またもトレイラ効果で激変!ニューカッスル 対 アーセナル レビュー【2018/19プレミア第5節】
開幕2連敗のあとに連勝して上向きつつあるアーセナル。アウェイで武藤が所属するニューカッスルと対戦。
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試合結果とフォーメーション
2018/09/15 プレミアリーグ第5節
ニューカッスル 1-2 アーセナル
49分 ジャカ
58分 エジル
91分 クラーク
PickUpData:少ないチャンスをものにしたアーセナル
マッチスタッツ(左:ニューカッスル、右:アーセナル)
引用:whoscored.com
シュート数は12本でそのうち枠内シュートがわずか2本という内容であったものの、2得点を奪ったアーセナル。守備では、ニューカッスルの攻撃をわずかシュート4本に抑えた。
平均ポジション(左:ニューカッスル、右:アーセナル)
引用:whoscored.com
攻撃サイド(左:ニューカッスル、右:アーセナル)
引用:whoscored.com
ヒートマップ(左:ニューカッスル、右:アーセナル)
引用:whoscored.com
前節と同様のスタメンを起用したことで、特に攻撃時に、オーバメヤンが中央に移り、ラムジーが左サイド寄り、エジルが中央にポジショニングすることから、左サイドを起点に攻撃する形となった。おそらくチーム全体として意図した形だろう。ヒートマップを見れば分かる通り、ジャカが左のハーフスペースで自由に配給する形が多くなっており、特に後半にそこを起点として攻撃のスムーズさを生み出した。
PickUpData:エジルが最多のキーパス数
パススタッツ
引用:whoscored.com
今シーズン、好調とは言えないパフォーマンスが続いているエジルであるが、特に後半にトレイラが入ってから、高い位置でボールに関わることができるようになった。その結果、キーパス数も3回を記録し、チームトップの数字に。
前半のみで交代となったゲンドゥージであるが、パス成功率は97.5%という高い数字となっているものの、試合内容を見る限り、効果的なプレーができていたとは言えないだろう。ゲンドゥージのプレーの詳細については、後述する。
PickUpData:ボランチ3選手のポジショニング
ボランチのプレーエリア
引用:sofascore.com
同じ45分間ずつのプレーとなったゲンドゥージとトレイラであるが、プレーエリアに大きな違いが現れている。
ジャカが左利きであり右足のキックが得意でないため、左サイド寄りの位置で角度を付けてボールを展開できるシーンが作れると、ジャカの左足のキック精度を活かしやすい状況となる。
ゲンドゥージのプレーエリアを見ると、基本ポジションは右ボランチでありながらも、左右に幅広く動いていることがわかる。試合中もジャカがゲンドゥージにポジションを指示するシーンが何度も見られたが、ジャカとの位置関係が近すぎたり遠すぎたりしたのではないだろうか。それに比べてトレイラは、左サイドに寄ることはほとんどなく、右ハーフスペースで意識的にポジショニングしており、さらに、ゲンドゥージよりも前線に絡むポジショニングも見せている。
ゲンドゥージが右サイド寄りでのプレーが多くなっているが、現状のアーセナルの攻撃の形では、スタートポジションは2列目右のエジルが中央に寄り、空いた右サイドの高い位置にベジェリンが上がる形を取っているため、マークされている状態のベジェリンにゲンドゥージが渡しても、ほとんどのシーンでパスがリターンされているように思える。左サイドを効果的に使うために右サイドに一度展開するのであればよいが、ゲンドゥージが右に寄りすぎており、左サイドに展開し直すにもCBを経由して時間がかかっているのではないだろうか。結果的にパス成功率は高いものの、効果的なプレーにはつながっていないと考えられる。
またも後半からのトレイラ投入で流れが激変
前述のとおり、トレイラが入ったことで全体のバランスが改善され、チーム全体のパフォーマンスが向上して2得点を奪い、押し込む時間帯も多くなった。守備でも、カウンターを受けそうな場面で早めにチェックしたりカバーリングしたりすることで、相手の逆襲を防いでいたと言えるだろう。
代表戦で負傷した情報もあったため、コンディションに不安があったことでベンチスタートになったのかもしれないが、誰がどう見てもスタメンに値するパフォーマンスを見せていると言えるだろう。
トレイラをスタメンに起用することで、攻守において安定感が増し、試合全体の内容が向上する可能性が高い。ヨーロッパリーグの試合で誰をローテーションさせるのか気になるものの、是非ともリーグ戦次節はトレイラをスタメンで見てみたいものである。
奮闘したパパスタソプーロス
チーム全体として守備がそれほど安定していないものの、その中でもパパスタソプーロスとムスタフィは最後の局面で奮闘して失点を防いでいると言えるだろう。数字には顕著には現れていないものの、パパスタソプーロスはこの試合でもカウンターを受けた場面で見事なスライディングでボールをカットしてピンチを防いだ活躍をしていた。
CBのコンビを固定しているため、パパスタソプーロスとムスタフィのどちらかが欠場した場合が心配であるものの、このCBコンビは徐々に連携を高めてパフォーマンスを向上させていると言えるはずである。
ラカゼットとオーバメヤンの共存はいまだ試行錯誤中
前節に続き、ラカゼットとオーバメヤンが同時起用されたが、メリットとデメリットが徐々に明確になってきたかもしれない。
ボールを高い位置まで運ぶことができれば、オーバメヤンが中央に入って、ゴール前でストライカーの仕事をすることができるため間違いなくプラスであるが、ビルドアップの場面では、サイドの低い位置でオーバメヤンがボールを受けても、狭いスペースではスピードを活かすこともできず、リスキーな1対1でボールロストしたりする場面が見られた。
また、ラカゼットとオーバメヤンの同時起用によりムヒタリアンがベンチに追いやられている状況であるが、攻守にバランスが取れて幅広いプレーができるムヒタリアンを起用しないのはもったいないとも言える。
今後は前線の別の組み合わせをもう少し試してもいいのではないだろうか。
ELでは控え組が積極的に起用されるだろうか
リーグ戦5節を終え、来週からはいよいよヨーロッパリーグの戦いが始まる。ここまでメンバーをかなり固定してきたため、相手のレベルも踏まえると、大幅なローテーションが行われる可能性が高いだろう。特に新加入のリヒトシュタイナーやレノはほとんど出場機会が無いため、ここで起用される可能性が高いか。また、プレシーズンで活躍したスミス・ロウなどの若手メンバーもスタメン入りしてもおかしくないだろう。
リーグ戦とEL、カップ戦をどのように戦っていくのか、エメリの采配に注目したい。
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