空回ったサウサンプトン。アーセナル 対 サウサンプトン レビュー【2018/19プレミア第27節】
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試合結果、スタメン、フォーメーション
2019/02/24 プレミアリーグ第27節
アーセナル 2-0 サウサンプトン
6分 ラカゼット
17分 ムヒタリアン
2週間ぶりのプレミアリーグ。アーセナルは、ELで退場し休養たっぷりのラカゼットがオーバメヤンに代わりスタメン出場。フォーメーションは4-2-3-1を採用。
対するサウサンプトンは、3-5-1-1を採用。吉田はベンチスタート。
前回対戦ではクロスからのヘディングによる3失点で敗戦したアーセナル。ホームで意地を見せたいところ。
前回対戦の振り返りはこちら
急造DFラインで耐えきれず。サウサンプトン 対 アーセナル レビュー【2018/19プレミア第17節】
試合経過と両チームの狙い
【0~20分】 トランジション合戦の気配と早い時間帯の2得点
序盤からサウサンプトンは前から強くプレスをかけるものの、アーセナルはダイレクトパスを繋ぐことで、逆にサウサンプトンが前に出ることでできたスペースをうまく使うシーンが目立つように。
試合は開始早々の5分、早い展開でイウォビが左サイド深くまで突破すると、中に折り返したボールに大外のムヒタリアンが合わせてシュート。これをシュートコース上にいたラカゼットがコースを変えてゴールネットを揺らす。アーセナルが先制に成功。
その後サウサンプトンもゴール前まで攻め込む場面を作るものの、16分、サウサンプトンの最終ラインでのパス交換からボールを奪ったアーセナルは、イウォビが左サイドからドリブルで仕掛け、中に折り返したボールにまたしても大外のムヒタリアンが合わせる。ダイレクトで打ったシュートはキレイにゴール右隅に決まる。アーセナルが追加点を奪うことに成功。
アーセナルの攻撃とサウサンプトンの守備
アーセナルのビルドアップ時、アーセナルの自陣内やミドルゾーンでは、サウサンプトンはラインを高くして前からどんどんプレスをかけていった。しかし、フォーメーション的には噛み合わせることも可能であるが、マンツーマンというわけでもなく、それほど連動しているようには見えないプレスに。
特に、アーセナルのSBに対してサウサンプトンのIHかWBのどちらがプレスをかけるか定まっておらず、アーセナルはSB or ボランチがボールが受けやすい状況に。ダイレクトパスを繋ぐことでサウサンプトンのプレスをかいくぐるシーンが多くなった。
右サイドでは、ウォード=プラウズが空けたスペースをムヒタリアンが下りてきて使おうとするもヴェスターゴーアが付いてくるが、ラムジーやラカゼットも右サイドに寄ることで、近い距離での少ないタッチのパス交換により前進するシーンを作っていた。
また、右サイドに人数をかけたのちに詰まったときには、ジャカから左サイドへの大きな展開により空いたスペースを突くことを狙っていた。意図的に右サイドで回した後に左サイドに展開していたのかもしれない。
アーセナルの攻撃
- 【定位置攻撃】
(自陣&ミドルゾーン)ダイレクトパスによるプレス回避、右サイド密集→左サイド展開
(ファイナルサード)左右の揺さぶりからの縦パスやサイド深くの突破 - 【ポジトラ(ボール奪取時)】ダイレクトパスを繋いで縦に早め
サウサンプトンの守備
- 【守備ブロック】
(敵陣&ミドルゾーン)3-5-2で前プレ強め
(自陣深め)5-3-2でリトリート、中盤3枚が左右にスライド
サウサンプトンの攻撃とアーセナルの守備
サウサンプトンのビルドアップ時、最終ライン3枚に対してアーセナルの前プレは2枚、さらにサウサンプトンは3センターも絡むことで、後方で余裕を持ってボールを保持できる状況を作ることができた。前進することはそれほど難しくなく、ボールを持つとアーセナル陣内に押し込む場面を一定数作れていた。
前進に成功したら、レドモンドやアームストロングがサイドに寄ってフォローすることで人数をかけ、サイドからの突破によりチャンスを作ろうとしたものの、中央で待つ人数が少ないために最終ラインを崩し切るには至らないことが多かった。
サウサンプトンの攻撃
- 【定位置攻撃】後方の数的優位からの前進、サイド攻撃
- 【ポジトラ(ボール奪取時)】サイド奥への早い展開
アーセナルの守備
- 【守備ブロック】4-4-2ブロック、前プレそれほど強くない
【21分~前半終了】 下がり始めるサウサンプトン
早々に2点のリードを許したサウサンプトンは前プレを弱め、自陣にリトリートするようになる。アーセナルも急いで攻める必要がなくなり、アーセナルが押し込んでボールを保持する時間帯が増えていく。
そのままアーセナルが優勢に進めて前半を2点リードして折り返す。
前半のスタッツ
前半のスタッツ
(左:アーセナル、右:サウサンプトン)
引用:SofaScore.com
前半はアーセナルがシュート11本、ビッグチャンスを3回作り、そのうち2回を決めて2得点を奪った。サウサンプトンはシュート3本に終わり、ビッグチャンスを1回作ったものの活かせなかった。
また、アーセナルはロングボールを36本中24本成功させ、大きな展開でサウサンプトンを揺さぶった。さらに序盤のインテンシティの高いシチュエーションでもデュエルに勝利したのはアーセナルで、前半だけで31回のデュエル勝利数となった。
【後半】 サウサンプトンのシステム変更とアーセナルの余裕
45分:【サウサンプトン】スティーブンス、アームストロング → オースティン、オバフェミ
サウサンプトンは後半開始から2枚替えし、フォーメーションも4-4-2に変更。
サウサンプトンのシステム変更により、噛み合わせがシンプルになったことでお互いがそれぞれボール保持する時間を作るようになるものの、2点リードのアーセナルはそれほどリスクをかけずに余裕を持って試合を進める。
サウサンプトンは、オバフェミとレドモンドが左サイドでスピードとアジリティの高さを活かしてリヒトシュタイナーのサイドを突こうとする。
56分:【アーセナル】リヒトシュタイナー → コシェルニー
リヒトシュタイナーの負傷により、コシェルニーを投入。ムスタフィが右SBに移り、コシェルニーが左CBに入る。
63分:【アーセナル】ラムジー → エジル
65分:【サウサンプトン】オバフェミ → エルユヌシ
サウサンプトンは後半から起用したばかりのオバフェミが負傷し、わずか20分でピッチを去ることに。
75分:【アーセナル】イウォビ → オーバメヤン
ラカゼットに代わり投入予定であったオーバメヤンであるが、イウォビの負傷により交代カードが変更される。
後半にシュートが無かったアーセナルであるが、終盤にオーバメヤンのスピードや突破力で追加点のチャンスをつくるも決めきれず。
サウサンプトンは巻き返すことができず、アーセナルが前半のリードを守りきって勝利した。
後半のスタッツ
後半のスタッツ
(左:アーセナル、右:サウサンプトン)
引用:SofaScore.com
後半はサウサンプトンが押し込んだわけではないものの、アーセナルのシュート数は1本のみ。追いかけるサウサンプトンはシュート7本打ったものの、枠内シュートは2本のみで、ビッグチャンスは無しに終わった。
【PickUpData】ファイナルサードの突破に差が出た試合
試合の流れ
決してサウサンプトンが押し込まれ続けた試合内容ではなかったものの、ペースを握ってもチャンスにあまり繋がられず、そういう意味ではアーセナルが試合を通じて優勢に進めたと言える。
マッチスタッツ
(左:アーセナル、右:サウサンプトン)
引用:SofaScore.com
アクションゾーン
(左:アーセナル、右:サウサンプトン)
引用:whoscored.com
サウサンプトンもボール保持時に押し込むシーンを作れており、試合を通してみると、サウサンプトン陣内よりもアーセナル陣内の時間帯が多い結果となった。
平均ポジション
(左:アーセナル、右:サウサンプトン)
引用:whoscored.com
攻撃サイド
(左:アーセナル、右:サウサンプトン)
引用:whoscored.com
サウサンプトンは左サイドからの攻撃が半数を超える55%となった。
ヒートマップ
(左:アーセナル、右:サウサンプトン)
引用:whoscored.com
アーセナルは左右のサイドともに深くまで進入できていることがわかる。一方のサウサンプトンは、左サイドを起点にしていたものの、PA内にはあまり進入できなかったことがわかる。
ゴール期待値
Arsenal vs Southampton xG
Arsenal had some dangerous moments in the second half that didn’t turn into shots but overall the hand break was on. pic.twitter.com/rIorOrXpWm
— Scott Willis (@oh_that_crab) 2019年2月24日
ゴール期待値
アーセナル:2.48点
サウサンプトン:1.14点
【PickUpData】効果的だったジャカからの展開
ジャカ(左)、トレイラ(右)のパス ※前半のみ
※緑:成功、赤:失敗
引用:Arsenal公式
ジャカとトレイラのパスを見ると、ジャカが左右に振る大きな展開のパスを多く繰り出し、トレイラはショートパスで左右に展開していることがわかる。
また、スタートポジションはジャカが左、トレイラが右になるものの、この試合ではジャカが右寄りでボールを受けて左サイドに大きな展開をするシーンが目立った。
ラカゼット(左)、ラムジー(右)のパス ※前半のみ
※緑:成功、赤:失敗
引用:Arsenal公式
ラカゼットとラムジーのパスを見ると、ラカゼットが右サイド寄りかつ下りてきてのパスが多く、ラムジーはトップ下での出場ながら、中央ではボールに絡んでおらず、ボールサイドをサポートすることで突破に貢献していたことがわかる。
サウサンプトンの守備 ※前半のみ
(タックル、インターセプト、リカバリー)
引用:Arsenal公式
サウサンプトンの前半の守備を見ると、サウサンプトンの左サイド(アーセナルの右サイド)での守備機会が多く、ヴェスターゴーアが積極的に前に出て守備をしていることも特徴的である。
サウサンプトンとしては、左サイドでボールを奪ってそのまま左サイドから攻めたかったのかもしれない。
2試合連続クリーンシートのアーセナル
ELの2ndlegに続き、2試合連続のクリーンシートで勝利を納めたアーセナル。4位に浮上し、3位トッテナムとは勝ち点7差。週末のノースロンドンダービーで勝利すれば勝ち点をさらに縮められるだけに、ミッドウィークのボーンマス戦も確実に勝ち点3を掴みたいところ。
この試合ではリヒトシュタイナーとイウォビが負傷したものの、いずれも軽傷の見込みであり、シーズン終盤の4位争いに向けてチームの状態は上向きになりつつあるかもしれない。
前節の振り返りはこちら
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