ポーランド戦からセネガルの特徴を読み解く【日本代表|ロシアW杯2018】
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ポーランド戦でわかったセネガルの戦術レベルの高さ
2018/06/20 ロシアW杯第1節
セネガル 2-1 ポーランド
37分 オウンゴール
60分 ニアン
86分 クリホビアク
スターティングメンバー
セネガルは、4‐4-2でマネが左サイド。ポーランドは4-2-3-1で、レヴァンドフスキとミリクは縦関係であるものの、自由にポジションチェンジする形。
後半開始時(セネガル1点リード)
前半にセネガルが先制し、ポーランドは完全に抑え込まれた内容であった。後半開始時、ポーランドは2列目右のブワシュチコフスキに代えて、CBのベドナレクを投入し、3バックに変更する。これにより、ビルドアップがスムーズになり、WBを経由したサイド攻撃も活性化し、ポーランドの攻撃が機能し始める。
62分~(セネガル2点リード)
意表を突いて追加点を得たセネガルは、FWのディウフに代えて、MFのヌドイェを投入。システムを4-3-3に変更し、IHにヌドイェとゲイエを並べた。
攻撃時は4-3-3であるものの、守備時は右サイドのサールがかなり低めのポジションを取り、右SBワゲは中央寄りに位置し、サール含めた5バック気味の陣形となる。そして、入ったばかりのヌドイェは右半分のスペースで積極的にプレスし、後方では、ワゲとサールがグロシツキとリブスを自由にさせない。さらに、レヴァンドフスキやミリクが入れ替わりでトップの位置に入ってくるが、クリバリとサネが中央をがっちりと固めて、ここでも自由にさせないようにした。
87分~(セネガル1点リード)
終盤、ポーランドのロングボールを含めた猛攻に対して、セネガルはアンカーに189㎝のクヤテを投入し、ポーランドの反撃を1点に抑えきった。
ワールドクラスのFWであるレヴァンドフスキと鋭いサイドアタッカー陣を封じるために、セネガルのA・シセ監督は柔軟な采配を振るい、選手たちは高度な戦術理解度でそれを実行したと言える。
日本はセネガルに対して、ただでさえ身体能力で圧倒されることが濃厚であることに加えて、A・シセ監督は日本を分析したうえでの戦い方をし、戦況や時間帯によっても戦術を変えてくることが予想され、日本にとっては極めて難しい相手となるだろう。
攻撃は左サイドで組み立てて右サイドで刺す
ポーランド戦のセネガル選手の平均ポジションマップとヒートマップ(ボールタッチ数)
フォーメーションは4-4-2であったものの、2トップで出場したニアンは左WGも得意な選手であることから、左サイドにポジションをとる傾向が強く、マネはサイドに張らずに内側に入って、左SBがオーバーラップするスペースを空けたり、ニアンとの連携で形を作ることが多かった。マネはリバプールでのプレーとは異なり、スピードよりも巧さを活かして、よりバランスをとったプレーをすることが多いようだ。
一方の右サイドは、前にサール、後ろにワゲと、20歳と19歳のスピード豊かな若手選手を起用し、アグレッシブな縦への突破をさせることでチャンスを作っていた。
セネガルは高くて強い選手たちだらけ
セネガルはパッと見でわかるほど、背が高くて分厚い選手が揃っている。デュエルやセットプレーで日本が間違いなく苦戦することが予想される。
ポーランド戦に出場した、180㎝以上の選手たち
FW9 ディウフ 185㎝
FW19 ニアン 184㎝
FW14 コナテ 181㎝ ※途中出場
MF13 A・エンディアイ 187㎝
MF11 ヌドイェ 192㎝ ※途中出場
MF8 クヤテ 189㎝ ※途中出場
DF3 クリバリ 195㎝
DF6 サネ 196㎝
セネガルの選手たちの特徴をまとめてみた
特徴まとめ(ポーランド戦スタメン)
※センターラインがとにかく高くて強い!
特徴まとめ(ポーランド戦87分~)
※またしても、センターラインがとにかく高くて強い!途中出場選手みんな高くて強い!
日本代表がセネガルに勝つためには
セネガルに勝つためのポイントはこの5つ
- ディフェンスは必ず2人で付く!
- フォーメーションは柔軟に!
- 中盤のデュエルは柴崎と大島でかいくぐれ!
- 攻撃はワンタッチでダイレクトにスピーディーに!
- セットプレーでの失点は1点に抑えろ!
「ディフェンスは必ず2人で付く!」
日本はこの試合こそ、3-4-2-1を使いたい。セネガルが2トップでも3トップでも、中央には高くて強い選手が入ると思われる。
4バックにした場合、セネガルのFWと日本のCBが1対1で対峙することになるシチュエーションが多くなり、その勝率はかなり厳しいものになるだろう。そこで、長谷部を中央に配置した3バックを起用して、吉田or槙野がセネガルのFWと競り合い、長谷部がカバーに入る形を常に作りたい。
また、両サイドには速い選手がいるため、常に日本の両SBが対峙できるように、ラインを低めにして5バック気味に守りたい。マネやサールなどはかなり速くて突破力のある選手であるが、長友や酒井宏樹がしっかりと対峙できれば、そこまで何回も突破されることはないだろう。
「フォーメーションは柔軟に!」
長谷部を起用するメリットは、メンバーを変えずにフォーメーションを変更できることである。
セネガルはポーランド戦でも4-4-2と4-3-3を試合中に変更して相手をうまく封じ込め、さらには3バックのオプションもさらに持っている。日本のやり方に合わせて柔軟にセネガルがフォーメーションを変更してきた場合、日本は同じフォーメーションのままではうまく対処できないだろう。そこで、長谷部や中盤の選手のクレバーさを生かして、4-2-3-1や4-3-3にいつでも変更できるようにしたい。
「中盤のデュエルは柴崎と大島でかいくぐれ!」
攻撃面においては、セネガルはあまり前から積極的にプレスをかけてこず、リトリートすることが多いため、日本は後方ではある程度ボールを持つことができるだろう。しかし、相手の前線の選手はフィジカルの強さやリーチの長さを活かしてボール奪取を狙ってくるし、中盤のゲイエなども高い敏捷性を活かしてボール奪取を狙ってくる。よって、日本の中盤の選手には、的確な状況判断と正確なボールコントロールが求められるだろう。そこで、柴崎と大島を同時起用したい。2人とも、的確なポジショニングをとり、狭いスペースでボールを受けても正確なトラップと体の使い方の上手さで前を向ける選手である。中盤では、デュエルの勝負に持ち込まれないように、素早さと上手さでかいくぐることがポイントとなるだろう。
「攻撃はワンタッチでダイレクトにスピーディーに!」
前線では、日本のFWはクリバリとサネという195㎝前後の強力な2人のCBと対峙することとなる。コロンビアDFと互角以上に対峙した大迫であっても、セネガル相手にボールを収めることは容易ではないだろう。そこで、ボールキープよりもダイレクトプレーや裏抜けをより狙う作戦とし、大迫よりも敏捷性に優れた武藤をこの試合で起用したい。
武藤、香川、乾の3人とも、近い距離でダイレクトのパスで連携できる選手であり、リトリートしたセネガルDFの隙間を縫って攻撃することが可能だろう。ボランチには、柴崎と大島という速くて正確な縦パスを出せる選手が揃っており、その鋭い縦パスをスイッチとして、速い攻撃を仕掛けたい。
「セットプレーでの失点は1点に抑えろ!」
180㎝を優に超える選手たちが5,6人起用されることが濃厚なセネガルに対して、日本がセットプレーでの失点を完全に抑えるのはかなり至難の業である。もし日本がリードして終盤を迎えた場合、セネガルはさらに大型の選手を追加で投入し、ロングボールで攻める作戦を取ってくることも十分に考えられる。ゲームプランとして、1失点は覚悟するのが望ましいだろう。
リードして終盤を迎えられた場合、日本は高さ対策として、武藤に代えて大迫、長谷部or大島に代えて昌子or植田を投入したい。
FWに関しては、セットプレーでの失点を抑えるためにスタートは大迫を起用し、終盤の勝負の時間帯に武藤を投入して得点を狙うプランもありだろう。
グループステージ突破の運命を握るセネガル戦
勝ち点3同士の対戦となる日本対セネガル戦は、勝ったほうがグループステージ突破を大きく引き寄せる試合となる。セネガルはアフリカ特有の身体能力の高さのみならず、戦術レベルの高さを併せ持ち、間違いなく3試合の中で一番厳しい試合になるだろう。日本としては、日本人らしいアジリティーやクイックネスを活かすことができれば、十分に勝機はあると考えられる。是非とも2連勝を成し遂げ、いい形で3試合目のポーランド戦を迎えたい。