イエローカード乱発。アーセナル 対 ハダースフィールド レビュー【2018/19プレミア第16節】
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試合結果とフォーメーション
2018/12/08 プレミアリーグ第16節
アーセナル 1-0 ハダースフィールド
83分 トレイラ
前半

アーセナルは3バックを継続するものの、3センター+2トップという形を採用。イウォビとムヒタリアンがベンチに控える。エジル、ラムジーが負傷離脱しており、イウォビとムヒタリアンの負傷リスクを考慮したか。
アーセナルの攻撃とハダースフィールドの守備
フォーメーションが噛みあわせとなるため、ハダースフィールドはアーセナルの攻撃に対して、ほぼマンマークで前から強いプレスをかけてきた。アーセナルはジャカやゲンドゥージが動くことで起点になろうとするものの、それでもきつめにマークしてくるハダースフィールドの守備に対して自由に展開できず。また、左CBに入ったパパスタソプーロスがやはり左からのビルドアップを苦手としており、いつものように左サイド偏重の攻撃が機能しにくくなった。
それでもアーセナルは、27分、28分と立て続けにボール奪取からの速攻で決定機を作るものの、それぞれオーバメヤンとラカゼットが決めきれず。さらにアーセナルは、41分にレノからのロングボールをオーバメヤンがヘディングですらすと、拾ったCBのバックパスをラカゼットが奪ってゴールネットを揺らすものの判定はオフサイドでノーゴール。
対するハダースフィールドは守備でアーセナルの攻撃をうまく防いだものの、攻撃ではロングボールやカウンター狙いとなり、その質も高くないため、アーセナルを危険に晒すことができず。
スコアレスで前半を折り返した。
前半のスタッツ
前半のスタッツ
(左:アーセナル、右:ハダースフィールド)
引用:SofaScore.com
ハダースフィールドの厳しい守備もあり、両チームともにシュートが少なかった前半。アーセナルはそれでもビッグチャンスを2回作ったものの決めきれず。また、前半のうちに両チーム合わせてイエローカードが7枚も出る試合に。
後半
アーセナルの攻撃とハダースフィールドの守備
アーセナルのフォーメーション変更に対して、ハダースフィールドは噛み合わなくなったことで戸惑いを見せ、前からプレスをかけるシーンが減り、リトリートして守る場面が増える。下がって中央を固めるハダースフィールドに対してアーセナルは、ボールを保持して押し込む中で、ジャカがCB間に落ちたりゲンドゥージが左サイドに寄るなどして攻略の糸口を探るものの、ハダースフィールドの守備ブロックの外側でのパス交換が多くなる。
なかなか決定機を作れないものの、82分、ゲンドゥージがPA内へ浮球のパスを出すと、オーバメヤンがDFと競りながらもマイボールにし、ゴール前へあげたボールにトレイラがバイシクルシュートで合わせてゴールネットを揺らす。アーセナルが苦しみながらも先制に成功。
追いかけるハダースフィールドは最後までチャンスを作れず、アーセナルが辛くも勝利を手にした。
後半のスタッツ
後半のみのスタッツ
(左:アーセナル、右:ハダースフィールド)
引用:SofaScore.com
後半はアーセナルが押し込んだものの、枠内シュートは1本のみで、決定機をなんとか決めきったと言える。
【PickUpData】イエローカード合計9枚
マッチスタッツ
(左:アーセナル、右:ハダースフィールド)
引用:SofaScore.com
ハダースフィールドは枠内シュート0本に終わり、攻撃では見せ場をほぼ作れず。途中からは引き分け狙いの意図も合ったかもしれない。アーセナルも枠内シュートはわずか2本で、なんとか1点をもぎ取ったと言える。
さらに、両チーム合わせてイエローカード9枚という結果に。しかもアーセナルの5枚のうち3枚はシミュレーションによるもの。激しいファールも一部あったものの、試合全体を見てもそこまで荒れた試合とは言えず、審判のカードの基準に疑問が残る試合に。
平均ポジション
(左:アーセナル、右:ハダースフィールド)
引用:whoscored.com
アーセナルは前後半でフォーメーション変更したためあまり参考にならないが、ハダースフィールドの方は全体がかなり高い位置となっていることがわかり、厳しいプレスからの速攻を狙っていたことが表れていると言えるだろうう
攻撃サイド
(左:アーセナル、右:ハダースフィールド)
引用:whoscored.comヒートマップ
(左:アーセナル、右:ハダースフィールド)
引用:whoscored.com
アーセナルはやはり左サイドからの攻撃が多く、パパスタソプーロス、ジャカ、ゲンドゥージ、コラシナツらによって打開しようとしていたことが表れている。しかし、PA内にはほとんど入れておらず、ファイナルサードの攻略に苦戦したことが表れている。
【PickUpData】数字上は奮闘した3ボランチ
アーセナルの攻撃スタッツ
引用:whoscored.com
アーセナルの攻撃スタッツを見ると、ボランチ3枚がいずれもシュートやキーパスで一定の数字を残しており、攻撃で一定の貢献を果たしたと言えるだろう。
アーセナルの守備スタッツ
引用:whoscored.com
アーセナルの守備スタッツを見ると、ジャカがタックル成功数5回、クリア数6回で、守備でも奮闘したことがわかる。
【PickUpData】ゴール期待値とパスマップ
Passmaps & xGplot for Arsenal against Huddersfield Town. #passmap#xGplot#autotweetpic.twitter.com/ZeXm4oXzHh
— Between The Posts (@BetweenThePosts) 2018年12月9日
ゴール期待値は、アーセナルの1.81点に対して、ハダースフィールドは0.2点。ハダースフィールドがチャンスを作れなかったことが如実に表れている。
パスマップを見ると、ジャカが起点になっていたのがよく表れている。また、前半の3-5-2のフォーメーションにおいて、2トップと3センターの距離がキーとなる中、ラカゼットが間を繋ぐ役目を果たそうとしていたのがわかる。
ボランチ3選手のバランスは絶妙な綱渡り状態か
アーセナルの3センターのヒートマップ
引用:SofaScore.com
今夏加入のトレイラとゲンドゥージがともにチームに早くフィットしたため、3センターの選択肢が生まれており、徐々に試す時間も増えてきている。
しかし、この3選手のこれまでのプレーの特徴を踏まえると、決してバランスが良いとは言えないのではないだろうか。
ジャカはヒートマップにも表れている通り、左サイド寄りや左ハーフスペースあたりからフリーでボールを持つことで、持ち味のロングボールも交えた展開力を発揮することができる。ゲンドゥージはボールホルダーに寄るプレーが特徴であるため、ピッチを縦横無尽にプレーしがちであり、それにより相手の守備ブロックを崩すメリットもある。トレイラは主に右ハーフスペースあたりでバランスを取ったポジショニングをしつつも、より前線に絡むこともできる。
守備では、トレイラのリカバリー能力が際立っており、何度もピンチの芽を摘むプレーを見せている。ジャカは以前よりラフプレーが減ったものの、ボランチとしての守備での貢献は及第点かどうかといった程度か。ゲンドゥージはボールホルダーに寄せがちであり、それによりタックルやインターセプトでボール奪取できるシーンもあるものの、全体としてはポジショニングのバランスが崩れるきっかけを作りやすいプレーとなってしまっている。
3選手とも精度の高いロングパスを出せ、特にジャカとゲンドゥージはそれが顕著であり、それもあって、低めでのプレーで持ち味を出すタイプである。しかし、低めでのプレーを得意とする以上、守備での貢献度が求められるものの、現状ではそれほど高いとは言えず、ジャカとゲンドゥージの同時起用はバランスを保ちにくいと言えるだろう。
この3枚ではトレイラに前線への絡みが求められてしまいがちになるため、よりバランスを保てる3センターとするためには、ラムジーのような前線で貢献できる選手を3センターの一角で起用するか、低めに位置して守備でも高く貢献できる選手をトレイラとは別に置くかによって、トレイラの攻守のどちらかの負担を軽減する必要があるのではないだろうか。
今後の3センターの優先度とエメリの采配に引き続き注目していきたい。
21戦連続無敗を継続中。CBは緊急事態
パパスタソプーロスとムスタフィが累積警告で同時に次節出場停止となり、さらにムスタフィは負傷も抱え、CBが緊急事態となっている。次節は復帰したばかりのコシェルニーとモンレアルをCB起用することが濃厚であり、まさしく綱渡り状態と言える。特にコシェルニーは負傷の再発が心配であり、連続無敗を保っているものの正念場と言えるかもしれない。
年明けまでハードスケジュールが続く中、ELやカップ戦でうまくターンオーバーすることで乗り切ることができるだろうか。
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