シティの新たな変形システム。マンチェスター・シティ 対 アーセナル レビュー【2018/19プレミア第25節】

プレミアリーグ

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【プレビュー】マンチェスター・シティ 対 アーセナル【2018/19プレミア第25節】

 

試合結果とフォーメーション

試合結果

2019/02/3 プレミアリーグ第25節
マンチェスター・シティ 3-1 アーセナル

1分 アグエロ

11分 コシェルニー

44分 アグエロ

61分 アグエロ

前半

2018/2019 プレミア 25節 マンチェスターシティ対アーセナル スタメンとフォーメーション

【シティ】基本:4-3-3 守備:4-5-1(4-4-2)
【アーセナル】 基本:4-4-2 守備:4-4-2(4-3-3)

 

シティフェルナンジーニョをCBで起用する奇策を披露。アンカーにはギュンドアンを起用し、左右のワイドにはB・シルバスターリングを起用。この試合で復帰の可能性もあったメンディーはベンチ外。

対するアーセナルはメンバー的には3-4-3が予想されたものの、蓋を開けてみればコラシナツを左SHで起用する4-4-2の布陣。

試合が始まると、フェルナンジーニョをCB起用した意図が明確に。守備時はCBに入るものの、攻撃時はボランチの位置までポジションを上げて、後方での数的優位を作ってアーセナルのプレスを抑止。

主導権を握ったシティは開始早々、左サイドからPAに進入するも跳ね返されるが、持ち運ぼうとしたイウォビからラポルトがボール奪ってすぐさま中央に速いクロス。これをアグエロが低い姿勢でヘディングで合わせてゴールネットを揺らす。シティがわずか46秒で先制

その後もシティの用意した戦術が見事にハマって、アーセナルを押し込み続ける。

しかし10分、アーセナルは左CKを得ると、トレイラのボールにニアでモンレアルが後ろにすらし、コシェルニーエデルソンの目の前で合わせてゴールネットを揺らす。アーセナルは劣勢ながら同点に追い付く

その後、シティが優勢に進めるも、アーセナルリトリートしてなんとか防ぎつつ、縦に早い攻撃や左サイドからの攻撃で一定のチャンスを作る。

迎えた43分、フェルナンジーニョからのサイドチェンジを左サイドでスターリングがフリーで受けると、PA手前のギュンドアンへパス。ギュンドアンはダイレクトで浮き球のパスをPA内に入れると、スターリングがDFラインの背後で再びボールを受けて、そのままダイレクトでGKとCBの間へ速いボールを送る。これを中央で待っていたアグエロが余裕を持って押し込む。シティが前半終了間際に勝ち越し

シティが1点リードして前半を折り返す。

シティのビルドアップとアーセナルの守備

アーセナル4-4-2の守備ブロックに対して、シティ3-2-5の形を作ってビルドアップ。

  1. フェルナンジーニョがボランチの位置に上がり、前プレ2枚に対して3+2を作る
  2. 中央を絞るアーセナルの2トップの脇を左右のSB(特にウォーカー)が持ち運んで使う
  3. FWとIHが高い位置を取ってアーセナルのDFラインを中央に絞らせ、WGがサイドライン際でフリーとなる
  4. WGとIHの連携でPA深くを突破する
  5. 崩せない場合は大きなサイドチェンジで逆サイドに展開し、スペースで1対1勝負

アーセナルとしては、高い位置で中央にポジションを取るアグエロ両IHへのパスコースを消すため、中盤は下がって中を絞るしかなく、ボランチ2枚へのパスコースを消すために2トップも下がって中を絞るしかない状況となった。

シティはワイドに張るWGにボールを入れて起点を作りつつ、DFライン裏のスペースを狙ったり、大きなサイドチェンジを繰り返し、アーセナルのDFラインを前後左右に揺さぶり続けた。

前半10分過ぎから、アーセナル守り方を修正して対応し始める。

  • コラシナツが高めのポジションを取り、ウォーカーの持ち運びを抑える
  • サイドライン際でフリーになるB・シルバモンレアルがケア
  • デ・ブライネゲンドゥージがマークし、DFライン裏へのランにも付いていく

これにより、右サイドからの自由な前進を多少抑えることに成功するも、ダイレクトパスで崩されたり、大きなサイドチェンジで逆サイドに展開されることは変わらず、シティペースであることは変わらない。

アーセナルは割り切って、守備ブロックの3ラインの間隔をコンパクトに保ちつつ、中央を絞って中へは通させないようにし続けたものの、セットプレーの流れで乱れた状態を突かれ、前半終了間際に勝ち越しを許した。

アーセナルのビルドアップとシティの守備

アーセナルのビルドアップに対して、シティ高めのラインで中盤が5枚のブロックを作って対応。

アグエロのプレスで制限しつつ、ボールサイド側のIH(D・シルバ or デ・ブライネ)が一気に前へプレスをかけることで全体が連動してプレス。アーセナルはショートパスを繋いで前進することが困難になり、GKに戻して前線のオーバメヤンコラシナツロングボールを送る回数を増やさざるを得なかった。

しかし、オーバメヤンコラシナツは空中戦でそれほど競り勝てず、セカンドボールもシティが回収する場面が多くなった。

得点シーン振り返り

●シティの2点目のシーン

スタートは左サイド深くのスローインから。アーセナルのCKの流れでリヒトシュタイナーのパスがサイドラインを割ってスローインに。

そこからラポルトが中のフェルナンジーニョへ速いパスを送ると、DFが整っていないアーセナルの隙を突いてスペースを一気に持ち運び、右サイドに展開。右サイドでウォーカーB・シルバデ・ブライネが絡んだのち、フェルナンジーニョオーバメヤンの脇でボールを受けて、中央のスペースをさらに持ち運んでから大きなサイドチェンジ。

アーセナルのDFラインは大きく揺さぶられ、後方の選手が全員PA内に下がったところで、PA手前でギュンドアンがフリーに。最後までアーセナルのDF陣は前後左右に大きく揺さぶられ、この試合でのシティのボールの展開を象徴するような流れのゴールとなった。

前半のスタッツ

前半のスタッツ(左:シティ、右:アーセナル)
引用:SofaScore.com

前半、シティが終始優勢に進め、ボール支配率アーセナルを上回り、シュート6本のうち枠内は4本ビッグチャンス2回を決めきって2点を奪った。

アーセナルシュート4本のみながら、セットプレーを活かして1点を奪った。

後半開始~66分

2018/2019 プレミア 25節 マンチェスターシティ対アーセナル スタメンとフォーメーション

【シティ】基本:4-3-3 守備:4-5-1(4-4-2)
【アーセナル】 基本:4-4-2 守備:4-3-3

 

後半開始時、両チームともにメンバー変更・フォーメーション変更は無いものの、1点ビハインドのアーセナルは、守備時にコラシナツより前からプレスをかけ、高い位置でボールを奪おうとする。

しかし、シティフェルナンジーニョが後方をサポートしたり、空いたスペースに前線の選手が下がってボールを受けることで、前半以上にゴール前までボールを運ぶシーンを増やしていく。

シティ優勢で進んだ60分、シティは右サイドでのリスタートから素早く繋ぎ、アグエロのフリックで左サイドへ展開。スターリングがPA内に進入すると、左奥からまたもGKとCBの間へ速いパス。レノが弾くもアグエロの体に当たってボールはゴールラインを越える。シティが追加点を奪う

67分~

2018/2019 プレミア 25節 マンチェスターシティ対アーセナル スタメンとフォーメーション
【シティ】基本:4-3-3 守備:4-5-1(4-4-2)
【アーセナル】 基本:4-2-3-1 守備:4-2-4

 

2点のビハインドとなったアーセナルは、イウォビコラシナツに代えて、ラムジーデニス・スアレスを投入。フォーメーションを4-2-3-1に変更する。デニス・スアレスは冬の加入後、わずか3日でピッチへ。

前からボールを奪いたいアーセナルは、前線4枚で積極的にプレスを掛けるものの、シティの精度の高いボール回しをハメることができず。逆にシティの素早い展開を許すことに。

後半に入ってからショートパスで前進することを選択したアーセナルであるものの、ファイナルサードへほとんど進入することができず。デニス・スアレスも周りと連携が合わず、効果的なプレーはできない。

そのままシティが最後まで優勢に進め、シティが3-1で勝利を掴んだ

得点シーン振り返り

●シティの3点目のシーン

またもや右サイドから左サイドへ展開しての得点スターリングに対してリヒトシュタイナームスタフィが対峙したものの、リヒトシュタイナーが下がってしまい、スターリングが一瞬のスピードでリヒトシュタイナーを振り切り、PA奥から中へボールを入れる角度を作った。

リヒトシュタイナーは、2点目の起点失点シーン3点目の失点シーンに絡んでしまう結果となった。

後半のスタッツ

後半のスタッツ(左:シティ、右:アーセナル)
引用:SofaScore.com

ビハインドのアーセナルがボールを持つ時間を増やしたものの、効果的な崩しはできずに後半はシュート0本。逆にシティの突破が増えて、シティは前半の倍以上のシュート13本(うち枠内シュート8本)。

 

【PickUpData】まったく反撃できず、悪化し続けたアーセナル

試合の流れ

 

シティが終始上回りながらも、アーセナルはリトリートして守りながらセットプレーでゴールを奪うが、ビハインドとなった時点でアーセナルに逆襲するための策は無く、後半はより一層シティの優勢が際立った内容となった。

マッチスタッツ(左:シティ、右:アーセナル)
引用:SofaScore.com

シティシュート19本のうち、枠内シュート12本PA内からのシュート12本となっており、もっとゴールにつながっていてもおかしくなかった。

また、シティ精度の高いロングボール(サイドチェンジ)も効果的に混ぜて、アーセナルの守備を揺さぶり続けた。

平均ポジション(左:シティ、右:アーセナル)
引用:whoscored.com

シティの前線5枚が高い位置を取り続けたことが如実に表れている。

攻撃サイド(左:シティ、右:アーセナル)
引用:whoscored.com ヒートマップ(左:シティ、右:アーセナル)
引用:whoscored.com

シティは、ウォーカーがビルドアップ時に効果的に使い続けたエリアが濃くなっていることがわかる。また、ラポルトからスターリングへパスを出してアーセナルの守備を左へ寄せる場面も多く、同じく濃くなっていることがわかる。

アーセナルは、ファイナルサードへほとんど進入できなかったことが如実に表れている。

ゴール期待値
引用:BetweenThePosts

ゴール期待値は、シティ2.5点に対して、アーセナル0.65点アーセナルは得点以降、ほぼチャンスを作れなかったことがよく表れている。

パスネットワーク
引用:BetweenThePosts

シティは、最終ライン+WGで外側からパスを回し、アーセナルを揺さぶり続けたことがよく表れている。

アーセナルは、ムスタフィからリヒトシュタイナーへ繋がながらも、そこから先に展開できていないことがわかる。

【PickUpData】両WGの起用が的中したシティ

シティのパススタッツ①
引用:whoscored.com

シティは、B・シルバスターリングがともにキーパス4本サネマフレズの選択肢もあったものの、左右のWGがそれぞれ持ち味を存分に発揮して勝利に貢献した。

シティのパススタッツ②
引用:whoscored.com

ビルドアップで起点となったウォーカーB・シルバフェルナンジーニョであるが、ロングボールも多く成功させ、効果的な展開に貢献した。

ウォーカーからB・シルバへのパス
引用:Arsenal公式

パスのコンビネーションを見ると、シティは、ウォーカーからB・シルバへのパスが26本でトップ。起点となり続けた。

フェルナンジーニョ(左)、ウォーカー(中)、B・シルバ(右)のパス
緑:成功赤:失敗
引用:Arsenal公式

フェルナンジーニョウォーカーB・シルバのパスの詳細を見ると、右サイドで多くのパスに絡みつつ、左サイドへの大きなサイドチェンジのパスをそれぞれ数本ずつ成功させていることがわかる。

また、B・シルバPA右奥へのパスを数回狙っていたことがわかる。

 

【PickUpData】奮闘したゲンドゥージ

アーセナルのパススタッツ
引用:whoscored.com

ゲンドゥージチームトップのパス本数を記録し、パス成功率91.4%を記録。ロングボール4本すべて成功

レノムスタフィロングボールが多くなったものの、ほとんど繋げられず。

ゲンドゥージのパス
緑:成功赤:失敗
引用:Arsenal公式

ゲンドゥージが持ち味を活かして幅広いエリアでボールに絡んでボールの前進に貢献したものの、ファイナルサードへはほとんどボールを送れなかったことがわかる。

レノのパス:前半(左)、後半(右)
緑:成功赤:失敗
引用:Arsenal公式

レノのパスを見ると、前半は前線へのロングパス、後半はショートパスを選択していたことがよく表れている。

前半のロングパスは半分以上が失敗しており、競り負けてもセカンドボールを回収すればよいという狙いもあったかもしれないが、効果的なプレーにはならなかった。

采配が見事に的中したシティと巻き返せなかったアーセナル

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フェルナンジーニョをCB起用した策が見事に的中したシティストーンズがベンチにおり、おそらく戦術的に意図した采配であったのであろう。また、B・シルバの右WGとスターリングの左WGも見事に機能。右でキープして起点を作りつつ、左サイドへのサイドチェンジでスターリングの1対1突破力を活かす形が何回も見られ、得点にもつながった。

アーセナルが前から3枚で全体で連動してプレスをかけてくる可能性も考慮していたと思うものの、その場合はこの試合で出番の少なかったエデルソンの精度の高いロングボールが脅威になっていたはずであり、戦術の引き出しの多さそれを実行する質の高さで、どちらにしてもシティが優勢に試合を進めていたのは間違いない。

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アーセナルは、もともと3-4-3のつもりでスタメンを決めたものの、シティのスタメンを見て直前でフォーメーションを変えたのだろうか。今シーズン4-4-2を採用した試合はあるものの、それほど多くはなく、ここ最近ではほとんど使っていないフォーメーションであった。

ビッグマッチで高いプレス強度を保つためのラムジーもベンチであり、スタメンとフォーメーションの意図が読めない結果となった。

しかし、試合早々に失点しながらも、その後は潔くリトリートを選択し、マークも明確にしてシティの右サイドからの攻撃を抑止したまでは悪くなかっただろう。

後半に入ってから前から中途半端にプレスをかけ始めたのは余計に状況を悪くし、2枚替えで4-2-3-1に変更したことでさらに悪化。プレス強度を上げるためにラムジーデニス・スアレスを投入したという点は理解できるものの、オーバメヤンが左サイドに移ったことで、攻守において左サイドの機能性が下がったように思える。4-4-2で両サイドにそのままラムジーデニス・スアレスを入れる形では駄目だったのだろうか。

怪我人が多いのが影響していることは確かであるが、ここのところエメリの采配がハマらない試合が明らかに増えており、シーズン終盤に向けて不安が増すばかりである。

 

6位に転落したアーセナル

これでチェルシーとマンチェスター・ユナイテッドに抜かれて6位に転落したアーセナル。アウェイのシティ戦であり、勝ち点を計算することはもともと難しかったとは言え、あまりにも見事に打ちのめされた敗戦となった。

しかし、2月はリーグ戦のスケジュールに余裕があり、ELの決勝トーナメントが再開するものの、相手のレベルを考えれば難しくなく、この敗戦を引きずらなければ、まだまだ4位争いには絡んでいける見込みはあるだろう。

試合ごとに戦い方を変えるエメリの采配が、再びハマっていくかどうかがポイントになるはずである。

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