終わってみればやっぱり激闘。トッテナム 対 アーセナル レビュー【2018/19プレミア第29節】

プレミアリーグ

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試合結果、スタメン、フォーメーション

試合結果

2019/03/02 プレミアリーグ第29節
トッテナム 1-1 アーセナル

16分 ラムジー
74分 ケイン(PK)

2018/2019 プレミア 29節 トッテナム対アーセナル スタメンとフォーメーション

【トッテナム】基本:3-4-1-2 守備:4-4-2(5-3-2)

【アーセナル】基本:4-2-3-1 守備:4-4-1-1(4-4-2)

 

今シーズン3回目のノースロンドンダービー。トッテナムホームながら、新スタジアムがいまだ使えずウェンブリーでの開催。調子を取り戻しつつあるアーセナルは当然ながらウェンブリー男のラムジーをスタメン起用。ナイルズが病気明けの右SBにはムスタフィを起用。

一方、バーンリー、チェルシーに連敗して調子を落としているトッテナム。この試合では3-4-1-2を採用し、ウィンクスが欠場の中盤にはシソコワニャマを起用。

前回対戦の振り返りはこちら
エメリの采配が裏目に?アーセナル 対 トッテナム レビュー【2018/19 カラバオカップ 準々決勝】

North London is RED。アーセナル 対 トッテナム レビュー【2018/19プレミア第14節】

試合経過と両チームの狙い

【前半開始~20分】 おもいがけず先制


激しいのが当たり前のノースロンドンダービーであるが、この試合はわりと静かな立ち上がりに。

両チームともにラインを高めにしてコンパクトな陣形を取ったため、お互いにショートパスを繋ぐよりはロングボールを前線に入れるシーンが目立つ。

トッテナムの攻撃とアーセナルの守備

トッテナムのビルドアップ時アーセナルラカゼットラムジーが縦関係になり、4-4-1-1のような陣形に。ラムジーボールサイドのボランチをケアしつつ、フリーになってボールを保持しやすい左右のCBにアプローチする形。早いサイドチェンジなどでラムジーが間に合わない場合にはSHイウォビムヒタリアン)がここにアプローチする。

トッテナムのボランチラムジー+アーセナルのダブルボランチがケアしており、ボールを持った左右のCB前線にロングボールを入れるしかない状況が目立つ。しかしトッテナムとしては、競り合いに強いケインがいて、突破力のあるソンエリクセンがセカンドボールを狙う攻撃はある程度見込みがある形。浮きやすいエリクセンアーセナルボールサイド側のSBがケアする。

トッテナムの攻撃

  • 【定位置攻撃】 サイドから前進を目指す。早めに前線にロングボール
  • 【ポジトラ(ボール奪取時)】 縦に早く。前線にロングボール

アーセナルの守備

  • 【守備ブロック】 4-4-1-1 ラカゼットとラムジーで縦関係。ミドルゾーンにブロック
  • 【ネガトラ(ボールロスト時)】 ボールに密集してボール奪取狙う

 

アーセナルの攻撃とトッテナムの守備

アーセナルのビルドアップ時トッテナムトリッピアーが最終ラインに下がって4バックを作り、中盤はダイヤモンドのような形に。ラインを高くして前からハメようとするトッテナムに対し、アーセナルは無理してショートパスを繋がず前線にロングボールを入れてDFライン裏のスペースを早めに突きたい狙い。

アーセナルの攻撃

  • 【定位置攻撃】 無理して繋がずサイドや前線にロングボール
  • 【ポジトラ(ボール奪取時)】 サイドのスペースかラカゼットにロングボール or 縦パス

トッテナムの守備

  • 【守備ブロック】 4-3-1-2 トリッピアーが最終ラインに。ライン高めで前からプレス
  • 【ネガトラ(ボールロスト時)】  ボールに密集してボール奪取狙う

 

アーセナルの守備がうまく機能し、ボール保持が多くなるものの効果的に前進はできないトッテナム

試合は15分、トッテナムが押し込んでいたところでジャカがボールを持つと、前線のラカゼットへすぐさまロングパス。D・サンチェスがクリアしようとするもうまくミートせず、ボールはラカゼットへ。信じて走り抜けていたラムジーへ向けてすぐさまスルーパスを通すと、ラムジーは敵陣を独走。最後はロリスも交わしてゴールネットを揺らす。アーセナルが先制。

【21分~前半終了】 トッテナムにボールを持たせるアーセナル

意外な形でリードを得たアーセナルはやり方を継続し、機能している守備を継続しつつ、ボールを持っても無理せずロングボールを選択して陣形を整えることを優先。

トッテナムのロングボールに対してエリクセンのマークが曖昧になりがちであったため、アーセナルのダブルボランチが位置を少し下げてエリクセンをケア。ラムジーボールサイドのボランチをケアすることに注力し、トッテナムの左右のCBはより余裕を持ってボールを持てる状態に。

トッテナムのボール保持がより一層増えたものの、左右のCBから効果的な展開はできず。さらにダブルボランチのシソコワニャマも運動量を武器にするタイプであるため、組み立てでアクセントを付ける動きができず。

試合は43分、ケインがPA手前から絶妙なタイミングでCB裏への浮き球パス。飛び出したエリクセンがダイレクトでシュートを打つもレノがビッグセーブ。こぼれ球をさらにシソコが打つも、またもやレノのセーブ。レノの連続ビッグセーブでアーセナルがリードを守る。

試合はアーセナルが1-0でリードして前半を折り返す。

前半のスタッツ

前半のスタッツ(左:トッテナム、右:アーセナル)
引用:SofaScore.com

トッテナムがボールを保持し、シュート数トッテナム8本に対してアーセナルわずか3本。しかしビッグチャンストッテナム1回に対してアーセナル2回

アーセナルは珍しくボールを保持しない作戦を取り、リードしたことでそれがより顕著になって前半でパスわずか161本。さらにそのうちの32本ロングパスであり、全体のパス成功率63%という低さとなった。

ワニャマ(左上)、シソコ(右上)、
フェルトンゲン(左下)、アルデルヴァイレルト(右下)のパス ※前半

緑:成功赤:失敗
引用:Arsenal公式

前半のトッテナムの左右のCBとダブルボランチのパスを見ると、アルデルヴァイレルト(右下)がボールを持つ(持たされる)ことが多く、そこから前線へのロングボールを選択することが多かったのがわかる。また、ダブルボランチアーセナルの守備に苦戦してあまりボールに関与できず。

トッテナムのドリブル ※前半
緑:成功赤:失敗
引用:Arsenal公式

さらに前半のトッテナムのドリブルを見ると、中盤ではシソコ(17)が、ファイナルサードではローズ(3)やソン(7)がドリブルを仕掛けたものの半分以上が失敗に終わっている。

アーセナルの4バック+GKのパス ※前半
緑:成功赤:失敗
引用:Arsenal公式

逆にアーセナルの後方の選手のパスを見ると、ほとんどショートパスを繋がず、前線へのロングボールを選択していたことがわかる。成功したロングボールは多くないものの、そのうちに陣形を整えてラインを上げたり、セカンドボールを回収して前から攻めるなど、狙い通りのプレーを実行できていたと考えられるだろう。

【後半開始~57分】 プランを継続するアーセナル

ハーフタイムにツイートした内容が早速的中(笑)

45分:【アーセナル】ゲンドゥージ → トレイラ

アーセナルとしては前半と同じやり方を続ければ良く、展開力がそれほど求められずに守備での強さが欲しい状況となったため、ゲンドゥージに代えてトレイラを投入。エリクセンのマークやセカンドボール回収を強化する。

後半も同じ流れが続くも52分、左サイドをオーバーラップしたモンレアルから中への折返しでボールを受けたラカゼット。フリーの状態でダイレクトでシュートを打つも枠を捉えられず。アーセナルは絶好機を逃す。

56分:【アーセナル】ラカゼット → オーバメヤン

前掛かりになるトッテナムの裏を突きたいため、ラカゼットに代えて早くもオーバメヤンを投入。

【58分~68分】 手を打ったトッテナム

59分:【トッテナム】ワニャマ → ラメラ

うまくいかないトッテナムワニャマに代えてラメラを投入し、エリクセンをボランチへ。組み立てでアクセントを付けられるエリクセンをボランチに下げるための交代と考えられる。

トッテナムペースが続くものの崩しきれない時間帯が続く。そしてアーセナルオーバメヤンが裏を狙い続ける。

【69分~88分】 さらなる改善と思いがけない同点のトッテナム

【トッテナム】基本:4-2-1-3 守備:4-3-3

【アーセナル】基本:4-2-3-1 守備:4-4-2

トッテナムは69分にローズをボランチに移し、4-2-1-3のような形に変更。アーセナルの守備が機能していたため、変化を付けたい狙いがあったか。

71分:【アーセナル】ラムジー → エジル

72分、トッテナムは右サイドからのFKでゴール前へ直接入れると、ボールは通らなかったもののムスタフィケインを倒したためにトッテナムのPKに。前半にもケインの強烈なヘディングがあったため、ムスタフィとしては脅威に感じていたのかもしれない。

このPKをケインが確実に沈めてトッテナムが同点に追い付く。

【トッテナム】基本:4-2-2-2 守備:4-4-2

【アーセナル】基本:4-2-3-1 守備:4-4-2

78分:【トッテナム】ソン → ジョレンテ

勝ち越したいトッテナムは前線に高さを追加するためにジョレンテを投入。フォーメーションも4-2-2-2のような形になり、サイドのレーンはSBがオーバーラップで使い、2トップへのロングボールのこぼれ球をエリクセンラメラが中央気味で拾おうとする布陣に。

【89分~試合終了】 ただでは終わらないノースロンドンダービー

89分、フェルトンゲンのパスをインターセプトしたムヒタリアンがそのままフェルトンゲンを交わしてカウンター。2対3の状況であったものの、タイミングを合わせてCB裏へ出したボールにオーバメヤンが走り込む。ここでD・サンチェスオーバメヤンを倒してPKに。アーセナルは終了間際に勝ち越しのチャンスを掴む。

PKを蹴るのはオーバメヤン。しかし、このPKをロリスが完全に読んでセーブ。こぼれ球をイウォビが拾って折り返すものの、オーバメヤンが詰める前にフェルトンゲンがクリア。トッテナムが最大のピンチを防ぎきり、アーセナルの勝ち越しは失敗に。

両チームが勝ち越しを目指して攻め続けるも94分、トレイラローズへのファールで一発レッド

静かなまま終わることはなかったノースロンドンダービーは1-1の引き分けで終えた。

後半のスタッツ

後半のスタッツ(左:トッテナム、右:アーセナル)
引用:SofaScore.com

攻め込んだトッテナムであるが、後半のシュート数わずか3本。逆にカウンターや速攻を機能させたアーセナルシュート6本。お互いにビッグチャンス3回ずつ作るも、決まったのはトッテナムのPK1本のみ。

後半も両チームともにロングボールが多く、パス本数両チームともに200本前後という少なさでパス成功率60%台に。

 

【PickUpData】ビッグチャンスは両チーム合わせて9回も

試合の流れ

 

 

試合はトッテナムが攻め込む時間帯が多かったものの、要所要所でチャンスを作っていたのはアーセナル

マッチスタッツ(左:トッテナム、右:アーセナル)
引用:SofaScore.com

シュート数トッテナム11本アーセナル9本にも関わらず、ビッグチャンス数トッテナム4回アーセナル5回。お互い少ないチャンスが決定機になったものの、ほとんど決めきることができなかった。

アーセナルパス成功率63%という異例の低さで試合を終えた。

平均ポジション(左:トッテナム、右:アーセナル)
引用:whoscored.com

攻撃サイド(左:トッテナム、右:アーセナル)
引用:whoscored.com

両チームともに同サイド(アーセナルの左サイド)から攻めることが多かった。

ヒートマップ(左:トッテナム、右:アーセナル)
引用:whoscored.com

攻め込む回数が少なかったアーセナルはほとんどファイナルサードに進入していないものの、その中でも左サイドから突破していたことがわかる。

ゴール期待値

【ゴール期待値】
トッテナム1.63点
アーセナル2.70点

ラカゼットの決定機などもあり、アーセナルゴール期待値では1点以上トッテナムを上回った

判定に泣かされたアーセナル

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トッテナムがPKを得たシーンがオフサイドでは無いかという疑惑が出ているものの、いろいろな情報を見ると競技規則的にはオフサイドの前にPKがジャッジされるのは妥当らしい。

しかし終盤のオーバメヤンのPKの場面では、明らかにシュート前にフェルトンゲンがPA内に大きく進入しており、これを見るとPKのやり直しが妥当のように思える。さらに詰めたオーバメヤンの前でクリアしたのもフェルトンゲンであることから、このジャッジが大きく試合の結果を変えたのは間違いない。アーセナルにとっては非常に悔いが残る形に。

 

5位に転落したアーセナル。次節はマンチェスターユナイテッド戦

勝てば3位も見えたものの引き分けに終わり、5位に転落したアーセナル。ミッドウィークにELのレンヌ戦を挟み、リーグ戦は次節マンチェスター・ユナイテッドとの対戦。

厳しい試合が続くものの、ここで連敗すると4位争いから離されかねない状況に。トレイラの出場停止という苦いおまけ付きの中、踏ん張りを見せることができるだろうか。

前節の振り返りはこちら
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前回対戦の振り返りはこちら
エメリの采配が裏目に?アーセナル 対 トッテナム レビュー【2018/19 カラバオカップ 準々決勝】

North London is RED。アーセナル 対 トッテナム レビュー【2018/19プレミア第14節】

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