シティの徹底した左ハーフスペース活用。マンチェスター・シティ 対 チェルシー レビュー【2018/19プレミア第26節】

2019年2月11日プレミアリーグ

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試合結果とフォーメーション

試合結果

2019/02/10 プレミアリーグ第26節
マンチェスター・シティ 6-0 チェルシー

4分 スターリング
13分 アグエロ
19分 アグエロ
25分 ギュンドアン
56分 アグエロ(PK)
80分 スターリング

前半

【シティ】基本:4-3-3 守備:4-3-1-2(リトリート時:4-5-1)
【チェルシー】 基本:4-3-3 守備:4-1-3-2(リトリート時:4-5-1)

 

両チームともにお馴染みの4-3-3のフォーメーション。シティは左SBにジンチェンコ、左IHにギュンドアンを起用。チェルシーは、左IHにコバチッチではなくバークリーを起用。

序盤から、チェルシーが前から強めのプレスをかけるものの、シティはそれをあざ笑うかのように交わして、一気にファイナルサードにボールを運ぶシーンが続く。

シティが勢いそのままに前半だけで4得点。シティは守備でもチェルシーのビルドアップを機能させず。

前半はシティの4-0という圧倒的リードで折り返した。

シティのビルドアップとチェルシーの守備

前からプレスをかけてくるチェルシーに対して、シティはプレスをかわしてチェルシーの最終ラインの手前のスペースをことごとく活用した。

チェルシーは、イグアインボールサイドのIHでシティの両CBにプレスをかけ、WGがSBをケアし、もう一方のIHジョルジーニョフェルナンジーニョギュンドアンをケアする形。これに対してシティは、後方での正確なボール回しでチェルシーのプレスを回避しつつ、連動した動きで前線への縦パスを狙い続けた。

  1. ギュンドアンフェルナンジーニョの脇まで下りる
  2. デ・ブライネが上下動して、ジョルジーニョを牽制
  3. アグエロリュディガーアスピリクエタの裏から縦パスの瞬間に下りる

ジョルジーニョは下りていくギュンドアンを気にすると、脇(裏)の左右のハーフスペースをケアできない状況に。

さらに、シティ両WGがサイドライン際まで開いて幅を取り、アグエロも最終ラインと駆け引きをすることで、チェルシーの最終ラインはラインを上げられないし前へのアタックもできない状況

チェルシーの1stライン、2ndラインを一気に突破する縦パスが、前半だけでも合計8回。そのほとんどが左ハーフスペースへの縦パス。12分と23分のプレーは、それぞれ2点目と4点目の起点になった縦パスである。

シティの縦パスが成功したシーン(前半のみ)

【6分】ラポルト → ギュンドアン
【12分】フェルナンジーニョ → アグエロ ※裏から ※2点目起点
【16分】ラポルト → アグエロ ※裏から
【22分】フェルナンジーニョ → スターリング ※ポジションチェンジ
【23分】ラポルト → アグエロ ※4点目起点
【32分】エデルソン → スターリング
【34分】ストーンズ → デ・ブライネ ※右HS
【43分】フェルナンジーニョ → アグエロ

特に目立ったのは、アグエロが左ハーフスペースで縦パスを受ける動き。

チェルシーがこれを防げなかったのは、アグエロは左ハーフスペース手前に常にいるわけではなく、リュディガーとアスピリクエタの裏で歩きながら、ボールホルダーが前を向いた瞬間に手前に下りてきてパスを受けようとする動きをしていたためである。

また、22分のシーンでは、スターリングとアグエロで旋回してポジションチェンジすることでスターリングが左ハーフスペースで縦パスを受けており、動きをアレンジすることで余計に掴まえにくくしている。

さらには、右ハーフスペースでも基本的に同じシチュエーションが起こるため、34分には右ハーフスペースでデ・ブライネが縦パスを受けている。

 

アグエロが左ハーフスペースで縦パスを受けるパターンを狙いながらも、それをケアされても前進するパターンをいくつも持っているのがシティの強み。

シティのビルドアップ時の様々なアイディア

  • ウォーカーとジンチェンコの「偽SB」【2分、3分、15分】
  • ジンチェンコの左サイド大外からのオーバーラップ【47分】
  • 左スライドの3バックでのビルドアップ
  • ラポルトからB・シルバへのピンポイントのサイドチェンジ
  • エデルソンからのピンポイントのロングパス

数的優位を作ったり、空いたスペースを突いたりするためのパターンを幅広く持っており、試合の中でも相手の出方によって使い分けることができるため、様々な形でチェルシーの守備を攻略して圧倒した。

チェルシーのビルドアップとシティの守備

シティは守備でも、周到に用意したやり方でチェルシーのビルドアップを封じることに成功。

  • アグエロ両IHで、2CBジョルジーニョにプレス&マーク
  • 両WGは、SBIHの中間ポジションでどちらもケア
  • フェルナンジーニョが両IHをケア
  • 下りていくWGにはSBが付いていく

ジョルジーニョにマンマークでは無いものの、アグエロ両IHの3人の連動した動きで中央を使わせず。サイドに誘導したら、ボールサイドのIHが寄せ、フェルナンジーニョもボールサイド側のIHに寄せ、サイドでボールを奪おうとした。

チェルシーはビルドアップに苦戦する中、ダイレクトパスサイドチェンジイグアインのポストプレーなどでファイナルサードへ進出する機会を作るも、その回数は多くなく、崩し切ることもできず。

チェルシーの攻撃パターン

  • ダイレクトパスの連続で1stプレスを突破して前進
  • D・ルイスからペドロへの大きなサイドチェンジ
  • イグアインへのロングボールでポスト&落とし
  • アザールのドリブル突破

前半のスタッツ

前半のスタッツ(左:シティ、右:チェルシー)
引用:SofaScore.com

シティは前半、シュート5本ながら4ゴール。外した1本もアグエロが押し込むだけの決定機であった。

チェルシーシュート8本であるものの、ビッグチャンス1回のみドリブルアザールを中心に11回中9回成功したものの、決定機にはつながらなかった。

後半

【シティ】基本:4-3-3 守備:4-3-1-2(4-5-1)
【チェルシー】基本:4-3-3 守備:4-1-3-2(4-5-1)
 

後半開始時、両チームともにメンバー変更・フォーメーション変更は無し。

後半もシティが前半と同様の形で終始優勢に進める。

チェルシーは、コバチッチロフタス=チークエメルソンを投入するものの、流れを変えることはできず。

シティは中心選手を次々と交代させながらも、代わって入ったジェズスマフレズD・シルバがチーム全体の高いパフォーマンスを維持し、後半にも2点を追加。アグエロはハットトリックを記録。

シティ6-0という衝撃的なスコアでチェルシーを圧倒した。

後半のスタッツ

後半のスタッツ(左:シティ、右:チェルシー)
引用:SofaScore.com

後半もシティが圧倒し、ビハインドのチェルシーシュート4本のみビッグチャンス0

 

【PickUpData】左ハーフスペースを使い続けたシティ

マッチスタッツ(左:シティ、右:チェルシー)
引用:SofaScore.com

シティシュート15本のうち、9本が枠内シュートで、10本がPA内から。ビッグチャンス7回作り、6ゴールを奪った。全体のパス成功率92%というだけでなく、ロングパス48本でうち73%の35本を成功させた。

シティの展開力の質の高さが如実に表れた内容となった。

平均ポジション(左:シティ、右:チェルシー)
引用:whoscored.com

シティは、ギュンドアン(8番)が低めの位置であり、アグエロスターリングに近い左ハーフスペースあたりでのプレーが多かったことがわかる。

攻撃サイド(左:シティ、右:チェルシー)
引用:whoscored.com

左ハーフスペースを活用したシティは、左サイドからの攻撃が51%となった。

ヒートマップ(左:シティ、右:チェルシー)
引用:whoscored.com

シティは、ラポルトストーンズフェルナンジーニョギュンドアンでボールを回して揺さぶりつつ、左サイドから前進したことがよく表れている。

【PickUpData】シティの高いパス成功率と精度の高いロングパス

シティのパススタッツ
引用:whoscored.com

シティは、最終ラインフェルナンジーニョギュンドアンがいずれも高いパス成功率を記録し、チェルシーのプレスの中でも精度の高いパス回しを展開した。

また、いずれの選手もロングパス半分以上成功させており、長短織り交ぜたパスでチェルシーのプレスをかいくぐったことがわかる。

ギュンドアンのボールタッチ(~74分)
引用:whoscored.com

ギュンドアンのボールタッチ(IHでプレーした74分まで)を見ると、下りてきてボールタッチする回数が多かったことがよくわかる。

アグエロのボールタッチ
引用:whoscored.com

アグエロのボールタッチを見ると、左ハーフスペースでボールタッチする回数が多かったことがよくわかる。

 

アザールだけでは崩しきれなかったチェルシー

アザールは、ドリブル6回中5回成功キーパス3本というプレーを見せたものの、得点に結びつけるようなプレーはできず。

シティが自陣では4-5-1でブロックを引く中で、アザールのドリブルはシティの守備ブロック内に突っ込むようなシーンが多く、チームとして連動した崩しはほぼできなかったと言える。

スタメンのチョイスすら狙い通りに思えるシティ

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メンディを長期離脱で欠く中、ラポルトを左SBで起用する試合も多いものの、この試合では左CBで起用。さらに、左IHにはD・シルバではなくギュンドアンを起用。

ボランチ・アンカーもできるギュンドアンをIHで起用したことで、下りてきた時のポジショニングがより的確であり、この試合でのシティの連動した崩しの動きに大きく貢献。

また、左CBに入ったラポルトからのアグエロへの縦パスやB・シルバへのサイドチェンジも存分に威力を発揮。

この試合に合わせて準備した崩しのパターンの質を高めるためのスタメンをチョイスし、選手たちがそれをやりきったと言えるかもしれない。

 

アーセナルとチェルシーを粉砕し、一気に上り調子になったシティ

戦術的優位性とそれをやり抜くプレーの質の高さで、アーセナルとチェルシーを圧倒したシティ。リバプールとのタイトルレースはデッドヒートになってきたものの、勢いでは完全にシティが優位に。

CL決勝トーナメントも始まる中、この上り調子をどれだけ維持することができるだろうか。

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