ラカ退場&無得点敗戦。バテ・ボリソフ 対 アーセナル レビュー【2018/19 EL ラウンド32 1stleg】
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試合結果とフォーメーション
2019/02/14 ヨーロッパリーグ ラウンド32 1stleg
バテ・ボリソフ 1-0 アーセナル
45分 ドラグン
前半
アーセナルは、直近のハダースフィールド戦と同じく3-4-2-1の布陣。メンバーはハダースフィールド戦から、トレイラに代えてジャカ、レノに代えてチェフを起用。エジルとラムジーは遠征に帯同せず。
バテは、元アーセナルのフレブが中盤でスタメン。ベラルーシリーグがJリーグと同じく春秋制のため、バテはシーズン開幕前の状態でこの試合に臨む。
試合序盤から、アーセナルがボールを保持する展開。
すると試合開始早々1分、アーセナルは、イウォビのスルーパスでコラシナツがDFライン裏に抜け出し、中に走り込んだムヒタリアンへ折返しのクロス。ムヒタリアンがこれに合わせるも、シュートはGKの正面。開始早々の決定機をものにできず。
21分、イウォビがドリブルで左サイドから中央に向かって仕掛けてシュート。これをDFが弾くと、ボールはPA内左のコラシナツのもとへ。コラシナツは冷静にファーで待つラカゼットへピンポイントのクロス。ラカゼットがゴール目の前でヘディングで合わせるも、これはバーの上へ。
27分、バテは右サイドでスカビシュとミリッチの連携からサイド深くまで突破すると、スカビシュのニアへの速い折返しにミリッチが合わせる。これは惜しくもポストに弾かれる。
44分、バテの右サイドからのFK。フリーになっていたドラグンがヘディングでファーに流し込み、バテが先制に成功。
バテが1点リードして前半を折り返す。
アーセナルのビルドアップとバテの守備
アーセナルのビルドアップに対して、バテは4-1-4-1(4-5-1)で守るものの、高い位置を取るコラシナツやナイルズをWGがマークするため、5バックのような形に。
バテはリトリートして前からほとんどプレスをかけず、前線も1枚だけのため、アーセナルの後方は余裕を持ってボールを回せるものの、最終ライン3枚に加えてジャカとゲンドゥージも低めでボールに絡む選手であるため、バテの守備ブロックの外側でしかボールを回せず。
左サイドのイウォビとコラシナツの突破力を活かした崩しを多く狙ったものの、中央で詰める選手も少なく、バテにクリアされ続けた。
バテの攻撃とアーセナルの守備
バテは、コラシナツが上がることで空いたスペースを狙い、トップのスカビシュが右サイドに流れ、そこに右WGのミリッチも絡むことで崩そうとした。
後半
後半開始時、両チームともにメンバー変更・フォーメーション変更は無し。
リードしているバテはより一層守備に重きを置き、アーセナルが押し込み続ける展開。
54分、左サイドからのコラシナツのクロスに中でラカゼットが合わせてゴールネットを揺らすものの、これはわずかにオフサイドでゴールは認められず。
アーセナルは69分、ナイルズとジャカに代えて、オーバメヤンとトレイラを投入。オーバメヤンを右シャドーとし、ムヒタリアンが右WBに入る攻撃的布陣。トレイラはそのままボランチに入る。
オーバメヤンを投入したアーセナルであるが、そこまでボールを届けられず。バテがアーセナルの攻撃を弾き続ける流れは変わらない。
アーセナルは74分、コラシナツに代えてデニス・スアレスを投入。デニス・スアレスを左シャドーとし、イウォビを左WBに。左右のWBをムヒタリアンとイウォビにして、超攻撃的布陣に。
デニス・スアレスが中でボールに触ろうとするものの突破口にはならず、味方との連携も合わずにボールを失う場面が目立つ。
84分、フラストレーションが溜まっていたラカゼットがマークに付いていたフィリホビッチを肘で振り払い、一発レッド。1点ビハインドのアーセナルは一人少ない状態に。
バテがそのまま最後まで守りきり、1stlegはバテの1-0で終えることとなった。
【PickUpData】崩しきれなかったアーセナル
試合の流れ
試合は終始アーセナルが押し込む展開。バテはセットプレーを活かして1ゴールを奪い、そのままリードを守りきった。
マッチスタッツ(左:バテ、右:アーセナル)
引用:SofaScore.com
アーセナルのボール保持率は77%、シュートは16本。うちPA内で12本のシュートを打ったものの、枠内シュートは3本のみ。
平均ポジション(左:バテ、右:アーセナル)
引用:whoscored.com
アーセナルは、左WBのコラシナツ(31)が終始高い位置をとっていたことがよくわかる。
攻撃サイド(左:バテ、右:アーセナル)
引用:whoscored.comヒートマップ(左:バテ、右:アーセナル)
引用:whoscored.com
アーセナルが敵陣内で終始押し込んでいたものの、PA内には左サイドからしか進入できなかったことがわかる。
ゴール期待値、パスマップ
Passmaps & xGplot for BATE against Arsenal. #passmap#xGplot#autotweetpic.twitter.com/uiky5CXdvw
— Between The Posts (@BetweenThePosts) 2019年2月14日
ゴール期待値は、バテの0.62点に対して、アーセナルは1.37点。アーセナルは終始押し込んでいたものの、崩しきれずにチャンスはあまり作れなかった。
機能しているとは思えない3-4-2-1
ジャカとゲンドゥージのヒートマップ
引用:SofaScore.com
ボランチのジャカとゲンドゥージのヒートマップを見ると、敵陣内にも多く進入しているように見えるが、実際にはほとんどの時間帯でファイナルサードまで押し込んでいたため、基本的にバテの守備ブロックの手前でプレーするのがほとんどであった。
トレイラ含めて、現状のボランチ陣はプレースタイル的に縦の推進力が弱く、3-4-2-1ではより一層それが影響して中央から攻められないシーンが目立っているように思える。格下の相手が中央を固めて守備ブロックを作ってくるケースが多く、サイドから崩すしか無い状況に陥るのは仕方ないものの、中央からの攻撃にも可能性を見せることでサイドから突破しやすくすることはできるのではないだろうか。
この試合では、終盤に投入されたデニス・スアレスがバイタルエリアでボールを受けようとしていたものの、次第にサイドに逃げるようになってしまい、流れを変えることはできなかった。
また、イウォビとムヒタリアンをWBにするという超攻撃的布陣に変更したものの、基本的に全体の立ち位置は変わっておらず、個の質の高さで崩しきろうとしたが崩せなかったと言えるだろう。
縦の推進力があるラムジーをボランチの一角で起用するなり、フォーメーションが噛み合う試合で高い位置でボール奪取するために3-4-2-1を採用するのは効果的であるとは思うものの、特に格下と思われる相手に3-4-2-1を採用しても、機能してない試合が多いのではないだろうか。
気になるエメリの消極的な采配
前半終了間際からビハインドだったにも関わらず、最初の交代カードが69分であり、最後まで3バックのままであった点にも疑問が残る。
バテが守りを堅めるのは当然ながらわかっており、4バックに変更して前の人数を増やすなり、ジャカをCBにするなどの采配ができなかったのだろうか。
コンディションや怪我人の多さにより起用できる選手が限られることも影響してるかもしれないが、このところ選手交代の遅さや思い切ったシステム変更の無さが目立っており、苦しい展開を変えられずに勝ち点を落としている印象が強い。
個々のフォーメーションでの成熟度が上がっていない点や試合開始時のフォーメーションの機能度合いの低さも気になり、シーズン終盤に向けて不安が高まるばかりである。
ラカゼット不在で迎えるホームでの2ndleg
チームとしての力の差は明白であるものの、バテが1stlegを1-0でリードしたことで、バテは2ndlegでも引いて守りつつ、カウンターやセットプレーで得点を狙う展開が濃厚。
アーセナルの2-1勝利でもバテの突破となってしまうため、アーセナルとしては失点をせずに攻め続けないといけない。ラカゼットも不在となる中、アーセナルは複数得点必須の試合で崩し切り、ラウンド32を突破することができるだろうか。
前節の振り返りはこちら
またもクリーンシートならず。ハダースフィールド 対 アーセナル レビュー【2018/19プレミア第26節】