PK2発を献上し、連勝ストップ。クリスタルパレス 対 アーセナル レビュー【2018/19プレミア第10節】

プレミアリーグ

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試合結果とフォーメーション

試合結果

2018/10/28 プレミアリーグ第10節
クリスタルパレス 2-2 アーセナル

46分 ミリボイェビッチ(PK)
51分 ジャカ
56分 オーバメヤン
83分 ミリボイェビッチ(PK)

前半~60分

2018/2019 プレミア 10節 クリスタルパレス対アーセナル

【クリスタルパレス】基本:4-4-2 守備:4-4-2
【アーセナル】   基本:4-2-3-1 守備:4-4-2
 

アーセナルはこの試合もジャカを左SB起用。前線はオーバメヤンラカゼットを同時起用し、フォーメーションは4-2-3-1。

クリスタルパレスは、ザハアイェウを2トップに起用した4-4-2を採用するものの、右サイドのタウンゼントが攻撃時にはかなり高い位置を取り、ザハもサイドに開いて4-3-3に近いような形も見せる。

前半、アーセナルのポゼッションが続き、ビルドアップでは主にゲンドゥージが左CBの脇に落ちてジャカとパス交換するも、左サイドからは全く前進できず。後ろで回しつつ右サイドから前進するパターンを繰り返す。クリスタルパレスはしっかりと守りつつ、攻撃時はザハを中心とした前線の鋭い突破力でゴールを脅かす。

前半終了間際、セットプレーの流れでムスタフィがPKを与えて、クリスタルパレスが先制。

後半開始、アーセナルは、負傷したベジェリンに代えて、リヒトシュタイナーを投入。

負傷によるメンバー交代以外に変更が無かったアーセナルであるが、後半開始直後、51分と55分にセットプレーをものにして一気に逆転。後半に強いジンクスを発揮して、11連勝中の勢いを見せつける。

61分~66分

2018/2019 プレミア 10節 クリスタルパレス対アーセナル
【クリスタルパレス】基本:4-3-3 守備:4-4-2
【アーセナル】   基本:4-2-3-1 守備:4-4-2
 

アーセナルがリードしているものの、クリスタルパレスの攻勢が続き、61分、クリスタルパレスは左サイドのマッカーサーに代えて、マイヤーを投入。サイドではなく中央寄りに位置し、より4-3-3に近い形に変更する。

すると、投入直後のマイヤーがさっそく2本のシュートを放ち、俄然クリスタルパレスが勢いを増す。

67分~

2018/2019 プレミア 10節 クリスタルパレス対アーセナル
【クリスタルパレス】基本:4-3-3 守備:4-4-2
【アーセナル】   基本:4-4-2 守備:4-4-2
 

アーセナルは67分、低パフォーマンスに終始したエジルに代えてウェルベックを投入。ラカゼットウェルベックの2トップで4-4-2に変更する。

クリスタルパレスの猛攻を凌げないものの、前掛かりのクリスタルパレスに対してカウンターのチャンスが数回あったアーセナルであるが、シュートまで持ち込めない場面が続く。

80分、クリスタルパレスのセットプレーの流れからボールを奪ったアーセナルが数的有利な状態でカウンターを繰り出すものの、シュートまでつなげられずにサイドに流れると、ラカゼットの中途半端なパスを奪われて逆にクリスタルパレスのカウンターが一気に発動。右サイドに開いていたザハにボールが渡ると、PA内でジャカと1対1になり、鋭いドリブルでジャカのファールを誘ってPK。これをミリボイェビッチがしっかりと決めて同点に。

同点のまま試合終了し、アーセナルの連勝は11で途切れた。

 

【PickUpData】ポゼッション率は高いもののシュート数は倍以上を許す

マッチスタッツ(左:クリスタルパレス、右:アーセナル)
引用:SofaScore.com

2018/2019 プレミア 10節 クリスタルパレス対アーセナル マッチスタッツ

前半はアーセナルが押し込んだもののシュートまでつなげられないシーンが目立ち、後半はクリスタルパレスが素早い攻撃でゴール前まで何度も迫った。これを表すかのように、アーセナルポゼッション率では大きく勝っているものの、シュート数クリスタルパレスの方がアーセナルの倍以上となっている。さらに、ビッグチャンス数クリスタルパレスが上回り、ポストに弾かれたシュートも2回記録。

両チーム合わせた4ゴールともセットプレー絡みという結果になったものの、内容としてはクリスタルパレスの方が勝利に近かったのは間違いないだろう。

平均ポジション(左:クリスタルパレス、右:アーセナル)
引用:whoscored.com 2018/2019 プレミア 10節 クリスタルパレス対アーセナル 平均ポジション

攻撃サイド(左:クリスタルパレス、右:アーセナル)
引用:whoscored.com 2018/2019 プレミア 10節 クリスタルパレス対アーセナル 攻撃サイド

ヒートマップ(左:クリスタルパレス、右:アーセナル)
引用:whoscored.com 2018/2019 プレミア 10節 クリスタルパレス対アーセナル ヒートマップ

ジャカが左SB、ゲンドゥージが主に左ボランチを務めたことで、この試合でもビルドアップ時に左サイドから展開しようとするシーンが多く見えたものの、ジャカから前に進むことができず、右サイドに展開し直すシーンが目立った。結果的に、よりサイド深くまで進入できているのは右サイドである。

しかし、ヒートマップに如実に表れている通り、PA内およびPAより奥のサイドのスペースにほとんど進入できておらず、試合を通じてクリスタルパレスの守備を崩せなかったと言える。

 

【PickUpData】実は攻守に活躍していた右SB・ワン=ビサカ

クリスタルパレスの攻撃スタッツ
引用:whoscored.com2018/2019 プレミア 10節 クリスタルパレス対アーセナル

クリスタルパレスの守備スタッツ
引用:whoscored.com 2018/2019 プレミア 10節 クリスタルパレス対アーセナル マッチスタッツ

この試合では、ザハがサイドでボールを持つたびにアーセナルのDF陣に脅威を与えていたのは誰の目にも明らかであり、ドリブル成功数は意外にも2回であったものの、被ファール数7回キーパス数3回を記録している。

ザハと同じ左サイドで駆け上がった左SBのアーンホルトも印象に残っているものの、よりデータで際立っているのは右SBのワン=ビサカ。攻撃では、ドリブル成功数5回、守備ではタックル成功数6回インターセプト数4回を記録。

攻守において貢献しており、WhoScored.comではワン=ビサカをこの試合のMOMに選出している。

【PickUpData】アーセナルのゴール期待値は1点未満

セットプレーで2得点したものの、試合を通じてゴール期待値は1点未満に終わったアーセナル

一方のクリスタルパレスも、PK2発が2点弱に相当するため、それ以外では得点に値するほどの決定機を作れていなかったことがわかる。

 

引き分けながらも際立ったトレイラの守備

押し込まれたアーセナルであるが、トレイラ中央でボール奪取してピンチを何度も防いだのは明らかである。

守備のスタッツで見ると貢献度がわかりにくいが、twelveのプレーマップ(赤が守備のプレー)で見ると一目瞭然であり、PA内やピッチ中央で何度も重要な守備を見せている

トレイラのプレーマップ
引用:twelve

比較のためにゲンドゥージのプレーマップも見てみると、ゲンドゥージも同じく守備でも貢献しているものの、サイドやPA外が多く、トレイラの守備での貢献度の高さがより際立つだろう。

ゲンドゥージのプレーマップ
引用:twelve

機能しない左サイドからの前進

オーバメヤンラカゼットの得点量産が11連勝に貢献したことは間違いないものの、適切な起用法はいまだ見つかっていないと言えるだろう。ラカゼットはその幅広いプレースタイルにより1トップでより重宝されるようになり、オーバメヤンもサイド起用や途中出場でもゴールを奪える決定力でうまく両立してきていた。

しかし、オーバメヤンが左サイドで出場した際に、ビルドアップでオーバメヤンがうまく貢献できないシーンは以前から変わっておらず、さらに、この試合では左SBがジャカであったために、より一層、左サイドでの前進は困難になった。

左SBの緊急事態によりここ数試合で左SBを務めているジャカは一定のパフォーマンスを発揮しているとは言えるものの、やはり本職のモンレアルと比べると、サイドでのポジショニングダイレクトで前に預けるパスなど、劣ると言わざるを得ない。さらに、下りてきて受けるプレーを得意としないオーバメヤンがスタメンであったため、左サイドでほとんど前進できなかった。

データで見ると、ジャカからオーバメヤンへ通ったパスはこの試合でわずかに4本(ジャカのこの試合でのパス本数は36本)。

ジャカからオーバメヤンへのパス
引用:アーセナル公式

本職のモンレアルコラシナツが左SBに復帰すれば多少改善されるかもしれないが、2列目左の起用法については今後も課題となるだろう。

オーバメヤンを左で起用することで、右から崩した際のフィニッシュ時にオーバメヤンが左から進入できるというメリットがあるものの、崩しが右サイドしかできないのであれば、対戦相手に対策されやすくなるため、総合的にはそれほどメリットにならないかもしれない。

個人的には、この試合では低パフォーマンスに終わったものの、ここのところ好調であったイウォビの方が、ボールを受けるプレーサイドで仕掛けるプレーなど、2列目左のレギュラーとして満足できるプレーができるのではないかと思う。

 

両SBが緊急事態の中で迎えることが濃厚となったリバプール戦

連勝はいつかは途切れるものであり、内容が悪いながらも勝ち点1を掴んだとも言えるこの試合。それよりも、1つのターゲットとしてきたはずのリバプール戦を次節迎えるにあたり、両SBが緊急事態となっていることが問題である。

モンレアルコラシナツはリバプール戦での復帰を目指し、この試合で負傷したベジェリンの状態はいまだ判明せず。ナイルズはU-23で復帰したばかり。コンディションが万全であるのはリヒトシュタイナーのみという状況でリバプール戦を迎えることが濃厚となった。

アーセナルがリバプール相手に腕試しをするためには、両SBのレギュラーの起用は必須と言えるが、果たしてどのようなメンバーでリバプールと対峙することになるだろうか。

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