CL復帰への執念を見せたアーセナル。アーセナル 対 チェルシー レビュー【2018/19プレミア第23節】

プレミアリーグ

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試合結果とフォーメーション

試合結果

2019/01/19 プレミアリーグ第23節
アーセナル 2-0 チェルシー

14分 ラカゼット
39分 コシェルニー

前半

2018/2019 プレミア 23節 アーセナル対チェルシー スタメンとフォーメーション

【アーセナル】基本:4-3-1-2 守備:4-3-1-2
【チェルシー】基本:4-3-3 守備:4-3-3

 

アーセナル3センターを採用し、右SBにはベジェリンがスタメン復帰。エジルはベンチスタート。チェルシーはお馴染みの4-3-3とし、アザールをトップで起用。アーセナルは負ければCL出場権獲得の4位以内が遠ざかる正念場の一戦。

序盤からアーセナル右サイドを中心に攻め、前線でファールをもらってセットプレーのチャンスを多く作っていく。

すると13分、右CKでショートコーナーを選択し、手前で受けたベジェリンがダイレクトで低めの速い弾道のクロスを上げる。PA内でラカゼットが上手くトラップすると、DFに囲まれながらも巧みなタッチでシュートコースを作り、最後はニアにシュートを突き刺す。アーセナルが早々に先制に成功

さらに38分、右サイドからのFK。トレイラがファーサイドの一番奥に蹴ると、コラシナツペドロに競り勝って落とし、パパスタソプーロスがそれをダイレクトでゴール前へ。DFラインをうまく抜けたコシェルニーが肩に当てながらもゴールに流し込み、アーセナルが追加点をあげる

チェルシーはCKからマルコス・アロンソのヘディングがポストに当たるシーンなどを作るものの、ゴールにはつなげられず。

アーセナルが2点をリードして前半を折り返す。

アーセナルのビルドアップとチェルシーの守備

アーセナルのビルドアップ時チェルシーは主に4-3-3のまま3トップがDFラインにプレスをかける形。しかし、アーセナルはSBを高く上げずに最終ラインでのビルドアップに参加させ、さらに3センターもいるため数的優位な状態に。

チェルシーは、(チェルシーの)右サイドペドロ、カンテ、アスピリクエタと比較すると、左サイドウィリアン、コバチッチ、マルコス・アロンソの方が明らかに守備で劣る。

そこを狙いたいアーセナルは、DFラインでボールを回していったん左サイドに寄せつつ、素早く右サイドに展開することで、ウィリアンのポジショニングやスライドの甘さを突いてパパスタソプーロスからベジェリンへいい形でボールを渡すことを狙い、何度も成功させていた。

サイドライン際に張ってボールを受けたベジェリンは、少ないタッチで素早く前方への展開を狙い、ラカゼットの裏抜けやポストからのフリック、もしくはラカゼットに通らない場合は右サイドに寄ってくるトレイラに入れることで前進を図ろうとした。右サイドで起点を作りつつ、オーバメヤンがゴール前で勝負できるポジショニングを取り、ラムジーは状況に応じて右サイドをフォローしたりゴール前に走り込んだりした。

ベジェリンから前方へ展開できない場面では、ジャカに渡して左サイドへの大きな展開をすることで、スペースがある中でコラシナツの突破力で勝負できるシーンを作っていった。

チェルシーのビルドアップとアーセナルの守備

チェルシーのビルドアップ時アーセナル2トップでCBにプレスをかけ、ラムジージョルジーニョをマークし、3センターがチェルシーのIHをケアする形。チェルシーのSBはフリーになりやすい状況に。チェルシーはケパダビド・ルイスからのロブパスでSBに渡そうとするも、そのタイミングがわかりやすくパスが届くまでの時間もあるため、アーセナルFWがプレスバックして寄せ、3センターもスライドし、ラムジージョルジーニョへのパスコースを消しながら挟むことで、SBにボールが渡ってもそこからの展開を困難にさせた。

チェルシーは後方からのビルドアップで前進に苦戦するも、ダイレクトパスでプレスをかいくぐったり、ダビド・ルイスの大きな展開から前進に成功したときには、サイドからの攻撃でチャンスを作ろうとした。左サイドはマルコス・アロンソ、コバチッチ、ウィリアンで数的優位を作ることで崩そうとし、右サイドはダビド・ルイスマルコス・アロンソからのサイドチェンジをペドロアスピリクエタがスペースで受けてから突破を図ろうとした。

アーセナルは中盤の3センターの左右のスライドで必死にケアしつつ、時には2トップがサイド深くまでプレスバックしてチェルシーのサイド攻撃を封じようとした。

前半のスタッツ

前半のスタッツ(左:アーセナル、右:チェルシー)
引用:SofaScore.com

ボール保持率チェルシーが大きく上回ったものの、シュート数枠内シュート数ビッグチャンス数ではアーセナルが大きく上回り、セットプレーの流れから2ゴールをあげた。チェルシー枠内シュート0本

サイドからの攻撃が目立ったチェルシーであるものの、クロス成功13本中3本のみで、ゴールに結び付けられず。

後半開始~67分

2018/2019 プレミア 23節 アーセナル対チェルシー スタメンとフォーメーション

【アーセナル】基本:4-3-1-2 守備:4-3-1-2
【チェルシー】基本:4-3-3 守備:4-3-3

 

後半開始時、両チームともにフォーメーション・メンバー変更は無し。

前半終盤と同じく、後半もチェルシーのボール保持が多くなるものの、アーセナルは中央・ゴール前をしっかりと固め、サイドからの攻撃にもしっかりとスライドして対応することでチャンスを作らせない。

68分~71分

2018/2019 プレミア 23節 アーセナル対チェルシー スタメンとフォーメーション

【アーセナル】基本:4-3-3 守備:4-3-3
【チェルシー】基本:4-3-3 守備:4-3-3

 

運動量を活かしてチェルシーの攻撃を防いできたアーセナルは、2枚替えで運動量を補って方針を継続。ラカゼットラムジーに代えてイウォビナイルズを投入し、フォーメーションを4-3-3に変更

2点ビハインドのチェルシーは、ウィリアンに変えてジルーを投入し、アザールを左サイドに移す。サイド攻撃からのクロスをジルーに届けてゴールに結びつけたい狙い。

72分~

2018/2019 プレミア 23節 アーセナル対チェルシー スタメンとフォーメーション

【アーセナル】基本:4-2-3-1 守備:4-4-2(4-5-1)
【チェルシー】基本:4-3-3 守備:4-3-3

 

72分、アーセナルベジェリンの負傷によりエルネニーを投入し、ナイルズを右SBに移し、フォーメーションを4-2-3-1に変更するイウォビトレイラがサイドになり、守備時は4-4ブロックを作る形に。

チェルシーの攻撃とアーセナルの守備

引き気味のアーセナルに対してチェルシーがサイドから攻撃する形は変わらないものの、アーセナルが中盤の守備を4枚にしたことで、横のスライドの負担が減り、チェルシーのサイドからの攻撃をよりケアしやすい状態に。エルネニーは前に出てオーバメヤンと一緒にプレスをかけたり、引いて中盤の4枚と一緒にブロックを作るなど、臨機応変に対応。

サイドからクロスを上げられたとしても、ゴール前のターゲットでケアしなければいけないのはジルー1人のため、コシェルニーパパスタソプーロスで挟み込んで対応した。さらには、オーバメヤンが終盤になってもプレスバックしてサイド深くまでケアして守備でも貢献。

 

チェルシージルー投入を活かせず、サイドからも崩し切ることができず、そのまま無得点。アーセナルが攻守に狙い通りのプレーをやりきってビッグロンドンダービーを制し、CL出場権争いに残ることに成功した。

後半のスタッツ

後半のスタッツ(左:アーセナル、右:チェルシー)
引用:SofaScore.com

チェルシーは後半、ボール保持率68%シュート7本ながら、枠内シュート1本のみビッグチャンス0クロス11本上げながら1本も成功せず

アーセナルは後半だけで26回クリアを見せ、DF陣がチェルシーの攻撃を跳ね返し続けた。

【PickUpData】チェルシーは枠内シュート1本に終わる

試合の流れ

 

守備でチェルシーをうまくハメたアーセナルが序盤に流れを掴むと、前半のうちにセットプレーの流れから2ゴールを奪い、そのまま試合を優位に進め続けた。後半はチェルシーが終始押し込む展開になるものの、アーセナルが大きなチャンスは作らせず。

マッチスタッツ(左:アーセナル、右:チェルシー)
引用:SofaScore.com

シュート数は変わらないものの、チェルシー枠内シュート1本ポスト直撃1本のみ。クロス24本上げて成功したのは3本のみアーセナルチェルシーの攻撃を跳ね返し続け、39回クリアを記録した。

平均ポジション(左:アーセナル、右:チェルシー)
引用:whoscored.com

アーセナルは、ベジェリンがいつもほど高い位置は取らずに低めでビルドアップの起点になり、逆にコラシナツは機を見てオーバーラップし、ファイナルサードでの攻撃に加わった。

チェルシーは、いつも通り左サイドのマルコス・アロンソが高めの位置を取って攻撃参加した。

攻撃サイド(左:アーセナル、右:チェルシー)
引用:whoscored.com

ヒートマップ(左:アーセナル、右:チェルシー)
引用:whoscored.com

アーセナルパパスタソプーロスベジェリンのポジションを起点にしていたことが、色の濃さによく表れている。また、サイドに寄って前進を図ったことで、敵陣内中央をほとんど使わなかったことも表れている。

チェルシーは、ビルドアップの出口となるSBのポジションとそこからのサイド攻撃を多く繰り出していたことが表れている。

コラシナツ(31)とベジェリン(2)のパスの詳細
緑:成功赤:失敗
引用:Arsenal公式

コラシナツベジェリンのパスを見ると、コラシナツがより高い位置でプレーに関与しており、逆にベジェリンは低い位置のサイドライン際でボールを受け、そこから前方への展開に貢献したことがよくわかる。

パスソナー
引用:Ben8t

アーセナルのパスソナーを見ると、ベジェリントレイラ以外は右サイド方向へのパスの割合が多く、右サイドを攻撃の起点にしていたことがよく表れている。

チェルシーのパスソナーを見ると、左サイドの3選手以外は左サイド方向へのパスの割合が多く、左サイドからの攻撃が多かったことがよく表れている。

ゴール期待値

ゴール期待値は、アーセナル1.43点に対して、チェルシー1.07点となった。

 

【PickUpData】アーセナルの2トップの守備での貢献

アーセナルの守備スタッツ
引用:whoscored.com

アーセナルは、トレイラタックル9回を記録し、ジャカゲンドゥージとともに、中盤での守備で大きく貢献。

また、オーバメヤンがFWながらタックル3回を記録し、守備でも貢献できることを示した。

オーバメヤンとラカゼットの守備の詳細
引用:Arsenal公式

オーバメヤンラカゼットの守備(タックル、インターセプト、クリア、リカバリー)を見ると、自陣深く(下が自陣側)までプレスバックして守備に大きく貢献したことがよく表れている。

【PickUpData】唯一驚異となったダビド・ルイスのロングパス

チェルシーのパススタッツ
引用:whoscored.com

チェルシーは、それほど印象深くは無かったものの、ウィリアンキーパス5本。また、ダビド・ルイスロングパス20本のうち18本を成功させ、大きなサイドチェンジやCB裏へのロングパスで、アーセナルの守備を崩すきっかけを作る可能性を見せていた。

D・ルイス(左)とケパ(右)のパスの詳細
緑:成功赤:失敗
引用:Arsenal公式

ダビド・ルイスのパスを見ると、右サイドへのロングパス(約10本)がすべて成功しており、改めてパス精度の高さが伺える。しかしアーセナルも、大きなサイドチェンジを通されつつも最後までスライドをサボらずに、決定機を作らせなかったと言えるだろう。

また、ケパのパスを見ると、やはり両SBへのロブパスが多くなっているものの、右サイドのアスピリクエタへのロブパスは約半分が失敗に終わっている。

 

【PickUpData】ファイナルサードで崩しきれなかったチェルシー

ジョルジーニョのパスの詳細:前半(左)、後半(右)
緑:成功赤:失敗
引用:Arsenal公式

ジョルジーニョの前後半のパスを見ると、終始ラムジーにマークされていた前半はビルドアップにほとんど関与できておらず、後半も、終盤は押し込んでボールに関与する機会が増えたものの、効果的な展開はできず、アーセナルジョルジーニョを封じきったと言える。

チェルシーのドリブルの詳細
緑:成功赤:失敗
引用:Arsenal公式

チェルシーのドリブルを見ると、ファイナルサードで多くのドリブルを仕掛けているものの、ほとんど失敗(赤)していることがわかる。特に左サイドは深くまで進入できているものの、パパスタソプーロスベジェリンの粘り強い守備を突破しきれなかったと言える。

チェルシーのクロスの詳細
緑:成功赤:失敗
引用:Arsenal公式

チェルシーのクロスを見ると、左右から多くのクロスを上げたものの、ことごとく失敗していることがわかる。

トレイラのセットプレーの精度の高さは今後の武器になるか

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徐々にセットプレーのキッカーを任されるようになっているトレイラであるが、この試合ではキックの精度の高さを存分に発揮。

得点につながらなかったものの、12分の左サイドからのFKでは、コシェルニーにピンポイントで合わせて決定機を演出。

2点目の場面では、FKでファーのコラシナツ(対ペドロ)へおそらく狙い通りのボールを届け、得点につなげることに成功。

鋭い軌道で精度の高いボールを蹴ることができるトレイラのセットプレーは、今後の試合の苦しい展開の中で、強力な武器になっていくかもしれない。

 

トップ4争いに生き残ったアーセナル。ベジェリンの負傷とエジルの処遇はどう影響する?

ライバルとの”シックス・ポインター”を制したアーセナルであるものの、ベジェリンは重傷の可能性が高く、シーズン絶望の可能性が十分にある。エメリ体制になってからのアーセナルにおいて、ベジェリンの重要度は非常に高く、攻撃を機能させるために欠かせない存在となっていた。右SBは、本職のリヒトシュタイナージェンキンソンに加え、ユーティリティーのナイルズが控えるものの、ベジェリンと同じタスクをこなすことは難しく、影響は避けられないだろう。

また、ベンチには入ったものの出番の無かったエジル。プレスの強度を求めた試合であったためにベンチスタートとなったと考えられ、やはりエジルはその点で評価されてないことは明らか。そしてこれは、退団確実のラムジーあってこその戦術であることも明らかであり、エメリはチームを今後どのように固めていくつもりだろうか。冬の補強も含めて、今後のアーセナルのキーポイントとなるだろう。

前節の振り返りはこちら
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