アジア勢初の南米撃破!大金星で勝ち点3獲得【日本対コロンビア レビュー|ロシアW杯2018】

日本代表

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試合結果

2018/06/19 ロシアW杯 GS第1戦
日本 2-1 コロンビア
6分 香川(PK)
39分 キンテーロ
73分 大迫

スターティングメンバー

日本はおおよそ予想通りの布陣。ボランチには長谷部柴崎が並び、2列目にはパラグアイ戦で活躍した香川を継続起用した。コロンビアは、コンディション不良が伝えられたハメス・ロドリゲスがベンチスタート。代わりにキンテーロがトップ下に入った。

まさかの退場&PKで日本先制。日本が優位に試合を進める

立ち上がりから日本は前線の4人で積極的なプレスをかけ、相手のパスコースを制限して自由に展開させない状況を作った。前半3分、相手のアーリークロスを昌子がヘディングでクリアしたボールが香川に渡ると、香川はそれをダイレクトで前線のスペースへ。コロンビアのDF陣が全員日本のハーフコート内に入っていたため、大迫D・サンチェスの競り合いになり、競り勝った大迫がそのままゴール前で狙いすまして左足のシュート。これはオスピナに止められるも、弾いたボールを後方から走りこんだ香川がさらにダイレクトでシュート。これをC・サンチェスが手でブロックして、日本がPK獲得。そして、C・サンチェスはレッドカードで一発退場。PKを香川が冷静に決めて、日本が開始早々に先制に成功し、かつ相手が1人少ない絶好の状況に

日本は数的有利を活かして冷静にボールを回しつつ、相手の攻撃をブロックしながら、相手の隙を突いて追加点を狙う展開。

コロンビアはクアドラードを前半30分で下げる思い切った采配を見せ、1人退場後にボランチに下がっていたキンテーロを右サイドに移した。

36分、ハイボールのクリアを長友がミスキックし、日本のゴール側へボールが飛ぶと、この落下地点で競り合った長谷部ファルカオに倒されるものの、これが日本のファールとなり、コロンビアにフリーキックを与えてしまう。PA手前右45度からのフリーキックは、キンテーロが壁の下を通すグラウンダーのシュートを放ち、川島がキャッチするもボールはゴールラインを割ってコロンビアのゴールとなる。日本は一番避けたかったセットプレーでの失点を許した。同点で前半を折り返す。

後半立ち上がりからアグレッシブに立て直した日本

前半の終盤に追い付かれ、その後も相手がアグレッシブにプレーしてくる中で勢いに飲み込まれそうになった日本であるが、ハーフタイムでもう一度冷静になり立て直した。数的有利を活かし、柴崎長谷部が中央で余裕をもってボールを持てることを活かし、そこからDFラインの裏を狙うパスを意図的に増やしていった。これに大迫らがタイミングよく飛び出し、チャンスを伺う。

59分、ついにコロンビアがハメス・ロドリゲスを投入。右サイドに入る。しかし、事前のコンディション不良の情報通り、明らかに体が重いハメスは、守備ではほとんど走らず、日本はより余裕をもってボール回しができるようになる。

そのまま日本が主導権を握りつつも試合が動かず、70分、両チームともにカードを切る。

コロンビアは3枚目として、FWのバッカを投入。初戦で勝ち点3が欲しいコロンビアは、1人少ないながらも前線の枚数を増やす大胆な交代策を切った。一方の日本は、ボールタッチが減っていた香川に代えて本田を投入。そのままトップ下に入った。

72分、日本は一度右サイドに選手を集中させ、狭いスペースでパス交換してコロンビアの選手を密集させたうえで、CBを経由して中央のスペースでフリーになっていた柴崎にボールを預ける。柴崎が前を向くと、左に開いていたが一気に中央に絞り、柴崎が中央のスペースでパス交換してうまく前を向き、大迫に縦パスを入れて大迫本田に預けると、酒井宏樹が走りこんだ右サイドのスペースに本田がダイレクトでパス。酒井宏樹は中に折り返して大迫がPA内でDFと競りながらキープすると、そのまま中に走りこんだ酒井宏樹に落として酒井宏樹がこれをダイレクトでシュート。しかし、惜しくもDFに当たり枠外へ。日本の選手たちの連動性がチャンスを作った

そして、この攻撃により得た左コーナーキックから、大迫がヘディングで決めて、日本が勝ち越しに成功。その後は、ボールを回して時間を使いつつ、最後まで体を張ってリードを守り切り、初戦でコロンビア相手に貴重な勝ち点3を得ることに成功した。

際立った柴崎のゲームメイク

長谷部と共にボランチのスタメンで出場した柴崎は、常にピッチ全体を見渡し、スペースでボールをもらい続け、相手の嫌がるスペースにボールを供給し続けた。スペインで技術と共に試合を読む力を向上させた柴崎は、このレベルでも冷静にゲームをコントロールし、日本の勝利に貢献した。途中交代したものの、怪我の状態は軽いとみられ、次戦以降も期待がかかる。

前線のプレスから体を張ったブロックまで、終始貢献した大迫・原口・乾

大迫原口試合を通じて走り切り、何度も相手に体をぶつけて競り合ったことが、日本の勝利を手繰り寄せたことは間違いない。終盤の際どいシーンでも、大迫が自陣に戻って体を投げ出し、シュートブロックして得点を許さなかった。

香川含め、前線4枚が守備を怠らなかったことで、相手のパスコースが読みやすくなり、DF陣が何度もボールを跳ね返し、ファルカオにボールが渡るのを防いだ。守備意識が高く、追い込みがうまい前線の選手たちの起用が見事に当たった形である。

大迫は攻撃でも体を張り続け、コロンビアのCB陣に対して完全に主導権を握るパフォーマンスを見せた。大迫と対峙していたD・サンチェスは、プレミアリーグのトッテナムで主力として活躍する選手であり、圧倒的なフィジカルとスピードを誇るCBであるが、22歳という若さが影響したのか、大迫が完全に競り勝つ結果となった。

本田の「キープ力」と「運動量の無さ」は諸刃の剣

この試合では、日本が1人多い状況という中での本田投入となり、本田の運動量の無さは影響しにくい状況であった。そして、直後に勝ち越したことで、ボールをキープして時間を稼ぐ状況で、本田のキープ力を活かしやすい状況となった。しかし、ボールを取られた後でのプレスバックや、前線でのDFへのプレッシャーなど、物足りない部分もやはり垣間見せた。次戦以降、本田を起用しやすい状況はあるだろうか。やはりこのレベルで日本が良いパフォーマンスを発揮するには、チーム全体の運動量と連動性が必須条件となり、本田がその点においてマイナスになりがちであるということを考慮すると、起用は非常に難しくなる。もちろん、セットプレー含めた左足のキックは魅力である部分もあるが、西野監督はどのような起用を考えているだろうか。

名将ぺケルマンの采配が裏目に出て、日本を助ける形に

個人で突破できるクアドラードをコロンビアが早々に下げたことは、日本にとって非常にプラスであった。長友がマッチアップして奮闘していたとはいえ、90分抑え続けるのは非常に難しい選手であった。

さらに、この試合はベンチスタートとなったハメス・ロドリゲスが途中投入されたが、明らかにコンディション不良が垣間見え、運動量がなかったため、日本のビルドアップがさらに余裕になった。日本がボールをもち試合を優位に進める中、ほぼ90分を10人で戦ったコロンビアとしては、選手たちの疲労も極限であっただろう。

途中まで守備でバランスを崩さないようにし、セットプレーで得点を引き寄せて引き分け以上をもぎ取ろうとしたぺケルマンの采配と思われるが、さすがに常に10人の戦いは苦しく、攻撃的な切り札であるハメスバッカの投入もそれほど効果的にならなかった。

次は勝ち点3同士のセネガル戦。11対11の戦いへ頭を切り替えろ

前半早々に相手が退場して10人になったことで、日本は優位に試合を進めることができたコロンビア戦。ビルドアップでも相手のプレッシャーがかからないため、楽にパス回しをすることができたが、これが第2戦へ向けて仇とならないか懸念である。

ワールドカップのレベルの試合で11対11の試合強度を実質まだ体感していない状態であり、第2戦の立ち上がりの入り方は気を付けなければならない。少しでも気の緩みがあれば、セネガルの前線のスピードの脅威にあっさりとやられる危険がある。

勝ち点3同士の対戦となるセネガル戦は、勝利したほうがグループステージ突破を大きく引き寄せるだけに、非常に難しい試合が予想されるが、アグレッシブなプレーで勝利を手繰り寄せてほしい。

書評:『砕かれたハリルホジッチ・プラン ~日本サッカーにビジョンはあるか?~』