なんとか掴んだ初勝利。川崎フロンターレ 対 シドニーFC レビュー【2019 ACL GS第2節】
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試合結果、スタメン、フォーメーション
2019/03/13 ACLグループステージ 第1節
川崎F 1-0 シドニーFC
83分 齋藤
前節アウェイで終了間際の失点により勝ち点を逃したフロンターレ。ホームで勝利が欲しい試合でメンバーを変えて挑み、登里を左SB、守田を右SB、憲剛をボランチで起用し、長谷川を前節のACLに続いてスタメン起用。阿部と大島は負傷によりベンチ外。
フォーメーションはお互いに4-4-2の布陣。フロンターレはリーグのマリノス戦に続いての4-4-2となる。
前節の振り返りはこちら
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試合経過と両チームの狙い
ボールを保持するも崩せないフロンターレ
序盤からフロンターレがボールを保持して優勢に進める展開。しかしシドニーFCも守備を固めて簡単には崩されない。
フロンターレの攻撃とシドニーの守備
フロンターレのビルドアップ時、シドニーFCは4-4-2のブロックを作る。家長がいつも通り流動的に動きながら前進をサポートするものの、2トップとの距離が遠く、サイドから前進するしか無く崩しきれず。徐々に小林が相手のボランチの周辺に下りてきて中央でボールに絡むことで相手の守備バランスを崩そうとする。
この試合でも長谷川は左サイドでボールを持つと積極的に仕掛け、左サイドからの攻撃が多くなる。
フロンターレの攻撃
- 【定位置攻撃】 小林がボールを受けに下りる。左サイドからの攻撃中心
- 【ポジトラ(ボール奪取時)】 ①速攻、②ボールを繋ぐ
シドニーFCの守備
- 【守備ブロック】 4-4-2 前プレ弱い
- 【ネガトラ(ボールロスト時)】 リトリート(自陣に下がる)
シドニーFCの攻撃とフロンターレの守備
シドニーFCのビルドアップ時、フロンターレはいつも通り4-4-2で守る。シドニーFCは後方からショートパスを繋いでいくことを狙い、ダイレクトパスを駆使してフロンターレのプレスをかわしていく。
中盤では左サイドのニンコビッチが中央寄りにポジションを取って田中の脇のスペースでボールを受けることで、そこから2トップと左SBと連携して左サイドからゴール前に進む場面を作っていく。
シドニーFCの攻撃
- 【定位置攻撃】 ショートパスを繋ぐ。左SHニンコビッチが中央寄りでボールを受ける
- 【ポジトラ(ボール奪取時)】 ボールを繋ぐ
フロンターレの守備
- 【守備ブロック】 4-4-2 ミドルゾーンでブロック
- 【ネガトラ(ボールロスト時)】 密集してボール奪取を狙う
試合は、シドニーFCも徐々にボールを保持する時間を増やしていく。
うまくいかないフロンターレは30分頃にシステム変更。小林を右、家長をトップ下に移し、いつもの4-2-3-1に。
これによりボールを保持しやすくなり押し込む時間が増えるものの、ゴール前に迫るシーンは少ないまま。
フロンターレが攻める時間帯が多かったものの、スコアは動かずに0-0で前半を折り返す。
前半のスタッツ
前半のスタッツ(左:川崎F、右:シドニー)
引用:SofaScore.com
フロンターレがボールを保持する時間が多かったものの崩し切るシーンはほとんど無く、シュートは7本でそのうちペナルティエリア内で5本のシュートを打ったものの、枠内シュートは1本のみ。
対するシドニーFCはシュート1本のみで前半を終えた。
左右のサイドから仕掛け続けるフロンターレ
後半になってもフロンターレがボールを保持するペースは続き、より全体が高いポジションを取って押し込むように。
61分:【川崎F】守田 → 鈴木
64分:【川崎F】ダミアン → 知念
鈴木を投入したことで、鈴木は右サイドで高い位置を取りつつ幅を取る動きを見せる。知念もダミアンとは違いペナルティエリアにとどまるのではなく、前後に動いてボールに関わるシーンを増やしていく。
左から長谷川、右から鈴木が積極的に仕掛けてクロスやドリブルを見せ、徐々にゴールに迫っていくフロンターレ。
67分:【シドニー】ブロスケ → グーチャンネチャド
74分、この試合の最大のチャンス。田中がペナルティエリア手前中央で知念とのワンツーでボールを受けると、切り返してDFをかわして打ったシュートは強烈だったもののGKがビッグセーブ。ゴールを割ることができず。
75分:【シドニー】レトレ → イバノビッチ
イバノビッチは右サイドに入り、カセレスがボランチに移る。
81分:【川崎F】長谷川 → 齋藤
齋藤投入のわずか1分後の82分、憲剛が右サイドからクロスを上げると、DFに当たってこぼれたボールを混戦の中で齋藤がダイレクトで振り抜き、シュートはGKの脇を通り抜けてゴール右隅に。フロンターレが終盤に勝ち越しに成功。
ビハインドとなったシドニーFCは同点を目指して攻め込むシーンを作るものの、フロンターレも途中出場の選手を中心に積極的にプレスをかけ、ボールを保持するとうまくキープして時間を稼いでいく。
そのままフロンターレが逃げ切り、ホームで辛くも勝利を掴んだ。
後半のスタッツ
後半のスタッツ(左:川崎F、右:シドニー)
引用:SofaScore.com
勝ち越すまでの時間帯でほぼずっと押し込み続けたフロンターレは、シュート13本でそのうち枠内シュートは8本。しかし、ビッグチャンスと呼べるのは田中がペナルティエリア手前で切り返してシュートを打ったシーンのみ。
クロスは前半の2倍の12本。ドリブルは前半の4倍の8回。両サイドから仕掛けて、ゴール前でより積極的にプレーした。
【PickUpData】シュート本数は20本と2本
試合の流れ
90分のうち70分以上をフロンターレがボールを保持して攻め込んだと言える試合。シドニーFCもボールを保持すればショートパスを繋いで前進するスタイルを見せたものの、フロンターレが押し切った。
マッチスタッツ(左:川崎F、右:シドニー)
引用:SofaScore.com
終わってみればシュート数はフロンターレの20本に対してシドニーFCはわずか2本。フロンターレはペナルティエリア内で14本のシュートを打ったものの、ほとんどがシドニーFCのディフェンス陣が密集している状態でのシュートであった。
フロンターレのシュート詳細
引用:AFC公式
20本のシュートはそのほとんどがペナルティエリア内かつ中央から。ゴールを決めやすいゾーンまで持ち込んでのシュートであると言えるものの、実際には相手のDFラインの手前や囲まれながらのシュートが多く、相手のGKを脅かすシュートはわずかであった。
【PickUpData】仕掛け続けた長谷川と動きすぎた家長
長谷川のスタッツ
引用:SofaScore
左サイドで積極的にプレーした長谷川は、キーパス5本、クロス4本、ドリブル2回中2回成功。前節に続きアクセントを付ける存在になっていたが、クロスは1本しか成功しておらず、FW陣とのイメージは今後もっと合わせていく必要があるだろう。
昨シーズンは齋藤が優先されてプレー機会が極端に少なかった長谷川であるものの、今シーズンは序盤からプレー機会が与えられており、いまだチームにフィットしてるとは言えない齋藤とより激しいポジション争いをしていくことで予想され、それがチーム全体の総合力にも繋がっていくだろう。
家長のスタッツ
引用:SofaScore
右サイドでスタートし途中からトップ下でプレーした家長。クロスやロングボールをすべて成功させて質の高さを見せたものの、効果的なプレーをどれだけ見せていたかには疑問が残る。
右上のヒートマップを見ても分かる通り、縦横無尽に動くのはいつも通りであるが、低い位置まで下りすぎな印象が強い。ボランチに憲剛がいたため、よりゴール前でのプレーに専念したほうがダミアンの孤立も防げたのではないだろうか。また、左サイド寄りでのプレーが多くなっているが、長谷川と登里がいた中で左サイドに寄る場面が多くなってしまうと2人がプレーするスペースを奪ってしまい、特に登里の攻撃参加が物足らなかったのはこれが原因になったかもしれない。
流動的に動くことで局所的に数的優位を作るプレーをやめる必要はないと思うものの、良いときの家長はもっとペナルティエリアの脇のスペースに走り込んだりしていたイメージがあり、今はあまりにも組み立てに関わろうとしている意識が強いように思える。徐々に良い時の感覚を取り戻していってほしい。
ようやく掴んだ初勝利。次はリーグ戦での初勝利を
ACLとリーグ戦での週2試合が2週連続となり、今は最初の疲労のピークが来ていて苦しい状況であると思うが、週末のリーグ戦のG大阪戦に勝利して、いい雰囲気で代表ウィークを迎えたいところ。
阿部や大島が離脱しており、守田もコンディションが悪そうに見え、ダミアンのフィットにはまだ時間がかかりそうという状況であるものの、少しずつゴールを増やして勝利を重ねていくことでポジティブな雰囲気に変わっていくことができるだろう。
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