【ジョルジーニョ】封じ込められたエバートン戦を分析する

プレミアリーグ

 

エバートン戦のチェルシーの分析

ジョルジーニョがエバートンの狙い通りの守備により封じ込められ、ほとんど効果的なプレーができず64分で途中交代し、チームとしてもスコアレスドローに終わった試合。

試合結果、フォーメーション、スタッツ

試合結果

2018/11/11 プレミアリーグ第12節
チェルシー 0-0 エバートン

スタメンとフォーメーション
引用:SofaScore

マッチスタッツ(左:チェルシー、右:エバートン)
引用:SofaScore.com

スタッツを見ると、シュート数ビッグチャンス数でチェルシーがエバートンを大きく上回ったものの、エバートンが見事な守備でチェルシーを封じ込め、スコアレスドローに終わった。

最大のポイントは、エバートンのジョルジーニョへの徹底マークと言えるだろう。

注目ポイント

 

ジョルジーニョに対するエバートンの守備

エバートンは、ジョルジーニョに仕事をさせないことでチェルシーの攻撃を封じる作戦を取り、守備時は4-4-2となり、前の”2″となるリチャーリソン(30番)とシグルズソン(10番)の2枚でCBからジョルジーニョ(5番)へのパスコースを完全に封鎖した。

ジョルジーニョのスタッツ
引用:SofaScore

結果的に、ジョルジーニョ64分で交代となり、特徴であるパスの多さをこの試合では発揮できず、パス成功数46本で終わっている。ジョルジーニョを経由したテンポの良いスムーズなビルドアップが封じ込まれたと言える。

チェルシーは、ジョルジーニョを経由できないことで、高めに位置したいアロンソやアザールに効率よくボールを届けられないため、前からプレスに来ないエバートンに対して余裕を持ってボールを持てるCBから、低めに下がったSBや下りてきたコバチッチを経由してサイドから攻撃を組み立てようとした

中央を封鎖してサイドからしか前進できないようにしたエバートンは、前半、チェルシーの攻撃をほとんど許さず、シュート4本(枠内シュート1本)、ビッグチャンス数0回に抑えた。

エバートンの守備に対するチェルシーの攻撃

後半になるとチェルシーがサイドからでも質的優位で突破するようになった。

また、精度の高いパスを出せるCBダビド・ルイスがフリーでボールを持てるシーンが多かったため、そこからピンポイントのミドルパス、ロングパスでサイドに素早く展開したり、エバートンのCB裏のスペースを狙ったりして、一定のチャンスを作っていた。

チェルシーのパススタッツ
引用:whoscored.com

実際、ダビド・ルイスはチームトップの119本パスを出しており、また、17本ロングパスのうち9本を成功させている。

アザールの攻撃スタッツ
引用:whoscored.com

また、アザールシュート3本(うち、枠内シュート2本)、キーパス5本ドリブル成功数4回を記録し、なかなかボールを受けられない中でも、ゴールを脅かすプレーを見せていた。

結果的にはスコアレスドローに終わったが、ジョルジーニョが抑え込まれながらも他の選手でゴールまであと一歩に迫っており、チェルシーの総合力の高さを感じさせた。

そして、ジョルジーニョも自分にマークが2枚付いていることを無理に解決しようとせず、フリーになる他の選手を活かすことでチームの攻撃がうまく展開されることを狙っていたようにも見受けられた。

 

ジョルジーニョのプレー分析

ここからは、ジョルジーニョのプレーにフォーカスして分析していきたい。

エバートン戦

 

ジョルジーニョのプレーによるチームへの影響

ジョルジーニョの時間帯ごとのパス
引用:WhoScored.com

前半40分頃から後半10分(55分)頃まで、ジョルジーニョへのエバートンのマークが少し緩くなっていたのと、ジョルジーニョが少し下がってボールに触るようになったため、この時間帯のジョルジーニョのボールタッチ、パスが増えた

チェルシーの時間帯ごとのシュート
引用:WhoScored.com

ジョルジーニョのボールタッチが増えた時間帯(40分~55分)でも、他の時間帯と比べてシュートまで持ち込めたとは言えず、また、ジョルジーニョの出場有無でも大きな差は出ていない。

60分前後の猛攻は、この試合で数少ないチェルシーが押し込めた時間帯である。

ジョルジーニョのパス分析

ジョルジーニョのパスを具体的に分析していきたい。

パスを出した位置」、「パスの方向・距離」、「パスの種類」、「シチュエーション(定位置攻撃、ポジティブトランジション)」を図示したものが以下の図になる。

エバートン戦のジョルジーニョのパス

よりわかりやすいように、パスの出した位置パスで図を分けてみた。

エバートン戦でジョルジーニョがパスを出した位置

エバートン戦のジョルジーニョのパス

パス50本のうち失敗したパス4本はすべて、アタッキングサードに近い位置で局面を打開するためのアグレッシブなパスであり、それ以外の局面では狭いスペースでも1タッチ2タッチでパスをさばくことですべて成功させているのはさすがである。

また、ポジティブトランジション時のパス8本は、前進するためのパスを瞬時に判断して出している。
(ポジティブトランジションについては、独自の判断で、ボール奪取後の3タッチ目(3人目)あたりまでの前進を意図したパスを割り当てている。この定義にしているため、前進するためのパスになっているのは当たり前でもある。)

1枚のアンカーでありながら、ピッチの左サイドでのボールタッチ、左サイド方向へのパスが多いのは、下りてくるコバチッチアザールアロンソと近い距離を保ち密集して左サイドから起点を作ろうとするチェルシーの戦術が要因であると言える。

エバートン戦のジョルジーニョのパス(自陣のみ)

自陣側のパスのみに注目してみると、大きく前進に貢献したパスはわずか3本のみ(緑)であり、サイドに展開したパス(オレンジ)もそれほど多くなく、多くが後方へのパスとなっている。中央でのボールタッチを制限されたのみならず、ボールを持った際にも前進するためのパスをほとんど出せなかったことがわかる。

 

他の試合との比較

今度は、エバートン戦以外のこれまでの試合と比較していきたい。

パスマップ

第1節~第11節までのジョルジーニョのパスマップ
引用:twelve

エバートン戦より前の11試合のパスマップを見てみると、エバートン戦との違いは、

  • ピッチ中央でのボールタッチの多さ
  • 敵陣内でのパスの多さ
  • 左右のサイドにほとんど偏りがない
と言えるだろう。文字通り、チェルシーの攻撃を司っているキープレイヤーであると言える。

 

1試合当たりのパス本数

ジョルジーニョのこれまでのリーグ戦でのパス成功数と比較してみる。

・第11節終了時まで
パス成功数:1140本
出場時間 :968分
★90分あたり106本

・第12節エバートン戦
パス成功数:46本
出場時間 :64分
★90分に換算すると69本
※データ引用:プレミアリーグ公式

エバートンより前の11試合では、90分あたり106本という驚異のパス成功数を記録しているものの、エバートン戦では、90分換算で計算しても69本というペースに抑え込まれていた。

直近のジョルジーニョの傾向

直近4試合のジョルジーニョのヒートマップ
引用:SofaScore

直近4試合を具体的に見ていきたい。

ヒートマップを見ると、敵陣内の左ハーフスペースあたりでのボールタッチが多く、これによりチェルシーの形である左サイドからの攻撃を支えていると言えるが、エバートン戦ではその働きができなかったことがわかる。さらにバーンリー戦、クリスタルパレス戦では右ハーフスペースあたりでのボールタッチも多いが、それもエバートン戦では出てないことがわかる。

また、マンチェスター・ユナイテッド戦では、フル出場ながらもパス成功数65本に留まっており、パス成功率87%というジョルジーニョとしては低い数値となった。

ユナイテッド戦のジョルジーニョのパスマップ
引用:twelve

ユナイテッド戦のジョルジーニョのパスマップを見ると、本数は少ないながらも敵陣内でのパスは多かったことがわかる。エバートン戦と同じような抑えられ方はしていなかったと言えるだろう。

明らかにチェルシーのキープレイヤーであるジョルジーニョに対して、プレミアリーグの各クラブが今後どのような守備を見せていくのか、さらにそれに対してジョルジーニョはどのようなプレーを見せるのか、非常に注目である。

 

おまけ:雑感

試合を見ながらジョルジーニョのパスをプロットしてみたものの、どの方向からパスを受けたかどのような体勢(体の向き)だったかジョルジーニョのパスのあとにどのような展開になったか、などがわかると、さらにジョルジーニョのプレーの凄さ、もしくは相手ディフェンスの機能具合がわかるかもしれません。

さらに、同じような分析を他の試合(特にもう少しジョルジーニョがうまくプレーできた試合)でも行って比較することで、より見えてくることが増えるかと思います。

h-どっとさんが同じくジョルジーニョのパス分析をしてくださったので共有しておきます。どの方向から受けたかまで色分けされています。

ジョルジーニョのうまさについては、とんとんさんの記事がとても参考になります!