クリバリを始めとするナポリの守備陣に抑え込まれたと言えるだろう。
死のグループCは、勝ち点2差に全チームがひしめく混戦に
グループCは、リバプールがレッドスターに敗れるサプライズもあり、4節を終えた時点で勝ち点2差に全チームがひしめく大混戦の状態に。どこが勝ち抜くか全くわからない状況となった。