新戦力3人のパフォーマンスを振り返る。アーセナル 対 バーンリー レビュー【2019/20 プレミア第2節】
アーセナルが今季リーグ戦初のホームの試合でバーンリーを迎え撃つ。
新戦力であるセバージョス、ダビド・ルイス、ニコラ・ペペのパフォーマンスを中心に試合を振り返る。
Contents
バーンリーのロングボール攻勢に屈しなかったアーセナル
試合結果
2019/08/17 プレミア第2節
アーセナル 2ー1 バーンリー
12’ ラカゼット
42’ バーンズ
63’ オーバメヤン
セバージョス、ダビド・ルイスがスタメンデビュー
アーセナルは前節に続き4-2-3-1を採用。エジルがコンディション不良でベンチ外となり、トップ下にはセバージョスを初スタメンで起用。さらにダビド・ルイスもCBで初スタメン。ラカゼットが負傷から回復してトップに入り、オーバメヤンはサイドに。
対するバーンリーは4-4-2。
ひたすらロングボールのバーンリー
バーンリーは序盤から、ボールを持つと前線へのロングボールが最優先。サイドでも深くまで突破するよりもフリーの状態で早めにアーリークロスを上げることを選択。2トップの高さと強さをシンプルに活かす狙い。
試合が動いたのは12分。右コーナーキックのセバージョスのクロスをペナルティーエリア内でラカゼットがトラップすると、DFに囲まれながらもわずかなシュートコースを作り、倒れ込みながら強引にシュート。ボールはGKの股を抜いてゴールネットを揺らす。アーセナルが早くも先制に成功。
アーセナルはバーンリーの4-4-2のブロックに対して、セバージョスが下りてきてサポートすることで数的優位を作りながらうまく前進していく。
試合はアーセナルがボールを保持して優勢に進めつつ、バーンリーもロングボールやクロスから鋭い攻撃を見せる展開。
42分、左サイドでパスを受けたマクニールがアーリークロスを上げるかと思いきや、カットインしてペナルティーエリアに近づくと、左足に持ち替えてグラウンダーの鋭いボールをペナルティーエリア内に送る。中央にいたバーンズがDFから遠ざかる動きでうまくフリーでこのボールを受けると、寄せられながらもボールをゴールに流し込む。バーンリーが前半のうちに同点に追い付く。
試合は1-1の同点でハーフタイムへ。
セバージョスの献身性が生んだオーバメヤンのゴール
後半開始時、アーセナルはネルソンに代えてニコラ・ペペを投入。ニコラ・ペペは右サイドに入り、オーバメヤンが左サイドに移る。
ニコラ・ペペが入ったことでアーセナルの攻撃にまた違ったリズムが生まれる。
63分、左サイドでセバージョスが逆サイドにサイドチェンジのボールを送ろうとするも、目の前の相手に当たって相手ボールに。しかし、すぐにセバージョスが寄せてボール奪取すると、そのボールがオーバメヤンに。オーバメヤンはペナルティーエリア手前左からカットインすると、スムーズなボディフェイントでDFを振り切り、ニアへシュートを突き刺す。アーセナルが勝ち越しに成功。
リードしたアーセナルは、71分にラカゼットに代えてコラシナツを投入。フォーメーションを3-4-1-2に変更。モンレアルが左CBに入り、左WBにコラシナツ。前線はオーバメヤンとニコラ・ペペの2トップに。後方の人数を増やしてバーンリーのロングボールを跳ね返す狙い。
83分、アーセナルはセバージョスに代えてトレイラを投入。トレイラは今季初出場。トレイラはボランチに入り、ウィロックがトップ下に。
ビハインドのバーンリーがパワープレーを見せるもアーセナルのDF陣が踏ん張り続け、アーセナルがホームで勝ち点3を手にした。
新戦力3人のパフォーマンスを振り返る
2アシストで鮮烈なホームデビューを果たしたセバージョス
トップ下でスタメン出場し、マン・オブ・ザ・マッチ級のパフォーマンスを見せたセバージョス。
足元の技術の高さに加え、豊富な運動量と献身的な守備意識の高さで攻守において貢献できることをアピール。
セバージョスのスタッツ
引用:SofaScore
83分間出場して、キーパス3本に2アシスト。
ボールタッチ数とパス数は、フル出場したボランチの2人をも上回ってチームトップの数字。ドリブル突破は4回をすべて成功。
意外なのは地上でのデュエル回数17回(うち9回勝利)。これは両チームトップのデュエル回数。攻撃では対面する相手をかわそうとする意欲が高く、守備でも献身的なプレスとともにボール奪取の意欲の高さがあり、この特徴がデュエルの多さの要因になっているのかもしれない。
ボールロストの多さは気になるものの、味方との連携が合わずにロストしているシーンも多いはずであり、今の時点ではある程度致し方ないか。
ヒートマップを見ると、低めにも下りてビルドアップのサポートをする意識が高く、さらにファイナルサードではサイド寄りでプレーに関与することが多い特徴が表れている。この試合特有の特徴であるのかは今後チェックしていきたい。
セバージョスのパス
【緑】成功、【赤】失敗
引用:Arsenal公式
セバージョスのパスの詳細を見ても、低めに下りてビルドアップをサポートしていることと、ファイナルサードではサイド寄りでプレーしていることがよくわかる。
味方と近い距離でプレーすることを好む傾向にあるのかもしれない。
セバージョスのドリブル
【緑】成功、【赤】失敗
引用:Arsenal公式
セバージョスのドリブル突破は3回中3回成功し(SofaScoreでは4回)、いずれもピッチ中央であることがわかる。
サイドではなく中央でドリブル突破して縦に持ち運べるのがセバージョスの強みのひとつであると言えるだろう。
今のアーセナルの中盤の選手たちの中では貴重な特徴であり、アクセントを付けるプレーとしてセバージョスに期待したいことである。リーグや相手チームの特徴がわかってくれば、より多く見られるようになるかもしれない。
ロングボールの持ち味を発揮したダビド・ルイス
第2節にして早くもスタメン起用されたダビド・ルイス。
やはり、やり慣れたプレミアリーグの舞台であり、味方との連携向上はまだまだこれからだとしても、一定のパフォーマンスを発揮してくれる頼れる存在になってくれそうである。
ダビド・ルイスのスタッツ
引用:SofaScore
ロングボールを多用したバーンリーに対し、空中戦では2回中2回勝利し、パパスタソプーロスとともに跳ね返した。
そして期待されたビルドアップ面では、ロングボールを9本中3本成功させた。
ダビド・ルイスのパス
引用:Arsenal公式
ダビド・ルイスのパスを見ると、前線へのロングパスがやはり特徴として表れている。成功したのは1本のみであるものの、前線への一発のロングパスがあることを見せるだけでも、相手の守備に影響を与えることができるだろう。
前線のオーバメヤンやニコラ・ペペとのイメージが合ってくれば、よりタイミングの合ったロングパスで決定機を作るシーンが今後は増えることが期待できそうである。
フィットにまだ時間がかかりそうなニコラ・ペペ
後半開始から途中出場したニコラ・ペペ。3-4-1-2に変更した71分からはオーバメヤンとともに2トップでプレー。
プレシーズンマッチに出場しておらず、さらにプレミア初挑戦となるため、リーグにもチームにもフィットするにはもう少し時間がかかるか。
ニコラ・ペペのスタッツ
引用:SofaScore
フィットしていないながらも、持ち味であるドリブルでは6回中4回成功。さらにキーパス3本でビッグチャンスクリエイト1回。アクセントを付けられる存在であることを示した。
さらに地上でのデュエルは9回中6回勝利。フィジカルコンタクトが強めなリーグ・アンでプレーしていたこともあり、プレミアのタフさはそれほど問題にならないかもしれない。
45分間の出場でボールロスト10回は多いが、リーグにもチームにもフィットしてくればもう少し減るのではないだろうか。
ニコラ・ペペのドリブル
【緑】成功、【赤】失敗
引用:Arsenal公式
期待された通り、サイドでドリブル突破できることを示したニコラ・ペペ。
昨季のアーセナルの中盤ではサイドでドリブル突破できるタイプの選手がほぼいなかったため、ニコラ・ペペのドリブル突破力は間違いなくプラスになるだろう。
連勝スタートし、いざビッグマッチ2連戦へ
試合内容としてそれほど完璧とは言えないまでも、格下相手にしっかりと連勝スタートしたのはプラス。新戦力たちが思ったよりも早く起用され、上々のパフォーマンスを見せている。
さらに今季はトップチームのメンバーとして戦力になることが期待されるネルソンとウィロックも好パフォーマンスを見せている。特にウィロックはトップ下でもボランチでもトップチームメンバーの中ですんなりとプレーしており、献身性と安定感を含めてもレギュラー争いに十分に割り込める可能性を見せている。
そして次節はアウェイでリバプールとの首位決戦。現時点での完成度の違いは認めざるを得ない。しかしながら、オーバメヤンとラカゼットの決定力が発揮され、新戦力であるセバージョス、ニコラ・ペペ、ダビド・ルイスらのアクセントが加われば、勝ち点を拾える可能性も無くはないだろう。ビッグマッチでのアーセナル特有のテンションの高さを発揮して、好パフォーマンスに期待したい。
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