沈黙。ウエストハム 対 アーセナル レビュー【2018/19プレミア第22節】

プレミアリーグ

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試合結果とフォーメーション

試合結果

2019/01/12 プレミアリーグ第22節
ウエストハム 1-0 アーセナル

48分 ライス

前半

2018/2019 プレミア 22節 ウエストハム対アーセナル スタメンとフォーメーション

【ウエストハム】基本:4-2-3-1 守備:4-4-2
【アーセナル】基本:3-4-2-1 守備:3-4-3(5-3-2)

 

アーセナルは前節と同じ11人同じフォーメーションを採用。負傷者が続々と復帰し、ベジェリンモンレアルがベンチ入り。しかし、エジルはまたもベンチ外。

ウエストハムは冬にクラブに加入したばかりのナスリがトップ下でスタメン出場。

試合は両チームともに中盤でのボール奪取から縦に早い攻撃を仕掛ける場面が多くなるが、徐々にウエストハムのボール保持が増えていく。

アーセナルのビルドアップとウエストハムの守備

2018/2019 プレミア 22節 ウエストハム対アーセナル スタメンとフォーメーション

アーセナルのビルドアップ時ウエストハムは前からのプレスはそれほど強くないものの、ダブルボランチがダブルボランチにそれぞれ強めにマークに付いたため、アーセナルのボランチがビルドアップに関与することを封じられ、アーセナルの中央からの前進は困難になった。

これに対してアーセナルは、3バック+GKでボールを左右に振りつつ、主にコシェルニーから縦パスを入れる形で前進を図ろうとした。ノーブルジャカをケアしていることで後方のスペースまでケアしきるのは難しく、アントニオもサイドとハーフスペースをどちらもケアするのは難しいため、アントニオの左右のどちらかにパスコースが空きやすい状況となっていた。

①サイドラインぎりぎりに張るコラシナツへのパス
コシェルニーからコラシナツへパスを入れたときは、そのままダイレクトでイウォビにつなぎ、ラカゼット含めた3人の連携で突破することを狙い、実際にPA近くまで進む場面を何度か見せていた。しかし、ウエストハムのDFもそれぞれのマークにしっかりと付くことで決定的な場面はほとんど生まれず。

②ハーフスペースにイウォビやラカゼットが下りてきたところへの縦パス
コシェルニーからハーフスペースへ縦パスを入れた場面では、イウォビに対してはサバレタラカゼットに対してはディオップが強めにマークに付いており、ボールが入っても前を向けずに前進するにはいたらない場面が多くなった。

ウエストハムの攻撃とアーセナルの守備

ウエストハムの攻撃に対して、アーセナルは両サイドのアタッカーのケアのために5バックになりやすく、中盤もイウォビが低めに下りて3枚で左右にスライドして守ろうとしていたものの、ウエストハムのボランチ+SBの4枚に対して数的不利となり、簡単にウエストハムが押し込む場面が多くなった。そしてファイナルサードでは、ナスリのキープ力と両サイドの突破力を活かす攻撃を見せた。

①右サイド奥のスペースを使った縦に早い攻撃
アントニオのスピードや突破力を活かし、さらにコラシナツの攻め上がり後に空いたスペースを狙い、右サイド奥に早めにボールを入れて前線で起点を作る攻撃を1つの形としていた。そこからナスリアルナウトビッチが絡むことでシュートまで繋げる場面を作っていった。

②左サイドでの3人の連携による攻撃
ナスリは左サイドにも適時顔を出し、F・アンデルソンナスリクレスウェルの3選手が絡むことで3vs2、3vs3の場面を作り出すことで、左サイドでも攻撃の形を作っていった。

 

前半はウエストハムが優勢に進めながらも得点は生まれず。

前半のスタッツ

前半のスタッツ(左:ウエストハム、右:アーセナル)
引用:SofaScore.com

シュート数はほぼ変わらず、ビッグチャンスウエストハム1回のみ。ポジトラでの縦に早い攻撃が両チームともに目立ったものの、優勢に進めたのはウエストハム

後半開始~58分

 

後半開始時、アーセナルはお得意の選手交代・フォーメーション変更をするかと思われたものの、交代・変更は無し。

試合は前半と同じくウエストハム優勢で進むと、47分、CKの流れの中からナスリがPA内で冷静にライスにパス。ライスはこれをダイレクトで打ち、ゴールネットを豪快に揺らす。ウエストハムが先制

59分~

2018/2019 プレミア 22節 ウエストハム対アーセナル スタメンとフォーメーション

【ウエストハム】基本:4-2-3-1 守備:4-4-1-1
【アーセナル】基本:4-3-2-1(4-2-3-1) 守備:3-4-3

 

1点ビハインドのアーセナルは、59分にラムジートレイラを同時に投入。フォーメーションを4-3-2-1(4-2-3-1)に変更する

アーセナルのビルドアップとウエストハムの守備

2018/2019 プレミア 22節 ウエストハム対アーセナル スタメンとフォーメーション

アーセナルが4バックに変更したことに対して、ウエストハムも守備のやり方を変更。代わって入ったトレイラに対してナスリが常にマークに付き、ゲンドゥージにはボールを触らせるがトレイラには触らせないようにする。ゲンドゥージは左サイド寄りから前方への展開を探ったものの、引き気味のウエストハムのディフェンスに対して効果的な展開をできず。

また、ラムジーは低めに下りたりバイタルエリアに入ったりしてアクセントを付ける動きをするものの、そこにボールを入れるシーンをあまり作れず。

ウエストハムが引き気味になったことでアーセナルがボールを保持する展開になるものの、ファイナルサードになかなか進入できない時間帯が続く。

トレイラへのマークは、選手交代に伴いスノドグラスノーブルへとそのまま引き継ぎ、ウエストハムは最後までトレイラをボールに関与させず。

そのままウエストハムがアーセナルの攻撃を封じきって勝利を掴んだ。

後半のスタッツ

マッチスタッツ(左:ウエストハム、右:アーセナル)
引用:SofaScore.com

ウエストハムシュート3本ながら、後半早々の得点を守りきった。アーセナルはボール保持する時間帯が多かったものの、シュート5本のみとなり、ビッグチャンス1つも作れず

 

【PickUpData】完全に沈黙したアーセナルの攻撃

試合の流れ
 

 

アーセナルがフォーメーションを変更した59分頃までは、ウエストハム優勢の時間帯が多かった。フォーメーション変更後のアーセナルはボールを保持する時間帯を増やしたものの、守備を変更して決定機を作らせなかったウエストハムが結果的には試合を通じて狙い通りに進めていたと言えるだろう。

マッチスタッツ(左:ウエストハム、右:アーセナル)
引用:SofaScore.com

試合を通じて、アーセナルビッグチャンス1回も作れず

平均ポジション(左:ウエストハム、右:アーセナル)
引用:whoscored.com攻撃サイド(左:ウエストハム、右:アーセナル)
引用:whoscored.com ヒートマップ(左:ウエストハム、右:アーセナル)
引用:whoscored.com

ヒートマップを見ると、ウエストハム右サイド深くまで進入していたことが如実に表れている。

一方のアーセナルは、ファイナルサードにほとんど進入できておらず、さらに、左サイド低めでコシェルニーゲンドゥージがボール保持していたエリアが非常に濃く、そこから前への展開を機能させられなかった。

ゴール期待値

ゴール期待値は、ウエストハム1.15点に対して、アーセナル0.67点。アーセナルのチャンスの少なさが表れている。

パスソナー、パスネットワーク

パスソナー両チームのCB陣のパス方向を比較すると、アーセナルのCBからは前方へのパスが少なくウエストハムのCBからは前方へのパスが多いことが大きな違いとして表れている。当然ながらショートパスをつなごうとするかロングパスを前方に早めに展開しようとするかでも変わってくるものの、アーセナルのビルドアップが苦戦していたことを表れていると言えるだろう。

パスネットワークを見ると、アーセナル左サイドウエストハム右サイドでのパス交換が集中していることが如実に表れている。

 

【PickUpData】ファイナルサードで機能していたウエストハムの攻撃

アタッカー陣のドリブルの詳細
左:アーセナル右:ウエストハム
※緑:成功、赤:失敗
引用:Arsenal公式

両チームのアタッカー陣のドリブルの詳細を見ると、ウエストハム右サイド深くで多くのドリブルを成功させたのが目立っており、ウエストハムは全体的にファイナルサードでのドリブル突破を狙う回数が多くなった。

アタッカー陣のパスの詳細
左:アーセナル右:ウエストハム
※緑:成功、赤:失敗
引用:Arsenal公式

アーセナルの前線3枚ウエストハムの前線4枚のパスを比べると、アーセナルファイナルサードの手前半分でしかほとんどパスをつなげていないのに比べ、ウエストハムはファイナルサードの奥側でもパスをつなげているシーンがあることが目立っている。

また、ウエストハムナスリをトップ下に置いているにも関わらず、PA手前中央のスペースでのパスはほとんどなく、サイドを起点にすることを明確に狙って実行していたことがわかる。

ジャカ(左)とゲンドゥージ(右)のパスの詳細
※緑:成功、赤:失敗
引用:Arsenal公式

厳しいマークにあったことでボールタッチがかなり少なかったジャカは、その中でも持ち味の大きなサイドチェンジなどのパスもほとんど出せずに攻撃に貢献できず。

ゲンドゥージはフォーメーション変更後にボールに多く関わる状況になったものの、やはりミドルゾーンでしかボールを触れず、深い位置への効果的なパスもほとんど出せていないことがはっきりと表れている。

 

4位以内が遠のく敗戦。次節はチェルシーとのBLD。エジルはどうなる?

無失点のみならず、ビッグチャンスを一度も作れていなかったことは、低調な試合内容であったことを如実に表している。ここ最近では、勝利しながらも内容が低調であった試合は増えてきており、それが結果に繋がりだしたと考えられる。

そして気になるのはエジルの状況だろう。トレーニングに復帰済みであるがこの試合でもベンチ外であり、エメリの説明では、またもや”戦術的判断”によるものとのこと。スタートに起用できなくてもベンチから途中出場で流れを変えることもできたはずであり、この試合ではまさしくそんな選手が求められた展開であったはずである。

次節はホームにチェルシーを迎えてのビッグロンドンダービーとなるが、4位以内に入るためには勝利が欲しい状況。負傷者の復帰を追い風にして、苦しい流れを変える戦いを披露できるだろうか。

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