4-3-3が機能しないながらも辛勝で11連勝!スポルティング 対 アーセナル レビュー【2018/19 EL GS第3節】

CL・EL

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試合結果とフォーメーション

試合結果

2018/10/25 ヨーロッパリーグ GS第3節
スポルティング 0-1 アーセナル

77分 ウェルベック

前半

2018/2019シーズン ヨーロッパリーグ グループステージ第3節 スポルティング対アーセナル

【スポルティング】基本:4-3-3 守備:4-1-4-1
【アーセナル】 基本:4-3-3 守備:4-5-1

アーセナルは、いつもの4-2-3-1ではなく、中盤が3センターの4-3-3を採用。ジャカはレスター戦の終盤に引き続き、左SBでスタメン出場。

アーセナルのビルドアップ

4-1-4-1(4-5-1)スポルティングの守備に対して、アーセナルは主に、ゲンドゥージが左ハーフスペース、ラムジーが右ハーフスペースに位置してビルドアップを開始していた。

ラカゼットエジルイウォビなど、下りてきて効果的にボールを受けることができる選手がおらず、スムーズに前進できず。また、受けることのできるラムジーが低めから組み立てようとしていたため、余計にそれが際立った。

左SBで出場したジャカも、左ボランチで出場した時のようなポジショニングでビルドアップに関わればチームとして得意な形になるものの、左SBの動きをしようとし、モンレアルのようにダイレクトで前に預けたり、コンビネーションを使ったりといったプレーができないために、左サイドからの崩しも機能せず。

わずかな糸口として、ムヒタリアンにボールが入って右のスペースにダイレクトで展開する場面や、左サイド深くでオーバメヤンウェルベックがポジションチェンジして起点になるなどがあったものの、決定機にはつながらなかった。

後半~71分

2018/2019シーズン ヨーロッパリーグ グループステージ第3節 スポルティング対アーセナル

【スポルティング】基本:4-3-3 守備:4-1-4-1
【アーセナル】    基本:4-2-3-1 守備:4-4-2

後半に入り、アーセナルは慣れた4-2-3-1に変更し、ラムジーをトップ下に。
スポルティングは負傷したリストフスキに代わり、ガスパールを投入。

ラムジーをトップ下にしたことで、前線に受けれる選手が増え、アーセナルの攻撃が増える。さらに、57分にエルネニーに代えてトレイラを投入したことで、より後方でのパス回しがスムーズになり、ムヒタリアンにいい形でボールが入るシーンなどが増えた。

71分~

2018/2019シーズン ヨーロッパリーグ グループステージ第3節 スポルティング対アーセナル

【スポルティング】基本:4-2-3-1 守備:4-4-2
【アーセナル】    基本:4-2-3-1 守備:4-4-2

スポルティングは、グデリに代えて、カブラルを投入。フォーメーションを4-2-3-1に変更し、B・フェルナンデスがトップ下に入る。

スポルティングは、前線から早めのプレスを見せるようになるものの、トレイラゲンドゥージのポジショニングやボールコントロールによりアーセナルのボール保持が続き、ジャカが左サイドの高い位置でフリーでボールを受けられるシーンが増えて、左右を幅広く使えるようになった。迎えた77分に、トレイラの縦パスの流れからウェルベックが裏に抜け出してゴールが生まれた。

 

【PickUpData】明暗が分かれた枠内シュートの差

マッチスタッツ(左:スポルティング、右:アーセナル)
引用:SofaScore.com 2018/2019シーズン ヨーロッパリーグ グループステージ第3節 スポルティング対アーセナル マッチスタッツ

シュート数はほぼ変わらないものの、枠内シュートアーセナル7本に対してスポルティング0本。枠内に飛ばなければゴールは生まれない。最後の局面での質の違いが表れている。

ビッグチャンス数でもアーセナル3回に対して、スポルティング0回。自力で劣るスポルティングとしては、セットプレーなどに活路を見い出したかったかもしれないが、際どいシーンは無かったと言えるだろう。

平均ポジション(左:スポルティング、右:アーセナル)
引用:whoscored.com 2018/2019シーズン ヨーロッパリーグ グループステージ第3節 スポルティング対アーセナル 平均ポジション

攻撃サイド(左:スポルティング、右:アーセナル)
引用:whoscored.com 2018/2019シーズン ヨーロッパリーグ グループステージ第3節 スポルティング対アーセナル 攻撃サイド

ヒートマップ(左:スポルティング、右:アーセナル)
引用:whoscored.com 2018/2019シーズン ヨーロッパリーグ グループステージ第3節 スポルティング対アーセナル ヒートマップ

ビルドアップ時の選手のポジショニングを踏まえると、いつも通り左で起点を作りつつ、右でも時折脅威を与えるような攻撃を狙っていたと思うものの、攻撃サイドヒートマップを見ると、狙い通りには機能しなかったことが表れているだろう。

特に気になるのはジャカのポジショニングであり、完全に左SBの選手のポジショニングをしているが、特に後方でのビルドアップ時には、もう少し内側に入るなどの工夫があってもよかったのではないだろうか。

 

【PickUpData】データでわかるトレイラの貢献度

アーセナルのパススタッツ
引用:whoscored.com2018/2019シーズン ヨーロッパリーグ グループステージ第3節 スポルティング対アーセナル パススタッツ

57分から途中出場したトレイラであるが、試合内容を見ても、トレイラの出場により攻撃がスムーズになったのは明らかであり、パススタッツを見ると、30分強の出場時間ながらパス数45本を記録している。一概には言えないものの、フル出場していたら100本超となるペースである。

トレイラのプレーエリア
引用:SofaScore.com

さらに、トレイラのプレーエリアを見ると、いつも通り右ハーフスペースでボールに多く絡むことができており、ハーフウェーラインを越えた高い位置でもボールタッチできている。

そして一番驚くのが、チーム全体のヒートマップと比較してみると、見事に濃いエリアが合致している。トレイラが勝利の立役者といっても過言ではないだろう。

【PickUpData】前半の低調を表すゴール期待値

ゴール期待値の推移を見てみると、試合内容通り、前半は両チームともに0.2点前後というかなり低調な内容。

しかし、後半に入りフォーメーションを変更して機能し始めたアーセナルが徐々に上げていき、50分過ぎに1点台になると、57分のトレイラ投入もプラスに作用して、最終的に2点近くの数値となった。

 

機能しなかった両サイドバックとエルネニー

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この試合はリヒトシュタイナージャカがサイドバックを務めたものの、どちらの選手も個人で突破できるスキルは無く、周りとのコンビネーションも築かれていないため、サイドからの崩しが機能しなかった

レスター戦の終盤にジャカを左SBにしてから2点が生まれたものの、ジャカを左SBにしたことによる効果か判断しにくかったが、この試合で90分間ジャカの左SB起用を見た上では、機能しているとは言えないのではないだろうか。

左SBを務められる3選手が離脱中という緊急事態であり、右のベジェリンを休ませるためのチョイスと言えるかもしれない。結果的にクリーンシートで勝利を収めることができたことはプラスに捉えられるものの、一時的な起用法と考えるべきだろう。

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また、エルネニーがスタメン出場したものの、前半の4-3-3のCHでも、後半の4-2-3-1のDHでも、どちらも機能していたとは言えず、中盤の序列の中でかなり厳しい立ち位置と言えるだろう。しかし、不運なのは前半の起用法であり、後方でテンポよくパスを散らすことが特徴であるエルネニーを前目に置き、組み立てが得意とは言えないラムジーが後方でプレーしていたのには疑問が残る。自分の得意でないエリアでのプレーにより評価が下がったのであれば不運だろう。

しかしながら、後半に入ってもエルネニーが活きていたとは言えず、ゲンドゥージとは少し特徴が重なるうえに、ゲンドゥージの方が幅広いフォローやロングパスという選択肢も持っているため、ゲンドゥージよりも序列が下となるのは仕方ない状況だろう。

またもELで別のフォーメーションを試したエメリ

ELの前節では、3-4-2-1を採用し、機能しないと判断すると後半開始から4-2-3-1に変更している。今節でも、前半に4-3-3を採用し、機能しなかったことで後半開始から4-2-3-1に変更した。

控え組中心でELのスタメンを選んでいるとはいえ、若手をほとんど起用しておらず、4-2-3-1以外のフォーメーションを試す機会としているとも考えられるだろう。

関連記事:3バックが機能しないもののクリーンシートで勝利。カラバフ 対 アーセナル レビュー【2018/19 EL GS第2節】

特に今節の4-3-3については、中盤をジャカトレイラゲンドゥージラムジー)という3枚の構成にした場合にどうなるかは気になるところ。今後もELの試合を使って少しずつ試していき、一定のパフォーマンスが出るようになったところでリーグ戦などでも採用されるオプションとなるかもしれない。

 

3連勝でGS突破が見えてきた中、エメリの今後の起用法は?

首位を争うスポルティングを直接破り、グループステージ突破が濃厚となってきたアーセナル。11月、12月と、スケジュールも厳しくなり、リーグ戦でビッグクラブとの対戦も控える中、ELの残り試合ではどのような起用法になるだろうか。

少なくとも、エンケティアスミス・ロウウィロックあたりの若手にはもう少しプレー機会を与えてもいいはずであり、怪我やコンディションが問題なければ、マヴロパノスジェンキンソンを起用することでDFの主力を休ませることができるはずである。

ELがお得意なエメリ流の起用法なのかもしれないが、リーグでもいい位置に付けることができているため、怪我人が増えないような起用法をしてほしいものである。

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