今季のアーセナル、活躍したのは誰? ~各選手通信簿~【2017-2018シーズン】

2018年7月16日プレミアリーグ

Arsenal

FW編「決定力を垣間見せたラカゼットとオーバメヤン

※活躍度 安定感 来季の期待度

ラカゼット ★★ ●● ◆◆◆
夏に加入した、トップもワイドもこなすストライカー。シーズン序盤から出場機会を得るものの、周りとの連携が合わず苦しむ時期が続く。しかし、数少ないチャンスの中で一級品のシュートテクニックを垣間見せ、ポストプレーや飛び出しもうまく、万能FWであることを証明した。最終的にはリーグ戦14得点。愛らしいキャラクターでチームにもすっかり馴染み、来季は20得点以上を期待できるはずである。ワールドカップのフランス代表に選ばれなかったのは残念であるが、フレッシュな状態で来季に合流できるのはプラスだろう。

ウェルベック ★  
シーズン前半の3-4-2-1では、慣れないシャドーポジションでの起用や1トップでの起用により、低調なパフォーマンスに終始した。しかし、シーズン終盤、4-3-3の左ウイングで起用されると、カットインからのシュートによるゴールなど、かつてないほどのクオリティーを感じさせた。しかし、ラカゼットとオーバメヤンがいるチームにおいて、来季以降、多くの出場機会を得ることは難しいかもしれない。

オーバメヤン ★★  ◆◆◆
ELに出場できないため、加入早々リーグデビューし早速ゴールを奪うものの、周りとの連携は絶望的であり、この選手の特徴を踏まえても、アーセナルのスタイルにフィットしていくのか非常に疑問視された。しかし、さすがの決定力で得点を少しずつ重ねて出場を継続していくと、トップのみならず左WGでも自身の特徴を示すようになり、パスワークに絡みながらゴールを狙う動きを見せるようになった。最終的に、半期で10ゴール4アシストの結果を出したのは、十分に合格点と言える。ラカゼットとのコンビ含め、来季への期待は大きい

エンケティア ★  ◆◆
今季は主にカップ戦やELのグループステージの試合に出場。オーバメヤンやラカゼットからポジションを奪うことは限りなく困難であるものの、まだ18歳であり、今後の成長に期待したい。来季もレンタルではなくトップチームに残れば、ELやカップ戦で出場機会が増えるかもしれない。

サンチェス ★ 
夏の移籍が濃厚であったものの、最終的に残留。モチベーションが懸念されたが、勝利やゴールへの貪欲さは失われず、シーズン前半の攻撃陣を引っ張った。しかし、独力での突破やゴールを狙いすぎるプレーが多く、この選手の調子に試合結果が左右される状態が続いた。冬のマンチェスターユナイテッドへの移籍は、選手にとってもアーセナルにとってもプラスであっただろう。

ジルー ★ 
フランス代表でのライバルであるラカゼットとどのように起用されるか注目されたが、ヴェンゲルは新加入のラカゼットを継続してスタメン起用し、試合終盤にジルーを投入するパターンがお馴染みとなった。少ない出場時間でもゴールに絡む働きをし、ELのグループステージではスタメン起用に応えて控えメンバー中心のチームを引っ張ったものの、冬にチェルシーへ移籍。

ウォルコット ★ 
3-4-2-1をベースとしていたシーズン前半、この選手に適したポジションは無く、リーグ戦ではほとんど出場時間を得られず、ELのグループステージでの出場が多くなった。長年ヴェンゲルに期待され続けながらも、最後までブレイクできず、冬にエバートンに移籍。

MF編「ウィルシャーの復帰、ムヒタリアンの加入、ジャカの安定」

※活躍度 安定感 来季の期待度

エジル ★★ ●● ◆◆◆
サンチェスとともに退団の噂が絶えなかったものの、2月に契約延長を発表。怪我による欠場が多くなったシーズンとなり、リーグ戦で4G8Aという成績は、この選手の実力を考えれば非常に物足りない結果だろう。しかし、エジルがビルドアップでボランチの位置まで下がるしかない戦術の犠牲になったとも考えられ、来季は新監督によってビルドアップが整理されれば、前線でラカゼット、オーバメヤン、ムヒタリアンと絡みながら、ゴールに直結する働きをできるに違いない。

ラムジー ★★ ●● ◆◆
主にボランチで出場して、ジャカとコンビを組むことが多かった今シーズン。たびたび前線へ上がり、ビルドアップや守備においてバランスを崩す要因となってしまったのは間違いない。しかし、シーズン後半になると徐々にバランスを取るプレーもできるようになり、持ち味である前線への飛び出しを活かしてリーグで7得点取ったことは評価できるだろう。来季はキャプテンを務めるという噂もあり、より安定したプレーを期待したい

ムヒタリアン ★ ●● ◆◆◆
冬にマンチェスターユナイテッドから加入。テクニックがあるのはもちろんのこと、常に的確なポジショニングでパスコースを作ったりして”気が利く”プレーができ、さらにはシュート精度の高さも垣間見せた。怪我もあり出場時間は限られたが、エジルとは同じイメージを描けそうであるし、オーバメヤンとはドルトムント時代のコンビであったことから、来季は前線のメンバーたちと絡んでどのようなプレーを見せてくれるか、非常に楽しみである。

イウォビ ★★  ◆◆
主に2列目を主戦場とするため、サンチェスやエジル、ムヒタリアンらとの厳しいポジション争いの中、一定の出場機会を得て、自身を表現したシーズン。足元のテクニックは間違いなくトップレベルであり、周りとの連携も徐々に高まっており、あとはゴールに直結するようなプレーがどれだけできるかが今後の課題になるか。ワンランク上の選手になるためには、来季が勝負の年になるかもしれない。

ジャカ ★★★ ●●● ◆◆◆
シーズン通してボランチとして定位置を確保すると、懸念であったラフプレーも減り、持ち味のロングパスのみでなく、テンポのあるショートパスで組み立てる力も見せるようになってきており、今シーズンのチームMVP級の活躍を見せた。プレミアリーグ全体でのシーズン最多パス数も記録。ダブルボランチの相方としてより適切な選手を見つけることができれば、よりこの選手の特徴が輝くはずである。来シーズンの更なる活躍に期待したい。

ウィルシャー ★★  ◆◆
ようやく長期の怪我から復活し、シーズン通して戦えることを示したシーズン。途中出場やELのグループステージで自身の長所を示すと、徐々にスタメン出場を果たすようになる。ボールテクニックドリブルでの中央突破は健在であることを示したものの、中央で強引にワンツーを狙いすぎる単調なプレーポジショニングの悪さで、シーズン後半は評価を落としていった。ポテンシャルは間違いないものの、戦術理解度やプレーの幅の広さを身につけなければ、再びワールドクラスの選手として評価される日は来ないかもしれない。

エルネニー ★  
ダブルボランチとしてジャカとラムジーがレギュラーを確保し、ウィルシャーも控える中、ポジションを奪えず、主に控え組で臨んだELでの出番が多かった今シーズン。細かいポジショニング修正テンポ良いパス交換はチームのスタイルに合っているはずであるが、攻撃でも守備でも、よりわかりやすいパフォーマンスが必要かもしれない。新監督を迎えて臨む来シーズン、自身の特徴を生かしてポジションを勝ち取ることができるだろうか。

ナイルズ ★★ ●● ◆◆◆
プレシーズンから積極的に起用されると、左WB、左SB、右SB、ボランチとして出場機会を得て、選手層の薄いDF陣をカバーする活躍を見せた。トップチームで出場機会を得るようになって2年目であるが、どのポジションで出場しても落ち着きのあるプレーで安定したパフォーマンスを発揮し、持ち味のテクニックで攻撃面でも貢献する場面も作った。このユーティリティ性は来季以降もチームに欠かせず、本職のボランチとしてポジション争いに競り勝ってもおかしくないポテンシャルを持っているだろう。

ネルソン ★  ◆◆
プレシーズンで起用されると爆発的なスピードを見せ、今シーズンはトップチームに合流。主にELのグループステージでの出場となるも、あまり自身の持ち味は出せず、守備面でも脆さを見せる場面が多くなった。トップチームで出場するためにはムヒタリアンらとのポジション争いを勝ち抜く必要があり、来季も出場機会を得ることは難しいか。まだ18歳であり、レンタルで武者修行したほうがよいかもしれない。

コクラン ★  
後方に構えるタイプのジャカがボランチの一角として定位置を確保したことにより、もう1枚に守備的な選手を起用しなくなったことで出場機会が激減。持ち味の守備の激しさを残しながらも攻撃でも貢献しようと奮起する姿が見られたものの、ポジションを掴むことはできず。冬にバレンシアに移籍。

カソルラ ※評価無し
この選手の復帰を誰もが待ち望んでおり、この選手さえいれば、またアーセナルはタイトル争いできるようになるとさえ思われたものの、最後までプレーすることはできず。シーズン終盤に練習には復帰したものの、ヴェンゲルラストイヤーでピッチに立つことはできなかった。両足での見事なボールタッチと展開力、推進力で、まさにアーセナルのスタイルを体現するような選手であったが、残念ながら今夏でのアーセナル退団が決定。古巣のビジャレアル復帰が濃厚となっている。

DF編「終始不安定なDFライン。メルテザッカーの引退、マヴロパノスへの期待」

※活躍度 安定感 来季の期待度

ベジェリン ★★ ●● ◆◆
チェンバレンの移籍により、控えがネルソンやナイルズしかいないという中、シーズン通してフル稼働したベジェリン。シーズン前半は不慣れなWBに苦労し、シーズン後半は4バックになるものの、そのパフォーマンスは一定にとどまった。守備では、かつては絶対に負けることがなかったスピードで突破される場面もあり、攻撃でも、クロスの精度が一向に上がらず、正対したDFに対して横パスに逃げることが多く、攻守において物足らないパフォーマンスとなった。いつまでもスピード頼みでなく、プレーの幅を広げることが必要かもしれない。

モンレアル ★★★ ●●● ◆◆
3バックでは左CBに左WB、4バックでも左SBと、シーズン通してその高いユーティリティ性と安定感でフル稼働したモンレアル。さらに、まさかのシーズン合計6得点という決定力も発揮し、チームに欠かせない存在であることをアピールした。ロシアワールドカップのスペイン代表にも選出。来季もチームにとって欠かせない選手となるはずであるが、モンレアルがSBに専念できるようなCB陣を揃えてほしい。

コラシナツ ★  ◆◆
プレシーズンで爆発的な推進力激しい当たりを見せて、大きな期待を背負った加入1年目のコラシナツ。しかし、シーズンが始まるとその勢いは落ち、一定の出場機会を得たものの、満足いくパフォーマンスとはならなかった。特に攻撃では、周りとの連携が合っているようには思えず、オーバーラップしてもうまく絡めない場面が多かった。ポテンシャルは間違いなく、守備面ではモンレアルという最高のお手本がいるため、来季の飛躍に期待したい。

コシェルニー ★★★ ●● 
怪我と隣り合わせながら、選手層の薄いCB陣の中でシーズン通して奮闘した。相棒となるはずのムスタフィの低調が続き、負担の大きくなった今シーズンであるが、不幸にも、シーズン終盤のEL準決勝の試合中にアキレス腱断裂。チームはそのままEL敗退を喫したのみならず、全治6か月となり、ワールドカップのフランス代表からも外れることとなった。もともと怪我の不安があったコシェルニーは来季もシーズンの半分を欠場することがすでに濃厚。他の若いCB陣の奮起に期待するしかない。

ムスタフィ ★★ ●● ◆◆
昨季終盤の低調なパフォーマンスにより、夏の移籍が噂されながらも残留。コシェルニーと共にCBの中心的存在となることを期待されたものの、失点につながるようなプレーが散見され、今シーズンも安定しないパフォーマンスに終始した。今夏には新たなCBの獲得が噂されており、さらにはシーズン終盤にマヴロパノスの台頭もあったため、来季のポジションは安泰ではないだろう。

ホールディング ★  ◆◆
昨季終盤の3バック変更後に出場機会を得ると、好パフォーマンスでシーズンを締めくくったホールディングであるが、今季はその面影が感じられず、選手層が薄いCB陣でありながら、出場機会を多く得ることはできなかった。まだ22歳であり、伸びしろは十分にあり、レンタル移籍で成長させるのもよいかもしれない。

チェンバース ★  ◆◆
レンタルから復帰したチェンバース。CBも右SBもこなせるものの、あまり多くの出場機会に恵まれなかったが、シーズン終盤での起用では一定のパフォーマンスを見せ、来季の飛躍を予感させた。新監督の下、ポジションを掴むことができるか。

マヴロパノス ★  ◆◆◆
冬に加入した20歳のギリシャ人CB。リーグの順位が確定したシーズン終盤に起用されると、堅実なプレーですぐにそのポテンシャルを示した。レスター戦のレッドカードで印象を悪くしたものの、対人に強く、足元の技術も一定水準以上のものを備えていることを示した。プレシーズンのアピール次第では、来季はスタメンを勝ち取っている可能性すらあるだろう。不安定なDF陣において、期待の星である

メルテザッカー ★ 
今シーズン限りでの引退をシーズン前に表明していたメルテザッカー。層の薄いCB陣であったが、ヴェンゲルは若いチェンバースやホールディングを優先して起用したため、この選手に出場機会が訪れることはほとんどなかった。今シーズンのホーム最終戦、ヴェンゲルとともに最後のエミレーツスタジアムに臨む中、チームは5-0という最高の状況で御膳立てし、最後の15分、素晴らしい雰囲気の中でピッチに立った。そのプレーは最後まで勇ましかった。今後はアカデミーの役職として、クラブに貢献していってほしい。

GK編「チェフの衰えの懸念」

※活躍度 安定感 来季の期待度

チェフ ★★ ●● 
今季も正守護神としてチームを後方から支えたものの、衰えを感じざるを得ないミスもあり、36歳となったGKはキャリアの下り坂に差し掛かっているのだろうか。DFラインの不安定さが招いた失点も多く、一概にチェフのせいにはできないものの、かつてはDFラインのミスも帳消しにするようなビックセーブを見せていたため、その存在感の低下は否めない。来季は背番号を1に変更し、また新たに好パフォーマンスを連発してくれることを期待したい

オスピナ ★★ ●● 
控えGKとして、主にELとカップ戦での出場となったものの、出場すればトップレベルのGKであることを見せつけるパフォーマンスを披露した。このハイレベルなGKがこのまま控えとして居続けるのは厳しいと考えられ、今夏には新たなGKの獲得も噂されていることから、今シーズン限りでの退団となってしまう可能性もある。

総括「MVPはジャカ。次点はモンレアル」

個人的なシーズンMVPはジャカにあげたい。文字通りチームの中心に君臨し、シーズンフル稼働して安定したパフォーマンスを発揮した。ジャカの代わりはおらず、ジャカがいるかいないかでチーム戦術を変えなければいけないだろう。シーズンフル稼働したのちにスイス代表としてワールドカップに出場するため、活躍してほしいと思う半面、怪我無くチームに戻ってくることを祈りたい。

次点はモンレアル。どのポジションで出場しても変わらずに安定したパフォーマンスでチームを支え続けたモンレアル。シーズン終盤にはストライカーばりの決定力で6得点奪い、ファンからはFWでの出場を望むといじられるほど。ベテランらしいその安定感で、来季もチームを支えていってほしい

ついに、新監督としてエメリの就任が決まった来シーズンのアーセナル。この1年で大幅な選手の入れ替わりがあったが、今夏にも入れ替わりが発生するだろう。エメリの各選手の起用法にも注目したい。

シーズンレビューはこちら:「ヴェンゲルのラストイヤー!アーセナル・シーズンレビュー【2017-2018シーズン】」