わずかな収穫は大島と柴崎の同時起用の可能性か?【日本代表/ガーナ戦レビュー】

日本代表

23名発表直前のテストマッチ・ガーナ戦

チームの成熟度の確認とともに、23名選出のためのコンディション最終確認の場となった一戦。西野ジャパンとしての初の試合でもあり、その采配が注目された。

試合結果

2018/05/30 キリンチャレンジカップ2018 
日本 0-2 ガーナ
8分 トーマス・パーティ
51分 エマニュエル・ボアテング(PK)

スタメン:3-4-2-1「大島をスタメン起用、原口は右WB」

事前の合宿でたびたび試されたとおり、フォーメーションは3-4-2-1長谷部がCBの中央に入る形となったスタメン。注目されたボランチと右WBであるが、大島原口がそれぞれスタメン起用となった。

縦に早い攻撃では何度かゴール前まで進入するシーンを作れたものの、決定機は作ることはできず。前半はフリーキックでの失点により、0-1のビハインドで試合を折り返す。

後半開始:3-4-2-1「武藤、香川、酒井高徳を投入」

後半開始時、大迫宇佐美原口に代えて、武藤香川酒井高徳がそれぞれ同じポジションに入った。後半開始直後、香川がゴール前で2,3回立て続けにシュートチャンスを得たものの、いずれもゴールにはつながらず。酒井高徳は積極的なオーバーラップでクロスを上げるシーンを重ねた。しかし、DFラインとGKの連係ミスによりPKを献上して、2点のビハインドを背負う。

58分:3-5-2「2トップに変更、岡崎と柴崎を投入」

攻撃的に行きたい状況で、本田山口に代えて、岡崎柴崎を投入。フォーメーションも3-5-2に変更して逆転を目指した。しかし、香川がトップ下になるもボールを受けられず、2トップもプレーイメージが合わずにボールに絡めない状況が続く。唯一、柴崎の縦の意識により、攻撃の形が多少垣間見える場面がいくつかあったくらいか。

75分:4-4-2「4バックに変更、井手口を投入」

最後の6人目の交代で長谷部に代えて井手口を投入。フォーメーションも4-4-2に変更。柴崎が2列目右サイドにポジションを変更したが、縦への意識を継続して持ってプレーすることで起点となり続け、ほとんどの攻撃が右サイドの柴崎酒井高徳からとなる。2列目左サイドとなった香川は的確なポジショニングを掴めず、ボールに絡めない時間が続いた。武藤の惜しいシュートシーンなどもあったものの、無得点で敗戦を喫した。

90分の中で試した内容が多すぎたように思える

2度のフォーメーション変更6人の選手交代。ワールドカップ初戦まで3試合のテストマッチしかない状況でいろいろと試したいのかもしれないが、さすがにいろいろと代えすぎて評価しにくいのではないか。メンバー選考についてはガーナ戦前にほぼほぼ固まっていたように思える。どちらかというと、実際の本番でのシチュエーションを想定したうえでのフォーメーション変更であったのかもしれない。

しかしそれにより、どのフォーメーションでどの選手がフィットしそうなのかがわかりにくくなったように思える。フル出場した長友大島吉田槙野はどのフォーメーションでも一定の働きをしていたように見え、間違いなく主力となるだろう。また、途中出場の柴崎は、ボランチでも4-4-2の右サイドでも、前を常に意識したプレーで可能性を感じさせた。香川については、45分の中で3つのポジションをこなすこととなったが、投入直後の数分はボールに絡んでゴール前でのプレーがあったものの、その後はあまりボールに絡めず、全体的には低調なパフォーマンスに終始した。持ち前の攻撃センスを垣間見せるシーンは多少あったものの、特に3-4-2-1のシャドーにフィットするかの判断が難しくなったのではないか。

FWについては、大迫が主軸となるのは間違いなく、2トップを試したものの、大迫ともう1人というパターンを試していないため、非常に評価しにくい。あまり機能しているとはいえなかったのは確かであるが、岡崎にしても武藤にしても、大迫と2トップを組めばより効果的な働きができるタイプであるように思える。また、3-4-2-1で1トップを務めた大迫であるが、シャドー2人との連携や攻撃の形については、より一層の改善が必要となるだろう。せっかくの大迫のキープ力を全く活かせておらず、クロスのターゲットとしてしか働けていなかった。シャドー2人との距離感や流動性がより重要となるだろう。

ダブルボランチは大島と柴崎のペアに期待

これまでの代表での実績と守備能力を踏まえて、山口がボランチの主軸になると思われていたものの、この試合ではその守備能力で長所を発揮できないだけでなく、不用意な横パスを奪われるシーンがいくつかあるなど、攻撃面でのマイナス要素が強く印象付けられる内容となった。特に、大島柴崎と比較すると、トラップの正確性パススピード縦パスの意識には、非常に差があるように見える。ボランチの組合せについては、再考が必要だろう。

守備に強くてコンディションの良いボランチが他にいない中、大島柴崎のボランチペアを本格的に検討すべきであるように思える。2人とも攻撃面での貢献はもちろんのこと、守備でも的確なポジショニングうまく体を入れたボール奪取など、決して守れないわけではない。プレーのイメージも近いものを持っているように見え、この2人の同時起用により、組み立てがスムーズになり、どちらからでも攻撃のスイッチを入れる鋭いパスが出せるのは非常にメリットになるだろう。

右WBは酒井宏樹の起用で向上を期待

スタメンで右WBとして出場した原口であるが、やはりこの起用は攻撃的なオプションにとどまらせたい。自陣深くで1対1のディフェンスの対応となった場合、本職ではない原口では守り切れないだろう。豊富な運動量で上下動できたとしても、最終局面で抜かれてしまっては意味がない。ましてや、本戦ではマネハメス・ロドリゲスとマッチアップする可能性もあり、間違いなく相手の狙い所とされてしまうだろう。

後半から出場した酒井高徳はアグレッシブなプレーを見せていた点は評価できるが、クロスの精度の低さはかなりマイナス評価となる。効果的なオーバーラップをしても、精度の低いクロスでは得点につながる可能性は低い。日本代表に絶対的なヘッダーがいるわけではないため、それはなおさらである。マイナスのクロスや速いグラウンダーのクロスの形をチームとして確立することが重要になるだろう。しかし、酒井高徳は両サイドをこなすことができる貴重なバックアッパーであることは変わらない。

出番が無かった酒井宏樹であるが、本来は右WBのスタメンで間違いない。ネイマールとマッチアップしても自由にプレーさせないなど、守備面での粘り強さはかなり成長している。もともと鋭いアーリークロスなども持っており、攻守において質の高い働きが期待できるだろう。

ビルドアップの改善は必須。中央からも展開できる形の確立を

急造のフォーメーションであり、特にDFラインの枚数が変わっていることから、ビルドアップの精度は低かったと言わざるを得ない。前にボールを進めることができたのは左右のCBからWBへの経路が多く、ボランチを経由した回数は少なかった。大島柴崎であれば、狭いスペースでボールを受けても、的確なボールタッチやターンで前を向くシーンを作ることもできるだろう。

特にフル出場した大島は、常に動き直しを繰り返してフリーとなり、ボールを求めるアクションをしていた。CB陣が大島に速いパスを入れる意識をもっと持てれば、ビルドアップも改善されるはずである。特に、長谷部をCB起用しているわけであるから、そのメリットを活かしてほしい。

セットプレーのキッカーは柴崎を指名してほしい

以前から感じていたことであるが、香川セットプレーのキッカーに向いている選手ではないように思える。キック精度が低いわけではないが、強くて速いボールを蹴るのは得意ではなく、コーナーキックでも山なりの柔らかい軌道のボールとなってしまう。特に力強いヘッダーがいるわけではない日本代表では、そのボールではチャンスにつながる可能性は非常に低いだろう。今のメンバーであれば、柴崎より鋭く速いボールを蹴ることができるのではないか。セットプレーは非常に貴重な得点チャンスであるため、キッカーについては再考してほしい。

浅野、三竿の落選は確実か。落選残り1名は?サプライズ逆転招集は?

出場機会の無かった選手の中でも、浅野三竿落選の可能性は高いように思える。また、コンディションの確認のために起用された岡崎香川井手口のパフォーマンスは、メンバー入りを確実にするものではなかっただろう。岡崎香川は、実績ともともとの能力を踏まえて選出される可能性は高いと思われるが、どちらか1名が外れたとしても不思議はない。少なくとも、本大会でスタメン出場する可能性は現時点ではかなり低いと言えるだろう。

さらに課題としてより一層浮き彫りになったのが、ジョーカー的な選手がいないことである。途中出場でもアグレッシブなプレーで流れを変えることのできる選手は本大会で非常に重要であり、好調であり一芸に秀でた選手が本来であればふさわしい。のコンディション回復に期待して残すか、逆転で中島を選出するか。はたまた、小林悠久保を選出するか。西野監督の英断に期待したい