またもクリーンシートならず。ハダースフィールド 対 アーセナル レビュー【2018/19プレミア第26節】
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試合結果とフォーメーション
2019/02/09 プレミアリーグ第26節
ハダースフィールド 1-2 アーセナル
16分 イウォビ
44分 ラカゼット
93分 コラシナツ(OG)
前半
アーセナルは、エジル、ラムジー、ジャカ、オーバメヤンが風邪などの理由で欠場。スタメンはなんとか取り繕ったものの、ベンチには若いエンケティアやウィロックが名を連ねる。デニス・スアレスもベンチスタート。
試合は、アーセナルが個の質で上回ってチャンスを作るものの、組織的な練度が高いとは言えず、ボールが行き交う展開に。
すると16分、左サイドをオーバーラップしたコラシナツの大きなクロスに右サイドから走り込んだイウォビがボレーで合わせて叩きつけると、DFに当たってコースが変わったボールはゴールネットへ。アーセナルが先制に成功。
その後、一進一退の状況で迎えた44分、ナイルズの速いグラウンダーのクロスをファーでラカゼットが押し込み、アーセナルが前半終了間際に追加点。
アーセナルが2点リードで前半を折り返す。
アーセナルのビルドアップとハダースフィールドの守備
アーセナルのビルドアップに対して、ハダースフィールドはバクーナがゲンドゥージ、パンチョンがトレイラをマークし、最終ラインに下りていっても付いていくことで、ボランチに自由にボールを触らせず。アーセナルのWBに対しては、コラシナツに対して右SBのスミスが前に出ることでマークするものの、ナイルズに対しては左SBのコンゴロは前に出ず、中央寄りに構えるモーイがスライドすることで対応しようとしていた。ハダースフィールドとしては、アーセナルのストロングポイントと言える左サイドからの攻撃を防ぐ狙いがあったのだろう。
アーセナルの攻撃
- 【定位置攻撃】 フリーになりがちなナイルズを経由して前進
- 【ポジトラ(ボール奪取時)】 前線3枚に早めに預けて速攻
ハダースフィールドの守備
- 【守備ブロック】 4-2-2-2で中央を封鎖。アーセナルの左サイドのケア意識強い
- 【ネガトラ(ボールロスト時)】 ゲーゲンプレス(密集して即時奪回)
ハダースフィールドの攻撃とアーセナルの守備
ハダースフィールドのビルドアップに対して、アーセナルは3-4-3でラインを高くして前からプレスを強める形。ハダースフィールドはショートパスを繋ぐ意識もあるものの、詰まったら無理せずGKに戻して、主に右サイド奥へロングボール。
守備時に左WG・パンチョンがトレイラをマークするために中央寄りに位置するため、ポジトラ時は右サイドのディアカビを使って速攻。遅効時はパンチョンが左サイドに開き、そこにモーイとコンゴロも加わり、連携で崩そうとする。
ハダースフィールドの攻撃
- 【定位置攻撃】 左サイドからパンチョン、モーイ、コンゴロの連携で崩す。ロングボールは右サイド奥。
- 【ポジトラ(ボール奪取時)】 右サイド奥のスペースを使い、右WG・ディアカビからの速攻
アーセナルの守備
- 【守備ブロック】 前からプレス時はライン高めで3-4-3。リトリート時は5-4-1
- 【ネガトラ(ボールロスト時)】 近くの2,3人でプレス。他はバランス重視
前半のスタッツ
前半のスタッツ
(左:ハダースフィールド、右:アーセナル)
引用:SofaScore.com
ハダースフィールドは、シュート4本がすべて枠外。ビッグチャンスも0。クロスを14本上げたものの、成功は0。
アーセナルはシュート6本ながら、決定機を活かして2ゴールを奪った。
後半
後半開始時、両チームともに選手交代・フォーメーション変更は無し。
2点リードのアーセナルは停滞ムードながら、選手を代えつつ無失点でしのぎ続ける。
すると、迎えた後半ロスタイムの93分、モーイのスルーパスにディアカビが抜け出すと、飛び出したGKを交わすような浮かしたシュート。こぼれたボールをコラシナツがクリアしきれずにオウンゴール。ハダースフィールドが最後に反撃。
しかし、ハダースフィールドの反撃は実らず、アーセナルが逃げ切って勝ち点3を手にした。
※後半の詳細はせこさんのレビューがわかりやすいので、そちらを参考に!
後半のスタッツ
後半のスタッツ
(左:ハダースフィールド、右:アーセナル)
引用:SofaScore.com
後半に盛り返したハダースフィールドがシュート11本でビッグチャンスも2回作るも、いずれも決めきれず。反撃はロスタイムの1点のみに終わった。後半もクロスを11本上げながら、成功したのは1本のみ。
アーセナルは2点リードでトーンダウンし、後半はシュート3本のみ。ビッグチャンスを1回作ったものの、決めきれなかった。
【PickUpData】スタッツでは上回ったハダースフィールド
試合の流れ
マッチスタッツ
(左:ハダースフィールド、右:アーセナル)
引用:SofaScore.com
終わってみれば、ハダースフィールドの方が総シュート数、枠内シュート数ともにアーセナルを上回った。しかし、ハダースフィールドがシュート15本のうち、PA内からのシュートが7本であるのに対し、アーセナルは9本のシュートすべてがPA内であり、ファイナルサードでのプレーに差が表れた。
平均ポジション
(左:ハダースフィールド、右:アーセナル)
引用:whoscored.com攻撃サイド
(左:ハダースフィールド、右:アーセナル)
引用:whoscored.comヒートマップ
(左:ハダースフィールド、右:アーセナル)
引用:whoscored.com
ハダースフィールドは両サイドからの攻撃が目立つ結果となった。アーセナルは右サイドのナイルズからの攻撃が多かったことがよくわかる。
ゴール期待値
Huddersfield Town vs Arsenal Running xG
Winning Ugly= This Game pic.twitter.com/4PwmdHB8SA
— Scott Willis (@oh_that_crab) 2019年2月9日
ゴール期待値は、ハダースフィールドの1.61点に対して、アーセナルは1.71点。後半のハダースフィールドの盛り返しにより、ゴール期待値は僅差であった。
【PickUpData】前でボールを奪えていたハダースフィールド
タックル、インターセプト、リカバリーの詳細
(左:ハダースフィールド、右:アーセナル)
※下が自陣、上が敵陣
引用:Arsenal公式
守備(タックル、インターセプト、リカバリー)の位置を見ると、ハダースフィールドはミドルゾーンが多いのに対して、アーセナルはほぼすべて自陣内。ハダースフィールドのほうがいい位置でボールを奪えていたと言える。
シュートの詳細
(左:ハダースフィールド、右:アーセナル)
引用:Arsenal公式
両チームのシュートを見てみると、アーセナルはすべてがPA内からのシュートであるのに対し、ハダースフィールドは多くを中央から打っているものの、約半分がPA外からのシュートとなった。ファイナルサードでの崩しの質やDF陣の最後の踏ん張りに差が出たと言える。
目立ったプレーを見せたナイルズ
ハダースフィールドがナイルズをフリーにしやすい守り方をしたため、プレーに関与する場面が多く、キーパス数、ドリブル成功数、タックル数はいずれもチームトップの数字。しかし、ファイナルサードでのプレーの質は、もともとのポテンシャルを考えればもっとできてもよいだろう。
アウェイでのクリーンシートがいまだ無し
珍しくハーフタイムを2-0を折り返し、後半は満足行くパフォーマンスと言えないまでもクリーンシートを掴みかけたものの、最後は試合終了間際に失点。勝ち点ロストとはならなかったのがせめてもの救いか。
不満の残る試合内容であったものの、怪我人多発でEL決勝トーナメント前であったことを踏まえると、さらなる怪我人を出さずに勝ち点3を積み上げたことを評価すべきだろう。
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