今季のアーセナル、活躍したのは誰? ~各選手通信簿~【2018-2019シーズン | レビュー】

2019年6月26日アーセナル

アーセナルの選手通信簿 2018-2019シーズン

エメリ就任1年目であり、22年ぶりの監督交代後のシーズンとなった2018-2019シーズンのアーセナル。各選手の活躍度合いを振り返る。

 

2018-2019シーズンのアーセナルの成績

  • 【プレミアリーグ】5位
  • 【ヨーロッパリーグ】準優勝
  • 【FAカップ】4回戦敗退
  • 【カラバオカップ】準々決勝敗退

プレミアでは最終盤で失速して4位以内を逃し、最後の望みであったEL制覇によるCL出場権獲得も逃し、またしてもCL復帰は叶わなかった。

監督交代直後のシーズンとして大崩れせずにCL復帰まであと一歩のところまで迫ったというポジティブな捉え方もできれば、またしてもあと一歩及ばなかったという捉え方もできるかもしれない。

ホールディングウェルベックベジェリンらの長期離脱の影響も間違いなくあったとはいえ、怪我人に悩まされるのもヴェンゲル時代から変わらないアーセナルの残念な特徴である。

 

それでは、各選手の2018-2019シーズンのパフォーマンスを振り返っていきたい。

【GK】世代交代、完了

チェフが正GKとしてシーズンをスタートさせたものの、10月のチェフの負傷で出番を得たレノがレギュラーポジションを奪取。その後、リーグ戦はレノ、ELとカップ戦はチェフという形で出番を分け合い、ゴールマウスを守った。

一方で、第3GKとしてマルティネスイリエフが控えていたが、カップ戦含めてもほぼ出番がないまま終わり、チェフがいなくなる来季のGK陣には若干の不安が残ることに。

※出場試合数およびゴール数は、全コンペティションの合計

レノ

チェフの負傷で出番を得ると、アピールに成功してそのままレギュラーを確保。当初は足元の技術がチェフより上回っていることが注目されがちであったが、次第にビッグセーブでチームを救うよりになり、まさしく守護神となった。

プレミアリーグに慣れて迎える来季は、正守護神としてより高いレベルで安定したパフォーマンスを発揮してくれることを期待したい。

チェフ

レノにレギュラーポジションを奪われたものの、ELでは起用され続け、着実なパフォーマンスで決勝進出に貢献。

現役引退をELのタイトル獲得で飾ることはできなかったものの、ベテランらしい貢献度の高さで最後までプロフェッショナルな姿勢を見せてくれたと言えるだろう。

 

【CB】かろうじて戦い抜く

移籍の可能性もあったムスタフィが残留し、チェンバースはローンで放出。頼りのコシェルニーは冬まで復帰できず、新加入のパパスタソプーロスが即フィットしてくれることを期待せざるをえない不安いっぱいの状態でシーズンイン。

それでも、早々にスタメンに定着したパパスタソプーロスが序盤から一定のパフォーマンスを見せると、ホールディングも徐々にプレー機会を得て安定したパフォーマンスでレギュラークラスに定着。しかし、12月にホールディングのシーズン終了となる負傷離脱でまたも不安定なCB陣となるも、ほぼ入れ替わりで復帰したコシェルニーが怪我の再発もなくチームを引っ張り続けた。

ホールディングの離脱後、CB4番手として期待されたマヴロパノスが負傷などもありほとんど出場機会を得られず、来季以降の立ち位置が不透明である点が気がかりである。

コシェルニー

前シーズン終盤での長期離脱から冬に復帰すると、どれほどのパフォーマンスと安定感を見せてくれるか未知数であった中で、良い意味でそれを裏切るパフォーマンスを披露。キャプテンとしてチームを引っ張り続けた。

パパスタソプーロス

数少ない安定したCBとして加入1年目ながら好パフォーマンスを披露。カードの多さが少し気になるが、アグレッシブな守備でピンチを防くこともしばしば。

来季は、より中心となってDFラインを統率してほしい。

ムスタフィ

昨夏にも退団の噂がありながら残留し、結果的に多くの出場機会を得たものの、不安定なパフォーマンスは終始批判の的に。アーセナルがCLに復帰するためには、この選手に頼らなくてもよい陣容が必要かもしれない。

ホールディング

右利きながらも3バックの左CBで安定したプレーを見せ、レギュラーとしてシーズンを戦い抜いてくれることを期待していたところでの重傷によりシーズン終了。

来季は怪我なくレギュラーとしてプレーし、今後数年間のアーセナルの最終ラインを引っ張っていく存在になってほしい選手。

マヴロパノス

CBの負傷が続出した時期があったものの、自身の負傷もあって、ほとんどプレー機会を得られず。チェンバースがローン移籍しマヴロパノスを残したことで、評価はそれなりに高いかと思われていたが、いまではその発想も当てにならず。

この夏のプレシーズンでのアピール次第で、来季の所属や立ち位置が変わりそうである。

【SB】困ったときのナイルズ頼み

両サイドともに中堅のベジェリンコラシナツにベテランのリヒトシュタイナーモンレアルというバランスの良い陣容と思われたものの、両サイドともに負傷者が目立ち、リヒトシュタイナーが左SBをやったり、ナイルズが右SBとしてたびたびプレーするなどして回す羽目に。そして一番のトピックは、1月のベジェリンの負傷によるシーズン終了。その後、右SBのスタメンとして定着したナイルズのパフォーマンスは評価できるものの、ベジェリンの特徴を活かしたエメリのチーム作りに大きな影響があったのは間違いないだろう。

コラシナツ

ペナルティーエリア深くまで切り込める推進力はチームにとって欠かせないものであったが、ゴール前でのプレーの精度は若干物足りなかったか。守備面でも安心して見ていられるとは言えず、来季以降の起用法や立ち位置はどうなるだろうか。中盤左サイドとしての起用が増える可能性もあるかもしれない。

モンレアル

左SBでもCBでも常に一定のパフォーマンスを見せる安定感でチームに大きく貢献した。コシェルニーとともにこのベテランに頼らざるを得ないDFラインではあるが、そろそろ後釜を確保する必要がある時期に来ているのではないだろうか。

ベジェリン

SBに高い位置でのポジショニングを求めるエメリの戦術において欠かせないキープレイヤーとなっていたものの、1月の負傷によってシーズン後半戦を欠場することに。チームとしての戦い方にも影響する大きな離脱となった。

来季開幕も間に合わないことが濃厚であり、復帰後にどの程度のパフォーマンスを見せられるか若干不安が残る。来季はベジェリンのアーセナルでのキャリアを左右する重要なシーズンになるかもしれない。

ナイルズ

シーズン序盤、負傷によりしばらく戦線離脱していたものの、徐々に出番を増やし、SB、WB、2列目右サイドでもプレー。ベジェリンの長期離脱以降は右SB・WBのレギュラーに定着。運動量とスピードを活かした上下動に加え、足元の技術の高さで攻撃面でも貢献。

もともと本職であったはずのボランチでのプレー機会がないことを本人がどのように捉えているかわからないが、来季も右SBの選手としてカウントされることが濃厚かもしれない。

リヒトシュタイナー

本職の右SBだけでなく、左SBさらには3バックのCBまでをもこなし、ベンチからもチームを支え続けた。攻撃面での貢献度があまりにも低い点が徐々に顕著になると、次第にプレー機会が減っていった。残念ながら契約延長に至らずに1年で退団。

ジェンキンソン

昨夏に退団確実と思われていた中、負傷したことで移籍が決まらずに残留。実質戦力外と思われていたものの、DFラインの負傷者続出などもあり、ELやカップ戦で一定の出場機会を得た。しかし、序列を変えるほどのアピールができたとは思えず、この夏の退団が確実と言えるだろう。

 

【ボランチ】新加入2人の早々のフィットと組み合わせ問題

ラムジーを2列目、ナイルズをSBとして計算したことで、ボランチは4選手のうち2選手が新加入選手という陣容に。しかし、ゲンドゥージトレイラもフィットが早く、ジャカを含めた3選手がローテーションで起用され、3センターさえも使われるほどに。

一方で、あくまでもジャカが主軸であり、ジャカがいてこそのゲンドゥージトレイラのパフォーマンスとも言える。ベストな組み合わせや起用法の模索は来季も続くかもしれない。さらに、3選手の離脱が少なかったことで回せたものの、4番手の心細さを感じられずにはいられなかったとも言えるだろう。

ジャカ

シーズン前半、SBやCBでもプレーして新たな境地を見出したジャカ。新加入のトレイラゲンドゥージが好パフォーマンスを見せたシーズンではあったものの、主軸となったのはやはりこの選手。左足から繰り出される長短のパスによる展開力はアーセナルのビルドアップに欠かせない。来季も中心選手として安定したプレーを期待したい。

トレイラ

チームへの合流が遅れたことでシーズン序盤はベンチスタートが続いたものの、途中出場で確実にアピールをし続けてすぐにレギュラークラスに昇格。さらに、ノースロンドンダービーでのゴールでグーナーの心を鷲掴みにした。結果的にゲンドゥージとポジションを分け合うような立ち位置となり、シーズン後半は疲れのせいかパフォーマンスがやや落ちたものの、加入1年目としては合格点のパフォーマンスであったと言えるだろう。

プレミアリーグに慣れた来季はより一層の活躍を期待せずにはいられない。ジャカゲンドゥージと異なる特徴をより一層際立たせるようなパフォーマンスで欠かせない存在になってほしい。

ゲンドゥージ

プレシーズンでのアピールによりシーズン序盤からスタメンに抜擢。トップレベルでも堂々と持ち味を発揮できる素質を見せ、推進力・展開力でチームを支えた。徐々に守備の緩さが目立つようになり、シーズン後半には批判も増えたものの、まだ20歳であることを踏まえれば改善の余地は十分。来季のさらなるステップアップに期待したい。

エルネニー

新加入のゲンドゥージトレイラが早々にフィットしたため、ボランチの4番手に。ELなどで出番を得たものの、アピールはできずにもはや評価は悪くなる一方。この夏の退団がほぼ確実と言えるだろう。

 

【攻撃的MF】最後まで定まらなかった2列目の起用法

トップ下はゲームプランによってラムジーエジルを使い分ける起用法が確立し、左サイドもオーバメヤンが入ったり好調を維持したイウォビが入るケースが多かったが、安定しなかったのは右サイド。結果的に2列目のほとんどの選手が一度は右サイドで起用され、本来主軸として期待されたムヒタリアンは安定したパフォーマンスを見せられず。おそらく右サイドのために補強されたデニス・スアレスも残念ながら穴埋めにはならなかった。

ラムジーが退団したのみでなく、エジルムヒタリアンもその高給がネックとなり放出される可能性も。来季に向けて2列目の陣容が不確定な状況である。

エジル

シーズン序盤はトップ下のポジションをラムジーに奪われ、右サイドで出場するなどの処遇に移籍の噂が再燃していたが、徐々にトップ下での出場機会を得ると、シーズン終盤にはパフォーマンスが右肩上がりに。しかし、EL決勝での交代時の行動がまたもや批判の的に。

違いを作れる貴重な選手であることは間違いないが、CL出場を逃したチームにおいて、高給に見合わないパフォーマンスのこの選手の夏の去就は不透明である。

ラムジー

持ち前の運動量をエメリに評価され、シーズン序盤はトップ下のレギュラーに。しかし、守備面での貢献度の高さに反して、攻撃時の貢献度はそれほどでもなく、移籍騒動もあって徐々に序列が下がった。冬の時点でシーズン終了後のユベントス移籍が決定したものの、移籍が決まってからのほうがよりパフォーマンスが上がったようにも見え、シーズン最後まで全力でプレーするプロフェッショナルな姿勢を見せてくれた。

アーセナルを象徴する選手の退団はただただ悲しい限りである。

ムヒタリアン

2列目の主軸として期待されていたものの、中心選手と言えるようなパフォーマンスを見せるには至らなかった。ビルドアップの出口になる動きや献身的な守備で一定の貢献をし続けたとは言え、ゴールに結びつくプレーは物足りなかったと言える。

すでに30歳であり、この選手の去就もエジルとともに不透明な状況である。

イウォビ

プレーの判断が向上するとともに、ドリブルのキレがワンランクアップしたような印象が残った。フォーメーションによって出番が左右される部分もあったが、ほぼレギュラーとして戦い抜いたシーズンと言えるだろう。フィニッシュの精度が向上すれば、リーグでも指折りのサイドアタッカーになれるのでは。

来季はより欠かせない存在になってほしい。

デニス・スアレス

2列目の駒不足から冬にローン加入したものの、チームへのフィットが遅れ、途中出場で出番を得てもアピールには至らず。ほぼ何もできずにローン終了で退団となった。

ウィロック

ELやカップ戦で出番を得て一定のパフォーマンスを見せると、シーズン終盤にはリーグ戦でもベンチ入りする機会を増やしていった。最終的にリーグ戦出場は2試合に留まったが、EL決勝の途中出場でのパフォーマンスは来季の飛躍を期待させるものであった。2列目でもボランチでもプレーできることもプラスであり、来季は貴重な戦力となってくれることに期待したい。

 

【FW】安定稼働のWストライカーと第3FW問題

オーバメヤンラカゼットの起用法が注目されたシーズン序盤であるが、オーバメヤンをサイドで起用したり2トップを採用するなどして、エメリはこの2選手をうまくコントロール。結果として、2人ともほとんど怪我なくシーズン通して安定してプレーし続け、オーバメヤンはよりゴールという直接的な結果で、ラカゼットはより幅広い貢献で、チームを牽引したと言えるだろう。

しかしながら、試合終盤でアクセントを付けられるウェルベックが11月にシーズン終了となる重傷を負い、その後3番手となったはずのエンケティアはほとんど起用されずに終わったことは、選手層およびバリエーションという点で来季へ向けた課題となる。

オーバメヤン

シーズン前半には数少ないチャンスを確実にゴールに結びつける決定力を見せたと思えば、シーズン後半には決定機をたびたび外す印象が残ってしまった。しかし、怪我がほぼなくシーズンを通して出場し、安定してゴールを重ねたことでプレミアリーグの得点王を獲得。

仲の良いラカゼットとのコンビネーションもバッチシで、多くのフォーメーションにも適用。加入当初よりもプレーの幅が広がり、ゴール以外での貢献度も上がりつつある。来季も間違いなく20ゴール以上を期待してよいだろう。

ラカゼット

万能で器用なFWとしてオーバメヤンとは異なる特徴を持ち、周りを活かすプレーや前線での守備で高い貢献度を見せ、欠かせない戦力であった。1トップとしてはオーバメヤンのほうが優先度が高く、試合途中に下がることも多く、本人としては満足してない部分もあるかもしれない。その悔しさを来季はより直接的な結果で示してくれることに期待したい。

ウェルベック

FW3番手およびサイドプレイヤーとして、運動量とスピードを活かしたプレーでアクセントを付けられる存在であったものの、11月の重傷によりシーズン終了。残念ながら契約延長に至らず、退団が決定した。

エンケティア

ローン移籍による修行も噂されたものの、結局シーズン通して残留してトップチームに帯同。しかし、オーバメヤンラカゼットの離脱がほとんどなかったのも影響し、ベンチ入りすら数えるほどに終わる。

しかし、EL決勝での途中出場した際のプレーは来季を期待させるものであった。果たして来季の立ち位置はどうなるだろうか。

 

来季へ向けてカギを握るのは・・・

昨夏の新加入5選手のうち4選手がほぼレギュラークラスの戦力となったことはプラスに捉えていいのではないだろうか。しかもいずれもプレミアリーグ初挑戦であったことも踏まえると、来季はよりフィットした状態でシーズンインできることから、上積みを期待していいだろう。レノゲンドゥージトレイラはまだまだ選手として伸びしろがあるのは間違いないし、パパスタソプーロスにはベテランとしてDFラインを引っ張ってもらいたい。

CL出場権を逃したことで大型補強は望めず、人員整理を優先して安い選手・若い選手で選手層を補うような夏になる可能性が高い。来季によりよい成績を残せるかどうかは、2年目となるエメリのチーム作りにかかっているのではないだろうか。