3種類のフォーメーションを披露。アーセナル 対 ウォルバーハンプトン レビュー【2018/19プレミア第12節】
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試合結果とフォーメーション
2018/11/11 プレミアリーグ第12節
アーセナル 1-1 ウォルバーハンプトン
13分 カバレイロ
86分 ムヒタリアン
前半

序盤からアーセナルがボールを保持するも、ウルブズの守備に対して効果的に前進できず。ウルブズは組織的に守りつつ、カウンターとドハーティーの高さを活かした起点によって、シュートシーンを作る。
13分、コラシナツからジャカへのパスをジャカがスルーしてしまい、そのままウルブズがショートカウンター。最後はカバレイロがゴール前に詰めて押し込んで、ウルブズが先制に成功する。
リードを許したアーセナルはエジルがビルドアップに絡んで打開を図ろうとするも、それほど改善できず。
ウルブズのリードで前半を折り返す。
アーセナルのビルドアップとウルブズの守備
ウルブズは守備時に5-4-1になるものの、引いて守るのではなく、特にジャカとトレイラに強めにプレッシャーをかけてきた。コスタとカバレイロはボランチにプレスをかけつつ、高めのSBへのパスコースも制限し、モウチーニョとネヴェスは縦パスのコースを塞ぐ。CBへボールを戻すと、SBへのパスコースは空くものの、ウルブズのSHが前に出てプレスをかけるため、SBが前を向くこともできず。
前進できないアーセナルは、13分の失点後、エジルがジャカやトレイラの高さまで頻繁に下りてくるようになり、ウルブズがマークしにくい状況を作って余裕を持ってボールを保持できるようになるものの、前で受ける選手がイウォビしかいなくなり、効果的に崩すことはできず。
前半のスタッツ
アーセナルはシュート数3本、枠内シュート数0本に終わり、ウルブズが効果的なプレーでリードして前半を終えた。アーセナルは効果的に前進できず、押し込んでもインターセプトされてカウンターを受ける形を繰り返す。ウルブズは前半だけでインターセプト数16回を記録した。
後半開始~75分

アーセナルは後半開始時、イウォビを下げてゲンドゥージを投入。今季初の4-3-1-2に変更して、中盤を3センターとする。
後方ではより余裕を持ってボールを保持できるようになったものの、間でボールを受ける選手が減ったことで、やはり前半と変わらず中央を崩せず。
アーセナルのビルドアップとウルブズの守備
アーセナルは3センターに変更し、両SBが高めをキープし、ジャカは比較的フリーでボールを持てるようになったものの、ゲンドゥージやトレイラはコスタやカバレイロにマークされており、ジャカはなかなかパスを出すところを見つけられず。前半同様、徐々にエジルが下りてくるようになり、代わりにトレイラやジャカが高めにポジショニングしたりしたものの、前で効果的なプレーをできる選手がいないことで、サイドに人数をかけて前進するしか無い状況となった。
76分~

ウルブズの守備を崩せないアーセナルは75分、コラシナツとエジルを下げてムヒタリアンとラムジーを投入。フォーメーションを4-4-2に変更し、ジャカが左SBに入る攻撃的な布陣に。
一方のウルブズは、快速のアダマ・トラオレを投入し、最前線へ配置。カウンターでアーセナルを脅かす作戦。
86分にアーセナルはコーナーキックの流れからムヒタリアンがクロスを上げると、そのまま誰も触れずにゴールネットを揺らして同点に追いつく。
同点で迎えた後半ロスタイム、ウルブズはトラオレを活かして2回の決定機を作るものの決められず、引き分けで試合を終えた。
後半のみのスタッツ
後半はアーセナルも押し返したものの、枠内シュート3本、ビッグチャンス1回に留まる。ウルブズは前半同様カウンターで惜しいシーンを何度も作った。アーセナルは中央を崩せずにサイドからのクロスに終止したものの、17本のクロスはすべて失敗。ウルブズは後半もインターセプトとクリアでアーセナルの攻撃を跳ね返し続けた。
【PickUpData】ウルブズはインターセプト28回、クリア26回を記録
マッチスタッツ①(左:アーセナル、右:ウルブズ)
引用:SofaScore.com
シュート数、枠内シュート数、ビッグチャンス数でいずれもウルブズが上回った。カウンターも5回を記録している。しかし、アーセナルはレノが4本のビッグセーブで失点を1に抑えた。
マッチスタッツ②(左:アーセナル、右:ウルブズ)
引用:SofaScore.com
アーセナルは主に左サイドからクロスを上げ続け、中央ではラカゼットとオーバメヤンが待ち構える状況であったものの、27本のクロスのうち成功したクロスはわずか2本に留まった。
ウルブズは試合を通じてインターセプトに成功しており、その数は計28回に及んだ。
平均ポジション(左:アーセナル、右:ウルブズ)
引用:whoscored.com
攻撃サイド(左:アーセナル、右:ウルブズ)
引用:whoscored.com
ヒートマップ(左:アーセナル、右:ウルブズ)
引用:whoscored.com
攻撃サイド、ヒートマップともに、アーセナルは左サイド、ウルブズは右サイドから攻撃を繰り返しており、同サイドでの攻防が激しかったことを表している。ウルブズは敵陣側の左サイドをほとんど使っておらず、アーセナルの左サイドの裏を有効に使ってゴール前で危険なシーンを使ったと言えるだろう。
【PickUpData】2トップのシュートシーンを全く作れず
アーセナルのパススタッツ
引用:whoscored.com
ジャカはボランチ、終盤は左SBでプレーし、パス109本、クロス12本を出したものの、キーパス数0本、成功したクロス0本に終わり、ボールに絡みながらも効果的なプレーができなかった。
アーセナルの攻撃スタッツ
引用:whoscored.com
フル出場し、後半は2トップでプレーしたオーバメヤンとラカゼットであるが、ともにシュートは1本のみに終わり、いかにFWのシュートシーンを作ることができなかったかを表してる。
【PickUpData】ウルブズの両SHが攻守に奮闘
ウルブズの守備スタッツ
引用:whoscored.com
ウルブズは、左SHのジョニーがタックル6回、インターセプト5回を記録し、右SHのドハーティーもインターセプト5回、クリア5回を記録。両サイドのSHが守備で大きく貢献した。
ドハーティーのスタッツ
引用:SofaScore
ドハーティーは、パスはわずか18本であったにも関わらず、キーパス数は3本。カウンターでアーセナルに脅威を与え、攻撃でも大きく貢献した。
【PickUpData】ゴール期待値はウルブズが圧倒
Arsenal vs Wolverhampton Wanderers xG – Corrected
This is even worse for Arsenal. pic.twitter.com/YQkVS3O8H0
— Scott Willis (@oh_that_crab) 2018年11月11日
アーセナルはゴール期待値で1.22点に終わり、ゴールシーンも崩したとは言えない形での得点となった。一方のウルブズは2.73点を記録し、終盤のカウンター3回でのシュートシーンは限りなく2点目に近づいていたと言えるだろう。
オーバメヤンの左サイド起用をいつまで継続するか
ラカゼットとオーバメヤンの同時起用で一定の結果を残してきたものの、試合内容を見るとうまくいってるとは言えず、両ストライカーの決定力で勝ち点を拾ってきたと言えるだろう。
左SBにモンレアルがいまだ復帰できていない影響もあると言えるが、ビルドアップでのオーバメヤンの貢献度の低さは明確であり、そろそろ左サイドでの起用を再考すべきではないだろうか。
イウォビが好調であり左サイドの方がプレーしやすく、またFWもウェルベックが離脱のためにベンチにエンケティアしか置けない状況のため、トータルで考えるとオーバメヤンを控えスタートでベンチに置いておくほうがいいのではないか。
これ以上怪我人を出したくない状況で、トップの1ポジションをラカゼットとオーバメヤンで回していくほうがより賢明であるのではないだろうか。
スポルティング戦に続く低調な内容
負けずに勝ち点1を拾ったと言えるものの、公式戦3戦連続となるドロー。スタメンをある程度固定してきたことで、戦術の浸透よりも疲労の蓄積が目立ってきたのかもしれない。代表ウィークを挟み、エメリがどのように立て直すのかに注目したい。
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