新チーム同士の完成度の差!チェルシー 対 アーセナル レビュー【2018/19プレミア第2節】
第2節で実現した新監督同士のビッグロンドンダービー
2018/08/18 プレミアリーグ第2節
チェルシー 3-2 アーセナル
9分 ペドロ
20分 モラタ
37分 ムヒタリアン
41分 イウォビ
81分 マルコス・アロンソ
アーセナルは、負傷者続出の左SBにモンレアルが復帰してスタメン起用。2列目にはラムジーではなくイウォビを起用。ラカゼット、ラムジー、トレイラらがベンチに控える。
一方のチェルシーは、ほぼお馴染みのラインナップ。コンディション調整中のアザールはベンチスタート。
序盤からチェルシーはサッリのスタイルを見事に体現し、ボールを支配して優位に進めると、早々に先制に成功。一方のアーセナルはオーバメヤンが決定機を外すと、その直後にチェルシーはモラタがしっかりと決めきり、追加点。チェルシーがスコア、内容ともに圧倒する。
しかし、徐々にアーセナルがペースを掴みだすと、ムヒタリアンの強烈なミドルシュートで1点を返すことに成功。ここからアーセナルが息を吹き返し、サイドを攻略して深くまで進入し、マイナスのクロスでチャンスを何度も作ると、その形からイウォビが合わせて、同点に追い付く。
後半開始にアーセナルは低調なジャカに代えてトレイラを投入。トレイラの投入により攻守ともにバランスは改善されつつあるものの、チェルシーもハーフタイムで修正してきており、チェルシーが再び主導権を握る時間が続く。ホームのチェルシーが60分にコバチッチとアザールを一気に投入して攻勢に出ると、アーセナルはエジルを諦めてラムジーを投入。この交代が実ったのはチェルシー。アザールの突破力でチャンスを作り始めると、アロンソがゴール前まで進入してボールに合わせて勝ち越しに成功。アーセナルは追い付くことができず、ホームのチェルシーが勝ち点3を手にした。
見事にバランスの取れたポジショニングをしているチェルシー
平均ポジション(左:チェルシー、右:アーセナル)
引用:whoscored.com
ヒートマップ(左:チェルシー、右:アーセナル)
引用:whoscored.com
平均ポジションとヒートマップを見ると、きれいに等間隔にポジショニングできているチェルシーが、ジョルジーニョを中心に、中央のスペースをしっかりと使えていたことがはっきりとわかる。
一方のアーセナルは、ボランチやSBのポジショニングがバランス悪く、サイドからしかチャンスを作れなかったことがデータにも表れている。さらには、エジルも孤立していたことがわかるだろう。
際立つジョルジーニョと安定感を加えたコバチッチ
パススタッツ(チェルシー)
引用:whoscored.com
チェルシーのPA%(パス成功率)を見ると、フル出場ながら約92%を叩き出しているジョルジーニョとダビド・ルイスが際立っており、パス本数もそれぞれ99本と81本を記録。
さらに、コバチッチは約30分の出場ながら、パス本数43本でその成功率はなんと100%。それほど目立ってなかったバークリーに代えてコバチッチを投入したサッリの采配が的中したことを表している。
如実に表れたゲンドゥージの奮闘とエジル、ジャカの不調
パススタッツ(アーセナル)
引用:whoscored.com
一方のアーセナルは、ゲンドゥージが奮闘し、前半はパス成功率100%、トータルでも約94%を記録。パス本数は49本とチェルシーの選手たちと比べると大きく下回るものの、縦パスやスルーパスにチャレンジしながらのこのパス成功率は立派である。
前半で交代したジャカと後半から投入されたトレイラを比較すると、パス本数ではジャカが上回るものの、パス成功率はトレイラが92%に対して、ジャカは約83%。トレイラが入った後半のほうがチームとして安定感が出ていたことを裏付けるデータと言えるだろう。
さらに、低調なパフォーマンスに終始したエジルは67分間の出場でパス本数はわずかの18本。ボールに絡めなかったことが如実に表れている。
圧倒的なコンダクターとして君臨したジョルジーニョ
チェルシー加入2試合目かつプレミアリーグへの参入ながら、すでに絶対的な選手として君臨しつつあるジョルジーニョ。常に全体を把握し、味方に指示を送り続け、常にフリーの体勢を作ってボールを受けられるようにする。まさしくコンダクターとして圧倒的なパフォーマンスを発揮しているといえるだろう。
また、ジョルジーニョとポジションがかぶるかと思われたカンテであるが、IHで起用されると、その運動量を活かしつつ、前線への飛び出してゴールにも絡むプレーを見せ、新境地を見せている。
さらに、この試合では途中から出場したコバチッチがパス成功率100%を記録し、スタメン争いに名乗りを上げるパフォーマンスを見せた。負傷離脱しているセスクもまもなく復帰予定であり、中盤の豊富なタレントたちが今後どのようなユニットを組むことになるだろうか。
1人奮闘してスタメンを確保しつつあるゲンドゥージ
開幕戦に続きスタメンフル出場を果たしたゲンドゥージ。この試合でもボランチの相方のジャカが低調なパフォーマンスに終始する中、果敢にボールを受け、常に前を意識して縦パスやスルーパスを送り、起点となり続けた。
守備には課題が残るものの、この展開力はもはや現状のアーセナルのボランチ陣の中でトップクラスであり、ゲンドゥージを軸として、ボランチのコンビを考えてもおかしくない状況となっている。この試合では後半から出場したトレイラが間違いなく第一候補であり、守備でバランスを取れるだけでなく、ビルドアップでもゲンドゥージと同じく安定感を発揮できるはずである。
トレイラはプレミアリーグの強度やプレースピードにこれから慣れる必要があるものの、プレースタイルと現状のパフォーマンスを見る限り、ゲンドゥージとトレイラのコンビが最も安定する可能性があるのではないだろうか。
前線のユニットの最適解は見つかるか?
ストライカー2人の起用法と同じく、エジルとラムジーの起用法も課題として浮き彫りになっている。
前節のシティ戦と変わり、エジルがスタートからトップ下に入り、ラムジーはベンチスタートとなったこの一戦。エジルのトップ下でのパフォーマンスが注目されたものの、守備での貢献の低さもあって、チーム全体としてボールを持てる時間帯が少なくなった。攻撃の場面でも、サイドを起点に攻撃を仕掛けるシーンが多くなったため、エジルの良さは全く出なかったといえるだろう。
一方、この試合で途中から出場したラムジーであるが、前線からのプレスは効果的ではあるものの、2列目をスタートとして前線に飛び出す動きは相手DFにとってはそれほど脅威ではなく、ラムジーの良さはそれほど活きていないと言えるかもしれない。
攻守の貢献度を踏まえるとムヒタリアンを外す選択は考えづらく、イウォビも好パフォーマンスを発揮したため、エジルのスタメン落ちを検討してもいいかもしれない。ラカゼットの起用法含め、前線のユニットの組み合わせと復調が今後の成績に影響するだろう。
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